神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[SF] リライト

2012-05-13 23:26:35 | SF
『リライト』 法条遥 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)





『時をかける少女』へのオマージュがいっぱいの青春タイムトラベルSF。と思いきや、叙述トリックあり、信じられない語り手ありの底意地の悪いミステリー。

1992年と、2002年の物語が交互に語られるのだけれど、その中に矛盾点やおかしなことがたくさん。読者はそれらを手掛かりに、本当にタイムトラベルはあったのか、あの夏に起こった出来事はなんだったのかを探らなくてはいけない。

最終的に明らかにされる結末は、それらの矛盾点や謎をきれいに説明する鮮やかなものだったが、ちょっと無理矢理過ぎな感じで、いまひとつ。

そして、なぜそれらの矛盾が発生したのかという理由と、殺人事件の謎が組み合わさったとき、そこに見える動機を悍ましいとみるか、馬鹿馬鹿しいとみるか。

個人的には、40人分の夏という結末の時点で「そんな馬鹿な」と思ってしまったので、未来人が囚われしまった動機についての方が印象が薄くなって、あまり衝撃を受けなかった。残酷な、とか、悍ましいといった形容は、ほかの紹介や感想からの借り物。

確かによく考えると、怖い話ではあるんだけれども。


そんなことより、何も矛盾が発生しなかった、つまり、10年前の主人公が10年後の家に携帯電話を取りに来たとして、本当に矛盾がないのかという辺りの方が気になっていた。その携帯電話は、10年後の主人公のものではなく、10年前にタイムトラベルで手に入れたものだ。だとすると、その携帯電話はいったいどこから来たのか。明らかに矛盾である。いわゆる閉じた輪のケースによるタイムパラドックス。

未来人のわざとらしさや、過剰なまでの「時をかける少女」へのオマージュから、実はタイムトラベルは無かった説が自分の中では主流だったんだよね。ほら、記憶を上書きする装置も登場していたじゃないか。MIBみたいなやつ。

なので、タイトルの『リライト』も記憶のリライトを示していて……みたいなことを考えていたのだけれど、すべて外れました。

……いや、やっぱりこの結末は、想像を超えて斜め上だわ。

[コンサ] 2012 J1 第11節 札幌 vs 東京

2012-05-13 22:13:26 | コンサ
2012年 J1 第11節 コンサドーレ札幌 0-1 FC東京 @スカパー


やっと1勝を上げたものの、アウェイで横浜に負け、最下位脱出は遠く。ホームに戻ってきての東京戦。

FC東京は昨年J2最終戦で気持ち良く勝って昇格を決めた相手だ。しかし、天皇杯を制してACLにまで参加しているFC東京と札幌の差は大きい。そう簡単に勝てる相手ではない。



と思ってはいたもの、まさかの54秒で失点。まさに秒殺。あんな形のゴールを決められるなんてめったにないだろう。またもやアクシデント的な失点で先制されてしまう。

日高の転倒がきっかけに見えるが、転倒しなくても結果は同じだったかも。しかし、この試合、なんとなく札幌も東京も転ぶ選手が多かったように思う。水撒いてたりしたのか。

その後も東京にボールを回されるが、カウンターからのチャンスもあってシュート数は互角。前半30分ごろなんて、シュート数は6-3で札幌の方がダブルスコアで優っていた。

本当に惜しいシーンが続く。河合のゆるゆるシュート、古田のゴール前1対1、岩沼が駆け上がってきての強烈なシュート。どれも綺麗に決まっていてもおかしくないシーンだった。

とにかく権田が邪魔。こんな試合で当たりまくらなくてもいいのにと思うほどの大当たり。いつもは枠内にいかないシュートも、この試合では枠内に行く回数が多かったが、結局すべて権田にはじき返されてしまった。

後半になっても互角の勝負だった。ショートパスを回すFC東京、プレスからこぼれ球を狙って速い攻撃を仕掛ける札幌。それも、カウンター一発というよりは、前田のキープからボールを左右に振ってビルドアップできていた。

