支那通の宮崎氏に依れば、中共の政権交代に伴い、軍事委員会も若返りが行われている由。
中共の尖閣盗りにどのように影響してくるのだろうか。
日本は唯々、日米安保に頼っていていいのだろうか。
先般イオン・岡田は支那を牽制する効果があると思われる日米軍事演習を断った。
頼みとする米もブッシュからオバマへと中道路線を歩んでおり、尖閣有事となれば本気で日本に味方をするかどうか危うい。
米も日本もそれぞれに民族主義が薄らぎ、老いつつあることは確からしい。
中共の尖閣盗りにどのように影響してくるのだろうか。
日本は唯々、日米安保に頼っていていいのだろうか。
先般イオン・岡田は支那を牽制する効果があると思われる日米軍事演習を断った。
頼みとする米もブッシュからオバマへと中道路線を歩んでおり、尖閣有事となれば本気で日本に味方をするかどうか危うい。
米も日本もそれぞれに民族主義が薄らぎ、老いつつあることは確からしい。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成24(2012)年11月5日(月曜日)通巻第3803号
http://melma.com/backnumber_45206/
悪党どもの最後の砦、それは「愛国」と「民族」カードだ
尖閣を煽る共産党は自らの支配が最後のステージにあることを自覚している
パット・ブキャナン著 河内隆弥訳『超大国の自殺』(幻冬舎)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
「アメリカはもう死んでいる」とのっけから衝撃的発言が連発される。アメリカの「緩慢な後退には、国益と、国民の意思の不一致がみられる」(464p)。
ブキャナンといえば、ニクソンのスピーチ・ライターをつとめ、レーガン革命では保守思想の旗手として大活躍した。
しかもブッシュの弱腰中道路線をこっぴどく批判していたばかりか、それでも収まらず1992年と96年には自ら大統領選挙に出馬し、その予備選ではいくつかの州でトップか二位をかざり、本命ブッシュが青ざめる。 ともかく共和党主流派を大いに脅かす存在となった。
その後も保守系雑誌で健筆をふるい、テレビのコメンテーターとしても大活躍、根強いファンがある。そのファンは日本にも及んでおり、彼の論理的根拠は、その民族的アイデンティティの確立と歴史主義の尊重という立場、日本で言えば石原慎太郎的であり、西尾幹二的であり、過激な傾向を帯びている点では中川八洋的でもある。かれはグローバリズムに反対する国益最優先主義者でもある。
本書は、そのブキャナンの最新作。それも問題作で、2025年にアメリカは衰退の一図から自殺の道へ驀進していると説く、或る意味で物騒な本である。
何が原因でアメリカは衰退するかと言えば、次の五つ。
第一は「白人の少数化と部族主義」。カリフォルニア州では英語を喋る市民は40%しかいなくなったように白人がマイノリティに転落した。共和党に投票する十人に九人が白人だったが、その時代は終わった。
第二に「ナショナル・アイデンティティの喪失」。米国が基督教の国であることもオバマは否定した。
第三は「グローバリズムと格差」である。政府は三ドルの歳入に五ドルを支払うという税制の矛盾と拡大する福祉のツケがいずれ回る。グローバリズムは、日本ばかりか、いずれアメリカを痛めつけるだろう。
第四は「多様性」が国際潮流だと説く怪しげなリベラリズムの蔓延である。人種のルツボは、暴動を引き起こすようになったが、ますます移民を認めるアメリカは、独自性も喪った。
第五にブキャナンが指摘するのは軍事力の衰退、目を覆うほどの力の後退、その真空を埋める中国という好ましくない趨勢である。
評者(宮?)ははたと考えた。この五つはアメリカの問題でもあり、しかしながら日本の問題でもあるという深刻さである。
「日本列島は日本人だけのものではありません」とバカ総理が発言するほどに民族性が希薄となったうえ、日本の国益より中国の国益を優先する人たちが政治家に数多く、論壇ではTPP議論に代表されるようにグローバリズム礼賛がマスコミの主流である。
議論の多様化は、日本国民の結束力を急激に弱め、いったい何のために日本を守るのかという面妖な議論がまじめにテレビで議論される時代。
日本は老いて、このまま朽ちようとしている。
しかも中国の軍事力を前にして対応能力が欠落している。日本には国際常識としての軍隊が存在せず、未来の将校を育てる防衛大学は左翼に乗っ取られている。
嗚呼、ブキャナンの深刻なる告発は、日本でも同じことではないのか。
さて、ブキャナンは「やっかいな軍国主義国家」である中国に関して、こういう風に書いている。
「中国の共産党支配者に、その正統性についての危機が迫ることは避けようがない」(382p-383p)。
つまり共産党が政権をとった合法性がないと基本の矛盾を突きながら、つぎのように議論を進める。
「毛沢東主義と革命を放棄して共産党は強力な国家を建設した。が、どの独裁権力の理屈も破壊した。中国がうまく行っている間、共産主義はーーほら、ご覧なさい。党がなければダメなんです、と言っておられる。しかし、国が失敗しはじめれば党はどうなるか?
