羽を広げるとコウモリ傘によく似ています。ドラキュラの歯も撮れました。
6) 音入れ
録画したビデオテープ(3/4インチ)には、音声域が2チャンネルあり、ナレーションとSE(効果音)を一方のチャンネルに、BGM(バックグラウンドミュージック)を他方のチャンネルに別々に録音する。ナレーションについては、ナレーターと相談の上、シナリオから展開したナレーション台本を作成した。ナレーション調整は、記述したセリフと耳で聞くセリフとの相違を発見し、難解な表現はできるだけ避け、誰が聞いても理解できる話し言葉に変える作業である。とはいっても、専門用語については判断が難しく、やはり、ケースバイケースで処理することになる。意味が二通りにとれる語句はできるだけ使用を避けなければならない。また、ナレーターは発声音レベルが一定し、同じレベルで継続発声できる人を選ぶ。発声音レベルがしばしば変化すると聞き手は疲労を強く感じるものである。この意味では、出来うるならばアナウンサーのオーディションに合格した者を採用すべきであろう。
ナレーションを録画画面に同調させるためには、まず、カットシーンごとに時間を計り、ナレーターが普通の速さで発声してみて、ナレーションが完結するように台本を修正する。次に、録音レベルを調整し、ディレクターのキュー出し(合図)により、音入れを進めた。ナレーターの音質や、音量をチェックするには、再生ボリュームを高域、低域が判断つくように、出来るだけ上げると良い。BGMについては、商品価値の付与と、聞き手の緊張を解くなどの効果を期待して、ビデオテープの始まりと終わりの箇所に入れることにしたが、教材では、敢えて入れることにこだわることはないと考える。BGMを入れることによって、選曲や、著作権料などの経費が余分にかかることからすると、経費節減の折から積極的に取り入れるべきことではないであろう。
7) 試写
ビデオテープはアフレコして一応の完成を見る。このテープはマスターテープなので、試写や活用現場で試行に供するものは、マスターテープから複製(ダビング)した子を再生に用いる。業界では画質の低下などからマスターテープ(3/4インチ)を一度、1インチテープに吸い上げ、マザーテープからビデオ機器にあったテープ幅に落とすというやり方が行われている。
このことは、マスターテープが何らかの原因で傷つき、また、他の信号が入ったり、不注意で消してしまったりすると、今までの努力が水泡に帰すことになるからである。
試写会で始めてみた人々から感想を聞くことは、作成関係者に、様々な角度からの助言が得られることになる。作成教材の良否は、モジュール訓練システムの中で使用して初めて評価が出るのであるが、試写や試行を通して得られた指摘や問題点を作成した教材にフィードバックし、修正や改善することがもっとも大切であろう。また、これらの意見や問題点を整理し、蓄積することは、次回からの作成に同様の失敗を繰り返さないことになる。(次回へ続きます)