逆に札幌が攻め込んで東京がカウンターみたくなるシーンもあったが、ショートパス主体なのでカウンターになりきらない。ある意味、守りやすく、札幌にとってはラッキーだった。

終了間際には大島をトップに、榊、内村をシャドウに置く、3-4-3のような形でロングボールからの局面打開を狙ったが、残念ながら不発に終わり試合終了。この形の練習ができてるのかどうかという疑問はあるが、勝ちたいという監督や選手の気持ちは伝わってきた。

そんな感じでお互いに攻め合ったものの得点は奪えず、開始直後の失点が響いて0-1での負け。ホーム連勝はならず。まぁ、ほら、厚別じゃなくてドームだったから……。



それにしても、1点差負けという惜しい試合が多すぎる。まったく歯が立たずにぼろ負けした試合は少なく、もうちょっとが足りない試合ばかり。それだけに、大きく何かを変えることができない。

何が悪いということもなく、とにかくプレー一つ一つの精度の問題としか言いようがない。そして、それは一朝一夕に身に付くものではないのだから、地道に成長していくしかない。

このメンバーでJ1は難しいと、開幕前から言われているのは知っているが、金がない以上、このメンバーで愚直に頑張るしかない。それでだめならば、J2に戻るだけだ。

それにしても、鳥栖はなんであんなに勝てているんだろうか。まったく不思議なことだ。


[コンサ] 2012 J1 第10節 横浜 vs 札幌

2012-05-06 22:52:21 | コンサ
2012年 J1 第10節 横浜Fマリノス 2-1 コンサドーレ札幌 @日産スタジアム


こどもの日は前日だったものの、日産スタジアムではたくさんの鯉のぼりがお出迎え。天候は怪しげな雲行きだったが、その風に雄々しく泳いでいた。

横浜FCはナビスコカップで勝利した相手。思えば、今季の初勝利だった。しかし、その時は両チームともサブメンバー主体だっただけに、前回の結果は当てにならない。しかも、横浜FCは同じ相手に連敗するわけにはいかず、返って気合を入れてきているかも。正直言って、最下位のチームには舐めてかかってきていただきたいのですが。

この日は思ったよりも人手が足りないということで、ビッグフラッグとSAPPOROタスキのお手伝い。しかし、せっかくの演出はテレビに映っていなかったような……。









雷雨が来るかもという不穏な天気の中、試合開始。

序盤、古田が抜け出すも、倒されてもシュート打てず。一方、その直後、齋藤学がシュートまで持っていく。この差が代表に選出される選手と、選出されない選手の差なんだろうかと複雑な気分。

序盤にチャンスがあったのはこのシーンくらいで、その後、まったくボールを奪えずに横浜の攻撃練習状態。

クリアボールもつなぐボールも、ことごとく相手に拾われる。シュートを撃てないのは、ミドルを撃てる位置にすら出ていけないから。せっかく攻め上がった時もミスでボールを失う。

そしてついに失点。大黒のシュートのこぼれ球を齋藤のキーパーチャージ気味のプレーから中村に蹴り込まれる。アクシデント気味なので、この1点は仕方がないか。

なんだか、こういうアクシデント的な失点が多いような気がする。そしてサポーターに審判不信がたまっていく。

しかし、その直後、古田のシュートで同点。

日高のクロスを前田がポストプレーでキープし、相手DFを集める。そこからパスかこぼれ球か微妙な感じでボールを貰った岩沼のパスを古田が蹴り込んでのシュート。このプレーは素晴らしい。やっぱり、ちゃんと形にはまれば、得点は奪える。