国民が「中国は失敗している。あなたたちの退場のときがきた、新しいアイディアを持つニュー・リーダーを探すんだ、新しい道を行くんだ」と言い出すとすればどう応えるのだろうか? 中国大衆が望んでいる資本主義の商品をこれ以上党が手渡すことが出来なくなったとき、共産党の絶対権力の保持を正当化する根拠をどこに求めればよいのか?」
すなわち「悪党ども最後の砦は愛国主義である」(383p)
ブキャナンは「中国共産党の最後の砦は愛国主義と人種カードとなるだろう」とずばり指摘している。
さてそうなると、アメリカは日本防衛の興味を失うだろう。そもそもアメリカ人の末端の意識は日本防衛の義務を埒外のことと考えている。
「中国人が三兆ドルの外貨準備を保有している時代に、われわれはヨーロッパ防衛のためにヨーロッパから借金する。湾岸諸国の防衛のために湾岸諸国から金を借りる。日本防衛のために日本から借金する。(中略)毎年、合衆国政府は対外援助のための債務を数百億ドル単位で増やしている。いったいなぜ?」(469p)。
したがってブキャナンは日本の核武装に賛成である。
「自ら核抑止力を開発できる能力があるのに、なぜアメリカが核の戦争のリスクを背負い続けなければならないのか?」(中略)「日本の核兵器保有は、日本を脅かす、ないしは攻撃しようとしている国々の脅威となるにすぎない」(486p)。
こうした本質的国益衝突とナショナル・アイデンティティの回復を説く本は日本人にも大いに参考になるだろう。
http://melma.com/backnumber_45206/
悪党どもの最後の砦、それは「愛国」と「民族」カードだ
尖閣を煽る共産党は自らの支配が最後のステージにあることを自覚している
パット・ブキャナン著 河内隆弥訳『超大国の自殺』(幻冬舎)
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「アメリカはもう死んでいる」とのっけから衝撃的発言が連発される。アメリカの「緩慢な後退には、国益と、国民の意思の不一致がみられる」(464p)。
ブキャナンといえば、ニクソンのスピーチ・ライターをつとめ、レーガン革命では保守思想の旗手として大活躍した。
しかもブッシュの弱腰中道路線をこっぴどく批判していたばかりか、それでも収まらず1992年と96年には自ら大統領選挙に出馬し、その予備選ではいくつかの州でトップか二位をかざり、本命ブッシュが青ざめる。 ともかく共和党主流派を大いに脅かす存在となった。
その後も保守系雑誌で健筆をふるい、テレビのコメンテーターとしても大活躍、根強いファンがある。そのファンは日本にも及んでおり、彼の論理的根拠は、その民族的アイデンティティの確立と歴史主義の尊重という立場、日本で言えば石原慎太郎的であり、西尾幹二的であり、過激な傾向を帯びている点では中川八洋的でもある。かれはグローバリズムに反対する国益最優先主義者でもある。
本書は、そのブキャナンの最新作。それも問題作で、2025年にアメリカは衰退の一図から自殺の道へ驀進していると説く、或る意味で物騒な本である。
何が原因でアメリカは衰退するかと言えば、次の五つ。
第一は「白人の少数化と部族主義」。カリフォルニア州では英語を喋る市民は40%しかいなくなったように白人がマイノリティに転落した。共和党に投票する十人に九人が白人だったが、その時代は終わった。
第二に「ナショナル・アイデンティティの喪失」。米国が基督教の国であることもオバマは否定した。
