今やインターネットのない世界は考えられない時代となった。
PCの前に座って検索すればあらゆる情報が瞬時に目前に提示される。
買い物もインターネット経由で便利になり、もう後戻りできない。
街を歩けば、スマホ片手のビジネスマン、学生が闊歩しているし、危険ではあるがスマホやケータイ片手に自動車を運転する人も見かける。
その裏には万全のセキュリティがあってこそ成り立っている。
国防の分野では、敵対国に情報が盗み取られればたちまち劣勢に立たされる。
今も人力に頼るスパイが暗躍しているが、電子技術による情報戦は、重要な情報が盗まれていることに気がつかない場合があるという。
PCの前に座って検索すればあらゆる情報が瞬時に目前に提示される。
買い物もインターネット経由で便利になり、もう後戻りできない。
街を歩けば、スマホ片手のビジネスマン、学生が闊歩しているし、危険ではあるがスマホやケータイ片手に自動車を運転する人も見かける。
その裏には万全のセキュリティがあってこそ成り立っている。
国防の分野では、敵対国に情報が盗み取られればたちまち劣勢に立たされる。
今も人力に頼るスパイが暗躍しているが、電子技術による情報戦は、重要な情報が盗まれていることに気がつかない場合があるという。
陸自システムにサイバー攻撃、情報流出か 国家関与も 被害の全容不明 2016/11/28産経
http://www.sankei.com/affairs/print/161128/afr1611280003-c.html
防衛省と自衛隊の情報基盤で、駐屯地や基地を相互に結ぶ高速・大容量の通信ネットワークがサイバー攻撃を受け、陸上自衛隊のシステムに侵入されていたことが27日、複数の同省関係者の話で分かった。防衛省が構築した堅固なシステムの不備を突く高度な手法と確認された。詳細な記録が残されておらず、被害の全容は判明していないが、陸自の内部情報が流出した可能性が高い。
複数の自衛隊高級幹部は「危機的で相当深刻な事態だ。早急に再発防止策を講じる必要がある」と強調。一方、情報セキュリティーを担当する防衛省の斎藤雅一審議官は「個別の案件には答えられない」とコメントした。
防衛省は外部接続を制限するなど防御態勢を強化してきたが、今回はそれを上回る高度な手法から国家などが関与した組織的攻撃の疑いが強い。同省は深刻な事態と判断。9月ごろに確知し、直後にサイバー攻撃への警戒レベルを引き上げた。
関係者によると、攻撃を受けたのは、防衛省と自衛隊が共同で利用する通信ネットワーク「防衛情報通信基盤(DII)」。接続する防衛大と防衛医大のパソコンが不正アクセスの被害に遭ったとみられる。このパソコンを「踏み台」として利用した何者かが、陸自のシステムにも侵入した可能性が高い。防衛省は確知後、防衛省・自衛隊全体でインターネット利用を一時禁止した。
防衛大と防衛医大は、全国の大学が参加する学術系のネットワークにも入っている。このネットワークを経由して攻撃されたもようだ。
DIIはインターネットに接続する「部外系システム」と、関係者が内部情報をやりとりする「部内系システム」に分かれている。電子メールを通じてコンピューターウイルスが入り込むことなどを防ぐため、二つのシステムは分離して運用されている。
ただ、個々のパソコンは両方のシステムに接続し、切り替えながら利用する仕組みで、切り離しは完全ではなかった。攻撃者はこの仕組みを悪用したとみられるという。
■サイバー攻撃 政府機関や企業の情報通信システムに不正侵入し、機密情報を盗み出したり、データを破壊したりする行為。電子メールでコンピューターウイルスを送りつけ、感染したパソコンを遠隔操作する手口が目立つ。大量のデータを送信してサーバーに過大な負荷をかけ、サイトを閲覧できないようにする手法もある。2011年には国内で防衛産業を狙った大規模攻撃が明らかになり、セキュリティー対策が進む契機となった。
©2016 The Sankei Shimbun & SANKEI DIGITAL All rights reserved.