集中力を切らさないこと、ミスをしないこと。本当にそれしかないんだけど。

そして問題のシーン。中村のシュートが大黒に当たってゴールラインを割るも、審判の判定はコーナーキック。さらにたまる審判不信。

その後、前田がペナルティエリアで倒されてもノーファール。これは微妙なシーンだけど、どんどんたまる審判不信。

やっぱり、札幌は弱い、札幌の選手は下手という先入観が審判側にあると疑いたくなる。しかも、アウェイだけでなく、ホームでもこんな感じだからな。

シュート数は前半、横浜15-2札幌。完全にボールを支配されているが、スコアはなんとか同点で折り返し。


後半は、序盤から札幌の攻撃シーンが2回続けて見られる。古田、前田、高木が絡むも、残念ながらシュートまで行けない。

しかし、その後は横浜の攻撃練習開始。やっぱりボールを奪えない、つなげない。

前田に変えて内村。さらに砂川。パスでの組立よりもカウンター狙いにに切り替えた感じ。そこからカウンターぎみの攻撃がはまり始めたか、砂川、内村とシュートチャンスをつかむが、どちらも相手DFに当たり、得点ならず。

この選手交代で、なんとなくきっかけをつかんだように見えたが、逆に追加点を奪われてしまう。

左右もコンパクトにしたおかげでフリーで空いたサイドの選手から綺麗にクロスが入り、DF陣がマルキーニョスに気を取られている隙に谷口のヘディング。櫛引が付いていたし、人は足りていただけに残念な失点。正直言って、フリーにしたのは高木の怠慢プレーに見えたんだけど、スタミナ切れか。その高木はその直後に負傷退場。

その後。岡本が入って3バックにするが、宮澤、岩沼のボランチでは、返ってボールが収まらなくなったような気が。

宮澤は球離れが早いのはいいのだけれど、時々パスの正確性に欠けるのが問題。前線だと問題ないんだけれど、あの位置でのパスミスは致命的。やっぱり前線の選手だと思うよ、彼は。逆に岩沼は球離れが遅い。ちょっとフィールドを見回してからパスを出す感じ。プレッシャーの小さいサイドからアーリークロスを上げるにはいいんだけれど、これまた中央でボールを保持するのはあぶなっかしい。。

やっぱり山本が戻ってこないと、ここが穴になってしまうのか。


結局、2-1で、またしても1点差負け。最終的なシュート数は、横浜21-3札幌。試合内容としては、完敗なのでしかたがないとはいえ、スコア上では惜敗が続く。もうちょっと、あと少し。

だいたい、大黒、齋藤のツートップなんて、J2レベルじゃないか。なんて言ってみても、個々の選手を比較してみれば、やっぱりレベルの差はいかんともしがたい。

ここはやっぱり大物外国人補強しかないのか。金が無いのであんまり大物は呼べないと思うんだけど。







[SF] NOVA7

2012-05-05 23:21:23 | SF
『NOVA7』 大森望 責任編集 (河出文庫)





『NOVA』ももう7冊目。コンスタントに良質の日本SF短編が書下ろしで集まってくるのは本当にすごいことだと思う。こういうのは雑誌よりも書き下ろしアンソロジーの方が作りやすいんですかね。

今回は常連やSFプロパーに加え、新顔3人が登場。現代的な感性でいずれも面白い。かえって古株さんよりも彼らの書くSFの方が新鮮で面白いかもと思ってしまう。

特に、『サムライ・ポテト』が好き。この結末は想像できなかったうえに、切なすぎる。



○『スペース地獄篇』 宮内悠介
アイディア的にはいいのだけれど、なんとなく文章が合わない。各方面で絶賛中のところ、たいへん申し訳ありませんが……。

○『コズミックロマンスカルテット with E』 小川一水
馬鹿すぎる。しかし、ただの馬鹿話なだけではなく、結婚とはなんぞやという哲学的命題に思いを馳せるにはちょうどいい短編かもしれない。

○『灼熱のヴィーナス』 谷甲州
技術者の燃える心意気ってやつよ! でも、なんで尻切れトンボなんですかね。

○『土星人襲来』 増田俊也
これも馬鹿すぎる。しかし、この人、北大出身だったのか。そっちにびっくりだ。

○『社内肝試し大会に関するメモ』 北野勇作
何が起こっているのかわからないのだけれど、なんだか怖い。SF的解釈はハッキリしているのだけれど、肝試しにしちゃうところが怖い。

