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きょうはダラダラ書きます。
主人公のラッキーは、90歳の生涯単身を貫いた男だ。
起床して、決めたセット数のヨガをやり、同じ道を歩いて、馴染みのダイナーへ行く。道すがら、決まった場所で立ち止まり、「クソ女め!」と一言叫ぶ。ダイナーでは砂糖入りコーヒーを飲みながら、クロスワードを解く毎日だ。
メキシコ人の雑貨屋でタバコを買い、夜は全面禁煙のバーで、ブラッディメアリを飲みながら、仲間とヘソの曲がった会話をする。
ある朝卒倒したことから、自身の死期を悟るようになる。
発する言葉は哲学めいている。それは、机上のアカデミズムから生まれたものではなく、90年の人生の産物だ。
・何かを持っていると思うこと自体が錯覚だ。権力支配の感情は、主観的なもの。
・現実は物のようなもの。俺の現実とお前の現実とは違う。等など。
自分では独立独歩で生きているつもりだが、町中でラッキーを気遣うところが、暖かい。
昨年他界した笑わぬ俳優 、ハリー・ディーン・スタントン最後の出演作。
言葉ひとつひとつを、老優がラッキーに言わしめていると、感じさせる。