第三は「グローバリズムと格差」である。政府は三ドルの歳入に五ドルを支払うという税制の矛盾と拡大する福祉のツケがいずれ回る。グローバリズムは、日本ばかりか、いずれアメリカを痛めつけるだろう。
第四は「多様性」が国際潮流だと説く怪しげなリベラリズムの蔓延である。人種のルツボは、暴動を引き起こすようになったが、ますます移民を認めるアメリカは、独自性も喪った。
第五にブキャナンが指摘するのは軍事力の衰退、目を覆うほどの力の後退、その真空を埋める中国という好ましくない趨勢である。
評者(宮?)ははたと考えた。この五つはアメリカの問題でもあり、しかしながら日本の問題でもあるという深刻さである。
「日本列島は日本人だけのものではありません」とバカ総理が発言するほどに民族性が希薄となったうえ、日本の国益より中国の国益を優先する人たちが政治家に数多く、論壇ではTPP議論に代表されるようにグローバリズム礼賛がマスコミの主流である。
議論の多様化は、日本国民の結束力を急激に弱め、いったい何のために日本を守るのかという面妖な議論がまじめにテレビで議論される時代。
日本は老いて、このまま朽ちようとしている。
しかも中国の軍事力を前にして対応能力が欠落している。日本には国際常識としての軍隊が存在せず、未来の将校を育てる防衛大学は左翼に乗っ取られている。
嗚呼、ブキャナンの深刻なる告発は、日本でも同じことではないのか。
さて、ブキャナンは「やっかいな軍国主義国家」である中国に関して、こういう風に書いている。
「中国の共産党支配者に、その正統性についての危機が迫ることは避けようがない」(382p-383p)。
つまり共産党が政権をとった合法性がないと基本の矛盾を突きながら、つぎのように議論を進める。
「毛沢東主義と革命を放棄して共産党は強力な国家を建設した。が、どの独裁権力の理屈も破壊した。中国がうまく行っている間、共産主義はーーほら、ご覧なさい。党がなければダメなんです、と言っておられる。しかし、国が失敗しはじめれば党はどうなるか?
国民が「中国は失敗している。あなたたちの退場のときがきた、新しいアイディアを持つニュー・リーダーを探すんだ、新しい道を行くんだ」と言い出すとすればどう応えるのだろうか? 中国大衆が望んでいる資本主義の商品をこれ以上党が手渡すことが出来なくなったとき、共産党の絶対権力の保持を正当化する根拠をどこに求めればよいのか?」
すなわち「悪党ども最後の砦は愛国主義である」(383p)
ブキャナンは「中国共産党の最後の砦は愛国主義と人種カードとなるだろう」とずばり指摘している。
さてそうなると、アメリカは日本防衛の興味を失うだろう。そもそもアメリカ人の末端の意識は日本防衛の義務を埒外のことと考えている。
「中国人が三兆ドルの外貨準備を保有している時代に、われわれはヨーロッパ防衛のためにヨーロッパから借金する。湾岸諸国の防衛のために湾岸諸国から金を借りる。日本防衛のために日本から借金する。(中略)毎年、合衆国政府は対外援助のための債務を数百億ドル単位で増やしている。いったいなぜ?」(469p)。
したがってブキャナンは日本の核武装に賛成である。
「自ら核抑止力を開発できる能力があるのに、なぜアメリカが核の戦争のリスクを背負い続けなければならないのか?」(中略)「日本の核兵器保有は、日本を脅かす、ないしは攻撃しようとしている国々の脅威となるにすぎない」(486p)。
こうした本質的国益衝突とナショナル・アイデンティティの回復を説く本は日本人にも大いに参考になるだろう。