◎『植物標本集』 藤田雅矢
馬鹿話が続いた後で、こういう静かな作品にぶち当たると、そのギャップだけで高評価(笑)
内容的には、やっぱり馬鹿話なんだけれど、静かな語り口が趣深さを強調している感じ。

○『開閉式』 西崎憲
世にも奇妙な物語系ファンタジー。こんなのばっかりでも飽きるけど、SFアンソロジーの中の一編としてはいい感じ。

◎『ヒツギとイオリ』 壁井ユカコ
著者は『キーリ』の人。痛みを感じないイオリと、痛みを他人に伝播させるヒツギの物語にだんだん引き込まれていく。当初、化け物ぽかった二人が分かりあっていく様子がすごくいい。

○『リンナチューン』 扇智史
なんだか主人公は気が狂ってるように思えるので、SF的なテーマよりも気持ち悪さが先に来る。それから、著者の意図ではないのかもしれないけど、どうしても♪リンダリンダが聞こえてきて、なんとも。

◎『サムライ・ポテト』 片瀬二郎
これは泣いた。マジ泣き。切なすぎる。
たとえば、偶然のファンタジーで意識を持ってしまったのではなく、科学的/工学的に意識を持ったロボットができたとしても、こういう理不尽な物語が生まれてしまうんだろうなという気がする。そう思ってしまうと、さらにセツナイ。



今日の多摩湖、狭山湖

2012-05-05 22:16:07 | Weblog
昨日に続いて今日は多摩湖方面へ。

天気も良くてちょうどいい感じの気温で、なかなかのサイクリング日和でした。

この多摩湖、何度来てもどこかヨーロッパのリゾートみたいな風景でいい感じです。








これは玉湖神社。今は空き家で、なんだかだんだん荒れ果てていって、かわいそうな感じですが、祟りとか大丈夫なんでしょうか。



しかし、今日の目的はダートです。ダート!

多摩湖の北側、給食センター横から六道山のハイキングコースを無理矢理登ります。久しぶりなので、ちょっときつい。しかも、昨日までの雨で泥だらけ。

そして登り切った先には、通称ドラクエの塔。ザバゲー禁止の張り紙があります。ただの展望台なんですけどね。

さらにそこから狭山湖を回り込むような山道を降りたり登ったり。

ひーこら言いながら狭山湖堰堤まで到着。この写真じゃ多摩湖と見分けがつきませんな。









昨日とは大違いの好天に恵まれ、良かったと言えばよかったのですが、腕や顔が日に焼けてかゆいです。

かゆ
うま


あー。サドルに擦れてケツが痛い。ハンドルに擦れて手のひらが痛い。

やっぱり、継続して走ってないとダメですね。がんばろう。



今日の多摩川サイクリングロード

2012-05-04 23:36:42 | Weblog
先週、自転車を新しく買ったのだけれど、なかなか晴れた日に時間が無くってサイクリングに行けなかったのです。

で、今日の午前中限定で多摩川サイクリングロードを走ってみました。

昨日までの大雨で多摩川が増水していて、怖いくらい。堰も中洲も濁流の下です。

橋の下に木屑が堆積してたり、まるで洪水の後のようでした。木屑の中にはペットボトルや便所サンダルが混じってたり。

そんな時でも、バーベキューやってる若者たちは元気ですね。帰りはいい匂いに腹が減って大変でした。

多摩水道橋あたりにあった鯉のぼりの大群にはちょっと癒されましたけどね。












[映画] ミッション:8ミニッツ

2012-05-04 23:16:26 | 映画
ミッション:8ミニッツ - goo 映画



(C)2011 Summit Entertainment, LLC. All rights reserved.



