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近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

ビデオ教材の作成(11回シリーズその4)

2013年04月05日 00時00分01秒 | 緑陰随想

2)シナリオの執筆・調整
 どのようなAV教材にもいえることであるが、シナリオに記述された範囲のことが映像化されるので、完成品の善し悪しは、ほぼ、シナリオの出来映えで決まるといっても過言ではない。既に、教科書があるので、シナリオ執筆はさほど難しい作業ではないが、映像化すると、具体性が増すため、教科書で書かれている内容以上に、表現上の緻密さが要求される。技能とは個人に内在しているため、数人が同一作業を行ったと仮定すれば、結果は同じであっても、そのプロセスは若干なりとも異なるのが普通である。各人に顕在化した動作は極端に強調されることも、ある程度致し方ない。しかし、流儀に至っては、手順などが変化するため、厳選しなければならない。

 技能の内容は、全国に共通し、誰からも標準作業と見られる行為がシナリオ化されるべきであろう。したがって、理想的には、出演者がシナリオを執筆することが望ましいが、様々な制約もあるため、通常は、委員会方式によって作成する。
 今回は、シナリオのたたき台ともいうべき原案について、筆者が執筆を受け持ち、別に選任した5名の校閲者に意見を聞き、また、演出、脚色を担当したプロダクションのディレクターと再三に亘る調整を行い、シナリオは完成にこぎ着けた。

 テレビドラマ用のシナリオと教材用のそれとは自ずと内容が異なる。つまり、教材用は、出演者のせりふは殆ど必要とせず、必要であっても録画後、ナレーションをアフレコ(アフターレコーディング)でできるし、細かいト書きも必要ではない。役になりきるという意味での役者はいらないから、技能習得に効果的な提示方法のみを考慮し、普通に現場で行っている状態をシナリオ化すればこと足りる。
 
 ただし、映像を見て学ぶ受講者に苦痛を与えるような撮り方、例えば、画像のチラツキが著しいとか、カメラの切り替えが悪く、自然でないとか、出演者の動作を正面から追うと見る方は実際の作業と左右が反対に映し出される(鏡面効果)、などなど。これらのことを極力避けるようにし、そのためにも、録画画面の状態をシナリオ段階で指定しておく。
 
 さらに、ビデオ編集は、16mmフィルムや8mmフィルムの編集と異なるため、どのような編集方針で望むかも、あらかじめ検討しておく。ビデオ編集は何本かの撮影済みビデオテープの中から使える部分を選択して一本にするインサート編集と、撮影しながら編集して行う、いわゆるカットつなぎ式のアッセンブル編集とがある。それぞれの良否はあるが、今回取りあげたテーマは、ビデオの弱点でもある色再現性に挑戦した録画内容であるため、画質の低下が最も少なく、撮影後の編集作業にあまり労力を置く必要がないアッセンブル編集を行うこととした。
 
 この編集方法であると、シナリオの良否が極端に録画画面に現れるため、シーンごとのカット割りやテロップ・フリップカードの挿入場所、時間など、細部にわたる調整が必要となる。(次回へ続きます)