タイタンの逆襲 - goo 映画
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(C) 2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND LEGENDARY PICTURES FUNDING, LLC
ギリシャ神話に名を借りた怪獣映画、『タイタンの戦い』の続編。ところが、今回は怪獣映画というにはヒト型の敵が多かったか。
最初に出てきたキメラぐらいですかね、狩りたくなったのは(笑)
後は、一つ目巨人のサイクロプスに、牛頭のミノタウロス。最後の戦いに出てくる二人羽織みたいなのはマカイという名前らしいけれど、何かと思ったらマケーかよ。戦いの女神の名前じゃないか。
そして、タイタン族クロノス。巨大な溶岩巨人で、明らかに火山の擬人化といった感じ。地下に封印されていたのが、ゼウスの力を奪って徐々に覚醒し大噴火というのも、いかにも火山っぽい。クロノスが遂に地上に登場するシーンはなかなかの迫力だった。
とりあえず、ド迫力の映像を大画面で見るにはうってつけの映画でありました。
ストーリーはといえば、ギリシア神話はほとんど無関係。ギリシャ神話を知っていると、キャラ設定にクスリとするぐらい。ヘパイストスがアンドロメダ女王に向かって、アフロディーテに似ているというシーンとか。あの神様、美人とみると誰にでもアフロディーテに似ていると言いそうだからな。
結局のところ、物語はどこかからの借り物風で、オリジナリティーに欠ける。なんというか、日本のゲームでよくある「お使いRPG」な感じ。クロノスを閉じ込めた迷宮は石造りの仕掛けが動くところなど、ちょっとインディージョーズ風。ただ、スケールはやたらと大きかったけれどもね。
祖父クロノス、父ゼウス、息子ペルセウス、孫ヘレイオスの代々続く親子関係のドラマもなんというか中途半端。孫は息子より可愛い的な部分があったりすると良かったのかもしれないけれど。アメリカ人的には、父親を越えるとか、父親と和解するとかのドラマが好きなんだよね。なので、無理やりくっつけてみましたっていう感じかな。
一方で、完全に敵役だった伯父のハデスは、実はペルセウスに嫉妬した兄アレスにそそのかされていたとか。さすが、ギリシャの神々は嫉妬深いからな(笑)
しかし、そのせいで、ハデスとゼウスのおじいさん二人組の最期の戦いが生まれ、なかなか感動的だったかも。そういった意味では、親子の映画というより、兄弟の確執と和解の物語の方が強かったか。ペルセウスはアレスと和解せずに殺しちゃったけどさ!
新キャラのアゲノールはポセイドンの息子。ここでも親子の何かがあるかと思ったが、ポセイドンは死んじゃってるので、特に何もなく。ヘタレ男が“ナビゲーター”として成長する様子は描かれていたけど、あんまり感情移入するようなキャラじゃなかったな。でも最後の戦場で先頭に立って戦ったのは恰好良かった。
実は個人的にこの映画でジーンと来たのは「人々が祈らなくなったので神々の力が衰えた」というところ。すっかりと荒れ果ててしまった神殿が物悲しい。そして、神々は力を失い、死んでいく。ハデスのクロノス復活計画は、いわばこの苦境に対する一発逆転の奇策だったわけだけれど、直前で弟を犠牲にすることを思いとどまり、後始末を付けに行くわけだよ。
この「神の死」を戦いのための設定ではなく、メインテーマにすればよかったのにと思う。
ギリシャの神殿は観光地として残ってはいるけれど、誰も神様になんて祈りやしないし。ギリシャの神々を奉じる宗教なんて、キリスト教が一掃してしまったからな。そういった意味では、神社やお稲荷さんが残って、未だに宗教的にも続いている日本は珍しい国なんだろうか。