最近、映画を観まくっていたので、あんまりレンタルで見るもの無いなーと思ってたら、見忘れてたのを思い出してTSUTAYAの会員更新でレンタル。

しかし、始まってからすぐに失敗したと思った。なんだこの糞で無理矢理な設定。突っ込みどころ満載というか、突っ込みどころしかない。突っ込むのは野暮とかいうレベルじゃない。阿呆らし過ぎて見てられない。

犯人探しの件だって、爆発する列車から降りた奴が怪しいに決まってるだろうに、頭悪すぎる。

とか思って見ていたのだけれど……。



終わってみたら、なんだかいい話のファンタジーだった。

そう、あんたは世界を救ったし、すべてはうまくいくんだよ。



ただ、世界をいくら分岐させたって、列車を救えなかった世界がなくなるわけじゃないんだ。残念だったね。

本人も自己満足だと知っていたし、世界が終わらなかったのはボーナストラックだということを理解できているみたいだったけど。

だからこそ、脚本上もすべてわかった上でのご都合主義のファンタジーだったということなんだろうね。



あー、あと、アメリカ人は、そろそろ父と息子の和解がテーマに入っていない映画を作ってくれないかね。



[映画] タイタンの逆襲

2012-05-04 00:24:25 | 映画
タイタンの逆襲 - goo 映画



(C) 2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND LEGENDARY PICTURES FUNDING, LLC



ギリシャ神話に名を借りた怪獣映画、『タイタンの戦い』の続編。ところが、今回は怪獣映画というにはヒト型の敵が多かったか。

最初に出てきたキメラぐらいですかね、狩りたくなったのは(笑)

後は、一つ目巨人のサイクロプスに、牛頭のミノタウロス。最後の戦いに出てくる二人羽織みたいなのはマカイという名前らしいけれど、何かと思ったらマケーかよ。戦いの女神の名前じゃないか。

そして、タイタン族クロノス。巨大な溶岩巨人で、明らかに火山の擬人化といった感じ。地下に封印されていたのが、ゼウスの力を奪って徐々に覚醒し大噴火というのも、いかにも火山っぽい。クロノスが遂に地上に登場するシーンはなかなかの迫力だった。

とりあえず、ド迫力の映像を大画面で見るにはうってつけの映画でありました。



ストーリーはといえば、ギリシア神話はほとんど無関係。ギリシャ神話を知っていると、キャラ設定にクスリとするぐらい。ヘパイストスがアンドロメダ女王に向かって、アフロディーテに似ているというシーンとか。あの神様、美人とみると誰にでもアフロディーテに似ていると言いそうだからな。

結局のところ、物語はどこかからの借り物風で、オリジナリティーに欠ける。なんというか、日本のゲームでよくある「お使いRPG」な感じ。クロノスを閉じ込めた迷宮は石造りの仕掛けが動くところなど、ちょっとインディージョーズ風。ただ、スケールはやたらと大きかったけれどもね。

祖父クロノス、父ゼウス、息子ペルセウス、孫ヘレイオスの代々続く親子関係のドラマもなんというか中途半端。孫は息子より可愛い的な部分があったりすると良かったのかもしれないけれど。アメリカ人的には、父親を越えるとか、父親と和解するとかのドラマが好きなんだよね。なので、無理やりくっつけてみましたっていう感じかな。

一方で、完全に敵役だった伯父のハデスは、実はペルセウスに嫉妬した兄アレスにそそのかされていたとか。さすが、ギリシャの神々は嫉妬深いからな(笑)

しかし、そのせいで、ハデスとゼウスのおじいさん二人組の最期の戦いが生まれ、なかなか感動的だったかも。そういった意味では、親子の映画というより、兄弟の確執と和解の物語の方が強かったか。ペルセウスはアレスと和解せずに殺しちゃったけどさ!