http://www.sankei.com/affairs/print/161128/afr1611280003-c.html
防衛省と自衛隊の情報基盤で、駐屯地や基地を相互に結ぶ高速・大容量の通信ネットワークがサイバー攻撃を受け、陸上自衛隊のシステムに侵入されていたことが27日、複数の同省関係者の話で分かった。防衛省が構築した堅固なシステムの不備を突く高度な手法と確認された。詳細な記録が残されておらず、被害の全容は判明していないが、陸自の内部情報が流出した可能性が高い。
複数の自衛隊高級幹部は「危機的で相当深刻な事態だ。早急に再発防止策を講じる必要がある」と強調。一方、情報セキュリティーを担当する防衛省の斎藤雅一審議官は「個別の案件には答えられない」とコメントした。
防衛省は外部接続を制限するなど防御態勢を強化してきたが、今回はそれを上回る高度な手法から国家などが関与した組織的攻撃の疑いが強い。同省は深刻な事態と判断。9月ごろに確知し、直後にサイバー攻撃への警戒レベルを引き上げた。
関係者によると、攻撃を受けたのは、防衛省と自衛隊が共同で利用する通信ネットワーク「防衛情報通信基盤(DII)」。接続する防衛大と防衛医大のパソコンが不正アクセスの被害に遭ったとみられる。このパソコンを「踏み台」として利用した何者かが、陸自のシステムにも侵入した可能性が高い。防衛省は確知後、防衛省・自衛隊全体でインターネット利用を一時禁止した。
防衛大と防衛医大は、全国の大学が参加する学術系のネットワークにも入っている。このネットワークを経由して攻撃されたもようだ。
DIIはインターネットに接続する「部外系システム」と、関係者が内部情報をやりとりする「部内系システム」に分かれている。電子メールを通じてコンピューターウイルスが入り込むことなどを防ぐため、二つのシステムは分離して運用されている。
ただ、個々のパソコンは両方のシステムに接続し、切り替えながら利用する仕組みで、切り離しは完全ではなかった。攻撃者はこの仕組みを悪用したとみられるという。
■サイバー攻撃 政府機関や企業の情報通信システムに不正侵入し、機密情報を盗み出したり、データを破壊したりする行為。電子メールでコンピューターウイルスを送りつけ、感染したパソコンを遠隔操作する手口が目立つ。大量のデータを送信してサーバーに過大な負荷をかけ、サイトを閲覧できないようにする手法もある。2011年には国内で防衛産業を狙った大規模攻撃が明らかになり、セキュリティー対策が進む契機となった。
©2016 The Sankei Shimbun & SANKEI DIGITAL All rights reserved.
鍛冶俊樹の軍事ジャーナル第258号(12月8日)
http://melma.com/backnumber_190875/
真珠湾からサイバーへ
以下は5年前の今日、配信された軍事ジャーナル(12月8日号)「日本は戦争に勝てた」である。現在でも通用すると思われるので、再録する。
「*
今日は大東亜戦争開戦の日だが、毎年この頃になると決まって飛び出す質問が「日本は何故負けると分かっていた戦争に突入したのか?」である。
敗戦後、旧軍人たちは負けた言い訳をするのはみっともないので、ひたすら反省の弁だけを述べた。「戦争を止められなくすみません」そこで上記の質問になる訳だ。
だが戦争をするに当たって勝算がない訳はなく、当然日本にもそれはあった。だから何故失敗したのかを考えることこそが真の反省となろう。
もちろん大国アメリカと戦争するに当たって、米都ワシントンを占領できるとは軍人達は思わなかった。だが日露戦争に当たってモスクワを占領できると明治の軍人は考えなかったし、実際に占領はしていないが、日本はロシアに勝っている。
当然戦前の軍人達は日露戦争をモデルに対米戦争に勝利する戦略を考えていた。日露戦争では、先ず海軍が露太平洋艦隊を撃滅し陸軍が満州に上陸しロシア陸軍を追い払い、そこで極東ロシアを救うべくアフリカを迂回してやってきたロシアのバルチック艦隊を、日本海軍が壊滅しロシアの戦意を喪失させて講和会議に持ち込んだ。
対英米戦では日本は同様の戦略を立てていた。まずフィリピンに駐留していた米軍を追い払い東南アジアにいた英軍を追い払い、これを救うべく太平洋を渡って来た米太平洋艦隊をフィリピン沖で壊滅し、講和に持ち込む戦略であった。
もしこの通りにやっていたら、あの戦争の結果はまるで違ったものになっていたであろう、というのが米国の歴史家の意見でもある。だが連合艦隊司令長官、山本五十六海軍大将はこの戦略を変更したのである。米艦隊を待ち受ける戦略から米拠点を積極的に叩く殴り込み戦略に変えたのだ。
この空母機動部隊を生かした殴り込み戦略は、米海軍にも評価され現在の米空母戦略の礎となっている。発想はよかったのだが、これを完遂するためにはレーダーの配備が必要だった。
