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管理職の人事考課制度の現状と課題(11回シリーズその3)

2013年04月26日 00時00分01秒 | ブックレビュー

2.企業を取り巻く環境変化 (出版された時点から15年近くが経過しているため社会経済情勢が相当変化しているが、当時の状況をふまえることは今日との比較を容易に出来ると思い、あえて記述することとした)

 テーマである人事考課制度の問題に入る前に、その大前提となる企業経営を取り巻く環境の変化について考えてみたい。

 その第1は、日本経済の成長軌道の変化である。かつての高・中成長、つまり常なる右肩上がりの成長時代は終焉し、成熟軌道に入ったと見られる。

 第2は、為替レートの問題である。昨今の円高は、我が国の賃金を世界一の水準に押し上げる一方で、内外価格差を拡大させた。これらにより、我が国産業は国際競争力を低下させ、製造拠点の海外移転、いわゆる産業の空洞化にも拍車をかけている。過度な円高を是正するためには、経済的保護・規制の撤廃による低生産性部門の生産性向上と輸入拡大による国際収支の均衡という抜本的な改革が求められている。

 第3は、国際的な大競争時代に入ったことである。東西冷戦の終焉により、東西が合体した中での競争が行われることになった。また、我が国は東南アジア諸国の技術力・品質のキャッチアップにも直面している。

 第4は、情報化の進展である。インターネットの普及、マルチメディア時代に向けた技術進歩には著しいものがある。この分野で我が国は後れを取っているともいわれているが、今後、急激に間を詰めていくことであろう。

 第5は、我が国の高齢化の進展である。労働力人口に占める55歳以上の高齢者の割合は、1994年には22%であったが、2010年には29%まで拡大すると見られており、企業成長と年功序列制度の好循環をもたらした人口構造のピラミッド型が急速に崩れつつある。

以上のように、今回の長期不況に加えて、大きな歴史的潮流が変化する中で、我が国経済、企業経営の先行きは不透明となっており、企業には様々な発想の転換と急速な対応策が要請されている。
今回のアンケート調査の結果でも「不透明な将来に備えて、コスト削減を図るとともに、リストラに着手あるいは検討している」と回答した企業は64%にのぼっている。このような激動の時代を迎え、これを乗り切っていくためには、最も重要なのは人材であり、その中でも中核となる管理職の正しい現状認識と将来に向けての建設的かつチャレンジ精神に富んだ取り組みが不可欠である。(次回へ続きます)