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管理職の人事考課制度の現状と課題(11回シリーズその5)

2013年04月28日 00時00分01秒 | ブックレビュー

3-1能力・実績主義時代の人事考課制度
(1)年功色の排除と能力・実績重視

 過去、我が国企業は、年功賃金、つまり、年齢や勤続年数に応じて、賃金が上昇する賃金体系を採っていたが、時代の要請に応じて、職務遂行能力を主たる賃金決定要素とする職能給体系への転換が進められた。しかしながら、現在でも、多くの企業において、年齢給、基礎給などの名称は様々であるが、年齢あるいは勤続年数と直接リンクして金額を定める賃金項目を設け、あるいは、本給部分の定期昇給制度により、生活給的要素としての年功賃金部分を残しているのが実態である。これは、企業が、終身雇用慣行(長期継続雇用)を前提に、従業員の生涯生活に配慮してきたことなどによる。
 では、現在の企業環境の激変の中で、企業はどのような改革に乗り出しているのであろうか。
 アンケート調査では、「管理職の賃金について能力・実績主義とし、個々人の格差を付ける、あるいは格差を拡大する」という改革を「実施した」とする企業が41%、「今後実施したい」が53%、合わせて94%という高率の回答結果を得た。また、「管理職の賃金を業績対応型にする」についても、「実施した」が30%、「今後実施したい」が57%、合計で87%という回答結果であった。更に、「年俸制」については、「実施した」が13%、「今後実施したい」が50%、合計で63%となった。
 なお、管理職の昇給額及び賞与額における最上位者と最下位者との格差についても、部、次、課長別にその現状と今後の方向をアンケートで調査したが、最上位者と最下位者との格差はかなり大きく、それが今後は更に拡大する方向になっている。
 さて、他方、企業事例を見ると、管理職の月例給与については、a.月例給与項目からの勤続・年齢の積み上げ部分の除外、b.定期昇給概念の除外、c.単年度ごとの洗い替え方式の導入などの改革が行われ、また、賞与については、a.賞与からの年功的要素の軽減・排除、b.考課反映部分の新設・拡大などが図られている。更に、年俸制を導入した企業もみられた。
 このように、現在、企業においては「少なくとも管理職層の賃金から年功色を軽減・排除するとともに、人事考課の結果に基づく能力・業績に応じた賃金部分のウエイトを高める方向に動き出している」ということが明らかとなった。まさしく、年功賃金から能力・実績賃金への改革が進められているのである。(次回へ続きます)