『失われた黄金都市』 マイクル・クライトン (ハヤカワ文庫 NV)
なぜ今頃という感じだが、SFマガジンの酒井昭伸さんのクライトン記事につられて……。
古代文明とUMAは俺の大好物である。ゆえに、必然的にこの小説も大好きだ。いろいろ評価が低いのは残念と言わざるを得ない。
今読んでみると、確かにコンピューター関連の記述は古すぎ。メモリ容量もK単位ですごいと言っているレベル。これくらいの古さだと、リレーがカチカチ音を立てている方がまだましに思えるくらいに陳腐だ。
しかし、コンピュータを使った画像解析や、それを不完全ながらもオンラインでやってしまおうという描写は、執筆された年代を考えるとかなり先進的だったのではないかと思う。
手話のできるゴリラのエイミーに関しては、残念ながらどこまで現実なのかよくわからないが、チンパンジーとの比較イメージは誤解が多いという記述が面白かった。ゴリラ研究者の主観として描かれているので、当然演出も含むのだろうが、愚鈍な暴力者というイメージとは程遠く、繊細で知的な生き物なのだろう。
ネアンデルタール人も温和な性格だったために、われわれヒトに滅ぼされたという説もあるくらいだし、体格がいいから凶暴というイメージは良くないのかもしれない。雪男やヒバゴンも心優しい原人なんだろうね。
また、アフリカのジャングルに対するイメージを覆すようなリアルな描写もなかなか興味深かった。日本にいると、アマゾンもボルネオもアフリカも、ただの秘境でよくわからないままになってしまうけれど。
アフリカは人類発祥の地と言われるけれど、古代遺跡は砂漠に集中していて、ジャングルには遺跡が見つかっていない。でもこれは、文明の跡が残りづらかったというだけなのかもしれないんだよね。日本だって、木造文化のために、初代出雲大社みたいな古代遺跡はほとんど残っていないし。やっぱり古代文明はロマンだわ。
小説としては、ハリウッドムービー的なジェットコースター冒険小説なのだけれど、調査隊の証言を基にした体験記の体裁をとっており、時折挟まれる「本人の証言によれば」みたいな記述は、返って興ざめだった。
いろいろ注文つけたい箇所はあるのだけれど、扱っている題材が題材なだけに、読んでて楽しい小説だった。
なぜ今頃という感じだが、SFマガジンの酒井昭伸さんのクライトン記事につられて……。
古代文明とUMAは俺の大好物である。ゆえに、必然的にこの小説も大好きだ。いろいろ評価が低いのは残念と言わざるを得ない。
今読んでみると、確かにコンピューター関連の記述は古すぎ。メモリ容量もK単位ですごいと言っているレベル。これくらいの古さだと、リレーがカチカチ音を立てている方がまだましに思えるくらいに陳腐だ。
しかし、コンピュータを使った画像解析や、それを不完全ながらもオンラインでやってしまおうという描写は、執筆された年代を考えるとかなり先進的だったのではないかと思う。
手話のできるゴリラのエイミーに関しては、残念ながらどこまで現実なのかよくわからないが、チンパンジーとの比較イメージは誤解が多いという記述が面白かった。ゴリラ研究者の主観として描かれているので、当然演出も含むのだろうが、愚鈍な暴力者というイメージとは程遠く、繊細で知的な生き物なのだろう。
ネアンデルタール人も温和な性格だったために、われわれヒトに滅ぼされたという説もあるくらいだし、体格がいいから凶暴というイメージは良くないのかもしれない。雪男やヒバゴンも心優しい原人なんだろうね。
また、アフリカのジャングルに対するイメージを覆すようなリアルな描写もなかなか興味深かった。日本にいると、アマゾンもボルネオもアフリカも、ただの秘境でよくわからないままになってしまうけれど。
アフリカは人類発祥の地と言われるけれど、古代遺跡は砂漠に集中していて、ジャングルには遺跡が見つかっていない。でもこれは、文明の跡が残りづらかったというだけなのかもしれないんだよね。日本だって、木造文化のために、初代出雲大社みたいな古代遺跡はほとんど残っていないし。やっぱり古代文明はロマンだわ。
小説としては、ハリウッドムービー的なジェットコースター冒険小説なのだけれど、調査隊の証言を基にした体験記の体裁をとっており、時折挟まれる「本人の証言によれば」みたいな記述は、返って興ざめだった。
いろいろ注文つけたい箇所はあるのだけれど、扱っている題材が題材なだけに、読んでて楽しい小説だった。