新キャラのアゲノールはポセイドンの息子。ここでも親子の何かがあるかと思ったが、ポセイドンは死んじゃってるので、特に何もなく。ヘタレ男が“ナビゲーター”として成長する様子は描かれていたけど、あんまり感情移入するようなキャラじゃなかったな。でも最後の戦場で先頭に立って戦ったのは恰好良かった。



実は個人的にこの映画でジーンと来たのは「人々が祈らなくなったので神々の力が衰えた」というところ。すっかりと荒れ果ててしまった神殿が物悲しい。そして、神々は力を失い、死んでいく。ハデスのクロノス復活計画は、いわばこの苦境に対する一発逆転の奇策だったわけだけれど、直前で弟を犠牲にすることを思いとどまり、後始末を付けに行くわけだよ。

この「神の死」を戦いのための設定ではなく、メインテーマにすればよかったのにと思う。

ギリシャの神殿は観光地として残ってはいるけれど、誰も神様になんて祈りやしないし。ギリシャの神々を奉じる宗教なんて、キリスト教が一掃してしまったからな。そういった意味では、神社やお稲荷さんが残って、未だに宗教的にも続いている日本は珍しい国なんだろうか。



[コンサ] 2012 J1 第9節 札幌 vs C大阪

2012-05-03 23:23:33 | コンサ
2012年 J1 第9節 コンサドーレ札幌 1-0 セレッソ大阪 @スカパー


やっと桜の咲いた札幌。そして迎えた相手はセレッソ大阪(通称:桜)。

かつてうちのエース吉原宏太と交換で在籍(宏太は完全で播戸はレンタルだったけどな)していた播戸がいたり、今年の初めに急な移籍でサポを騒がせた山下がいたりとネタも十分な対戦だ。

その山下は結局ベンチ外。うちに居れば不動のセンターバックだったかもしれないのにね。


そんなことはさておき、とにかく結果の欲しい札幌。遂にゼロ勝で4月を終え、だんだんとイヤな雰囲気が醸し出されつつあるが、今日は聖地厚別の開幕戦である。もともと、コンサドーレのホームは厚別陸上競技場。ドームができて本拠地を移したものの、夏場は厚別開催が多くなる。そして、この厚別こそ、サポも選手も必要以上に気合の入るスタジアムなのだ。

あいにくの雨模様だったが、予報に反してにわか雨が降る程度。雨雲もサポの熱気に押されて躊躇したか。



試合の序盤はセレッソペース。お互いにミスが多くてバタバタしていたが、先に立て直して主導権を持ったのがセレッソ。コーナーキックの連続とか、ちょっとヤバ目のシーンもあったり。

しかし、そんな中で先制したのは札幌。宮澤の縦パスが奪われるもの、日高がすぐにそれを奪い返して縦に抜け、低めのセンタリング。これを近藤がうまく反転してシュート。

実はちょっと目を離していたときだったので、「キタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━ !!!!!」ができなかった。残念。

あれ、いつの間にか点が入っているとびっくりした(笑)

その後は札幌の選手が気をよくしたのか、セカンドボールをどんどん拾うようになる。ボールホルダーをマークしながら相手の攻撃を遅らせるだけではなく、積極的にパスカットを仕掛けていったのが、うまくはまった。この結果、トップスピードでボールを奪う状態になるので、そのままドリブルで攻め上がってカウンター気味の攻撃につなげられた。

特に、日高、櫛引、河合のパスカットは良く目立っていた。前田も守備に戻るシーンが多く、近藤の方がワントップだったような感じ。

前半は1-0のまま終了し、後半開始。いつもはこのあたりから、肉体的にも精神的にも消耗して逆転されてしまっていたのだけれど、今日は後半に入っても、攻撃的な守備が続いた。そこから一気のカウンター。古田や前田、高木がドリブルで突っ込んでいく。