レーダーは英国では1年前に配備されており、米国でも配備が始まっていた。日本海軍は戦艦大和やゼロ戦の開発に見るように当時、世界最高の技術水準を誇っていたにもかかわらず、レーダー開発だけは遅れを取っていた。電子情報に対する認識が欠如していたのである。
結局これが致命傷だった。相次ぐ殴り込みも敵が見えないのでは功を奏さない。米太平洋艦隊の壊滅に失敗し、日本海軍は戦力を消耗し最終的には海軍が壊滅して敗戦したのである。
この教訓は今の日本で生かされているだろうか?。私の体験からは生かされていないと結論せざる得ない。
私は1990年代半ばまで航空自衛隊にいて情報通信関係の仕事をしていた。当時の空自は世界最強の戦闘機F-15を擁し、インターネットのさきがけとなるバッジシステムを整備し、旧海軍さながら最高の技術水準を誇っていた。
だがインターネットの開通に伴い、私のいた部署はサイバー戦争対処を進言したのだが、パイロット中心の上層部はまったく聞く耳を持たなかった。「インターネット?、そんなモン、つなげなければいいんだろう。」
確かに1990年代前半にインターネットの必然性を説明するのは困難だった。だが私が去った後もサイバー戦争対処の必要性を説明した者は空自にいなかったようだ。おかげで1990年には世界最高の防空システムを誇った航空自衛隊は、21世紀には二流の空軍に成り下がったのである。
最近、防衛省は米国防総省からサイバー戦争対処で協力を求められて大慌てしているらしい。だがこの15年の遅れを今後5年で取り戻すのは、どうやっても不可能だろう。
*」
さて、果たして5年後の先月27日、防衛省の情報システムにサイバー攻撃が仕掛けられ陸自の情報が流出した可能性があると報道された。政府関係者は「承知していない」と報道を否定したが、現在の防衛省のサイバーセキュリティが極めて脆弱なのは周知の事実である。
要するに現在も5年前も20年前も、75年前と同じく電子情報戦への認識を欠いたままであり、日本の防衛は何の反省もしていないのである。
軍事ジャーナリスト 鍛冶俊樹(かじとしき)
1957年広島県生まれ、1983年埼玉大学教養学部卒業後、航空自衛隊に幹部候補生として入隊、主に情報通信関係の将校として11年間勤務。1994年文筆活動に転換、翌年、第1回読売論壇新人賞受賞。2011年、メルマ!ガ オブ ザイヤー受賞。2012年、著書「国防の常識」第7章を抜粋した論文「文化防衛と文明の衝突」が第5回「真の近現代史観」懸賞論文に入賞。
動画配信中:「地政学入門」第1回無料
http://www.nicovideo.jp/watch/1475838508
上記動画のテキスト本 「領土の常識」(角川新書)
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=321212000089
動画配信中:「地図で見る第二次世界大戦」第1回無料
http://www.nicovideo.jp/watch/1441391428
上記動画のテキスト本 文庫「図解大づかみ第二次世界大戦」
http://www.kadokawa.co.jp/product/321502000376/
動画配信中:「現代戦闘機ファイル」全編無料
http://www.nicovideo.jp/watch/1411697197
上記動画のテキスト本「イラスト図解 戦闘機」
http://www.tg-net.co.jp/item/4528019388.html
動画配信中「よくわかる!ミサイル白書」全編無料
http://www.nicovideo.jp/watch/1383640409
上記動画のテキスト本「超図解でよくわかる!現代のミサイル」
http://www.tg-net.co.jp/item/486298102X.html?isAZ=true
その他の著書:
「国防の常識」(角川新書)
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=201203000167
「戦争の常識」(文春新書)
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784166604265
「エシュロンと情報戦争」(文春新書、絶版)
http://melma.com/backnumber_190875/
真珠湾からサイバーへ
以下は5年前の今日、配信された軍事ジャーナル(12月8日号)「日本は戦争に勝てた」である。現在でも通用すると思われるので、再録する。
「*
今日は大東亜戦争開戦の日だが、毎年この頃になると決まって飛び出す質問が「日本は何故負けると分かっていた戦争に突入したのか?」である。
敗戦後、旧軍人たちは負けた言い訳をするのはみっともないので、ひたすら反省の弁だけを述べた。「戦争を止められなくすみません」そこで上記の質問になる訳だ。
