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管理職の人事考課制度の現状と課題(11回シリーズその4)

2013年04月27日 00時00分01秒 | ブックレビュー

 ここで、企業における人事・処遇の改革の方向性を考えてみると、
1)成熟経済により人件費パイの拡大が期待できない中で、管理職の活性化を図るためには、従来の年功主義から、個々人の能力と実績に応じて賃金を配分するという能力・実績主義へと転換すること。
2)競争激化のための企業業績も不安定とならざるを得ないため、硬直化した賞与につき、本来の賞与の持つ性格に鑑み、企業業績反映型とし、その従業員への配分については、個々人の業績に応じて行うこと。
3)大競争時代の到来、規制緩和、輸入拡大などの動きの中では、新規事業への果敢に挑戦することが重要であり、これを促すには、従来の減点主義から、加点主義への変革を図ること。
4)高齢化が進む一方、情報化が進展する中では年功序列ではなく、昇進・昇格の厳選化を図ること。
5)賃金の能力・実績主義への転換並びに昇進・昇格の厳選化を進めるためには、被考課者の納得性が得られる人事考課制度を構築すること。
などが指摘できるのではなかろうか。
 実際、今回のアンケートの調査結果でも、多数の企業が、これらの改革に乗り出していることが明らかになった。また、今回の事例企業8社においても、近年、大幅な人事諸制度の改革を実施したところが大勢を占めた。従って、企業環境が激変する時代を迎えて、企業は、人事・処遇及び人事考課制度の抜本的な改革に迫られており、それを実現できるかどうかが、企業の盛衰をも決定すると断言して差し支えあるまい。

3.管理職人事考課制度の現状と課題 個々では、能力・実績主義時代の人事考課制度、昇進・昇格の厳選化、人事考課の納得性を高める諸政策、管理職と一般従業員の人事考課制度の相違点、人材育成に向けた諸政策などについて、委員企業8社の事例並びにアンケート調査結果をふまえつつ、現状と今後の課題を探ってみたい。(次回へ続きます)