後半8分くらいに前田が見せたドリブルがすごかった。スピードでぶっちぎるのではなく、なんだかわけのわからない可変テンポのリズムでDF3人、4人と一気にぬいてペナルティエリア内へ。最後のはシュートだったのか、隣にいた近藤へのパスだったのか、ミスキックになってしまったが、これがまえしゅんの力か。前節の大宮戦で見せたアシストといい、毎試合コンスタントにこういうプレーが出せるならば、やっぱり前田は天才だ。

しかし、その前田が足首痛で自ら交代。替わって、“撃てば入る”内村が登場。

そして、今日は何と言っても芳賀の復帰。近藤と交代で入り、宮澤を前に出して芳賀がボランチへ。これで守備がかなり安定した。さらに、スタメンを外れた奈良まで投入して5バックで守りを固める。石崎監督の本当に勝ちたい気持ちの現れだったのか。

セレッソの攻撃は、クロスバーに当たった一発があったくらいで、不発。そのシーンでは、ホスンが頭をポストにぶつけて、どうなることかとも思ったけれど、何事もなくて良かった。テレビでも、ボールがバーに当たる音と、ホスンの頭がポストに当たる音がゴンゴンと二つ続けてはっきり聞こえた。

終了間際には、スタミナ切れの札幌守備陣がなかなか押し上げられなくなって猛攻を食らったものの、長い長いロスタイムを越えて、なんとか守り切ってのJ1初勝利。

いやー、よかったよかった。感動したというより、ホッとした。

試合終了後の選手の顔も素敵な笑顔であふれていた。前田なんて、あんな顔するんだというくらいの満面の笑顔。そして、歓喜の「すすきのへ行こう」。スカパーのアナウンサーが紹介してくれていたけど、ちょっと恥ずかしい感じ(笑)



次節はすぐに横浜戦。先月、ナビスコで勝った相手だけれども、おそらく両チームとも選手が大幅に変わっているはずで、あのときの結果はあてにならない。しかし、遂に勝利の味を知った選手たちは、これまで以上にやってくれるはず。

厚別でしか勝てないのではなく、厚別で勝ったことがターニングポイントになった。振り返って、そう思えるように、次も勝ちましょう。勝たせましょう。関東組は2週連続だけれど、横浜に集合だ。



[SF] ミラー衛星衝突

2012-05-02 11:20:03 | SF
『ミラー衛星衝突(上下)』 ロイス・マクマスター・ビジョルド (創元SF文庫)





マイルズ・ヴォルコシガン・シリーズ待望の新作。もう、それ以外に言うことが無いくらい。

今回は、死の淵から生還したマイルズの復帰戦。しかし、最前線への復帰というよりは聴聞卿としての探偵役に徹している。まぁ、磔にされて死にそうになったりするけど。

かわりに活躍するのは1児の母、エカテリン。家父長制の信奉者的な旦那に抑圧されてた彼女の聡明さと勇気を引き出すあたりが、ビジョルドlっぽい展開。

で、マイルズはエカテリンにだんだん惹かれていくわけだけれど、これまでゲテモノ(失礼!)系が多かったマイルズの恋人役にしては、あまりにも正当的な感じ。でも、人妻子持ちですからね。

今回はリハビリというには過酷だけれども、敵も事件も割と小物臭がする感じで、どちらかというとマイルズとエカテリンのラブストーリー中心な感じ。SFネタ的には、ああそうですかという程度。ただ、このネタって、どこかでまた使えそうな気が。


ということで、面白かった以外にあまり書くことも無いのだけれど……。

マイルズは人工子宮内にいる間にガス攻撃を受けて、致命的な障害を負ってしまったにもかかわらず、持ち前の負けん気と頭脳でここまでやってきた男だ。やたらと小柄というあたりに親近感を持っていたのだけれど、9歳児と身長が変わらないとか書かれると、さすがにその小ささはすごいなと思った。

いや、どうなのよそれ。エカテリンとのラブシーンとか想像すると、失礼だけどやっぱりちょっとねぇ。


何はともあれ、とっとと続きを出してください。創元さん。

え、原書で読めだって。そいつは『エンディミオン』の時に懲りちゃったぜ。