だが戦争をするに当たって勝算がない訳はなく、当然日本にもそれはあった。だから何故失敗したのかを考えることこそが真の反省となろう。
もちろん大国アメリカと戦争するに当たって、米都ワシントンを占領できるとは軍人達は思わなかった。だが日露戦争に当たってモスクワを占領できると明治の軍人は考えなかったし、実際に占領はしていないが、日本はロシアに勝っている。
当然戦前の軍人達は日露戦争をモデルに対米戦争に勝利する戦略を考えていた。日露戦争では、先ず海軍が露太平洋艦隊を撃滅し陸軍が満州に上陸しロシア陸軍を追い払い、そこで極東ロシアを救うべくアフリカを迂回してやってきたロシアのバルチック艦隊を、日本海軍が壊滅しロシアの戦意を喪失させて講和会議に持ち込んだ。
対英米戦では日本は同様の戦略を立てていた。まずフィリピンに駐留していた米軍を追い払い東南アジアにいた英軍を追い払い、これを救うべく太平洋を渡って来た米太平洋艦隊をフィリピン沖で壊滅し、講和に持ち込む戦略であった。
もしこの通りにやっていたら、あの戦争の結果はまるで違ったものになっていたであろう、というのが米国の歴史家の意見でもある。だが連合艦隊司令長官、山本五十六海軍大将はこの戦略を変更したのである。米艦隊を待ち受ける戦略から米拠点を積極的に叩く殴り込み戦略に変えたのだ。
この空母機動部隊を生かした殴り込み戦略は、米海軍にも評価され現在の米空母戦略の礎となっている。発想はよかったのだが、これを完遂するためにはレーダーの配備が必要だった。
レーダーは英国では1年前に配備されており、米国でも配備が始まっていた。日本海軍は戦艦大和やゼロ戦の開発に見るように当時、世界最高の技術水準を誇っていたにもかかわらず、レーダー開発だけは遅れを取っていた。電子情報に対する認識が欠如していたのである。
結局これが致命傷だった。相次ぐ殴り込みも敵が見えないのでは功を奏さない。米太平洋艦隊の壊滅に失敗し、日本海軍は戦力を消耗し最終的には海軍が壊滅して敗戦したのである。
この教訓は今の日本で生かされているだろうか?。私の体験からは生かされていないと結論せざる得ない。
私は1990年代半ばまで航空自衛隊にいて情報通信関係の仕事をしていた。当時の空自は世界最強の戦闘機F-15を擁し、インターネットのさきがけとなるバッジシステムを整備し、旧海軍さながら最高の技術水準を誇っていた。
だがインターネットの開通に伴い、私のいた部署はサイバー戦争対処を進言したのだが、パイロット中心の上層部はまったく聞く耳を持たなかった。「インターネット?、そんなモン、つなげなければいいんだろう。」
確かに1990年代前半にインターネットの必然性を説明するのは困難だった。だが私が去った後もサイバー戦争対処の必要性を説明した者は空自にいなかったようだ。おかげで1990年には世界最高の防空システムを誇った航空自衛隊は、21世紀には二流の空軍に成り下がったのである。
最近、防衛省は米国防総省からサイバー戦争対処で協力を求められて大慌てしているらしい。だがこの15年の遅れを今後5年で取り戻すのは、どうやっても不可能だろう。
*」
さて、果たして5年後の先月27日、防衛省の情報システムにサイバー攻撃が仕掛けられ陸自の情報が流出した可能性があると報道された。政府関係者は「承知していない」と報道を否定したが、現在の防衛省のサイバーセキュリティが極めて脆弱なのは周知の事実である。
要するに現在も5年前も20年前も、75年前と同じく電子情報戦への認識を欠いたままであり、日本の防衛は何の反省もしていないのである。
軍事ジャーナリスト 鍛冶俊樹(かじとしき)
1957年広島県生まれ、1983年埼玉大学教養学部卒業後、航空自衛隊に幹部候補生として入隊、主に情報通信関係の将校として11年間勤務。1994年文筆活動に転換、翌年、第1回読売論壇新人賞受賞。2011年、メルマ!ガ オブ ザイヤー受賞。2012年、著書「国防の常識」第7章を抜粋した論文「文化防衛と文明の衝突」が第5回「真の近現代史観」懸賞論文に入賞。
動画配信中:「地政学入門」第1回無料
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上記動画のテキスト本 「領土の常識」(角川新書)
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上記動画のテキスト本「イラスト図解 戦闘機」
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その他の著書:
「国防の常識」(角川新書)
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「戦争の常識」(文春新書)
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