ブログで11回にわたって、ビデオ教材作成について掲載してきました。この作成に携わった雑感として、通信訓練を受講している方に対し、會報を配布しており、当時随筆を書いていましたので、今回まとめとして掲載することにいたしました。既に現在では、受講生の減少や、発足当初の目的が達せられたとの判断からこの通信訓練は廃止されています。通信訓練は、技能士試験の学科試験を免除するという特典があり、現場で実技を知っているが学科が不得意な作業者に対し行われた制度です。では、本文を掲載します。
業務の一環として、ビデオテープの制作を行いました。ビデオテープは、言語では表現しにくいテクニックや動作を映像にすることによって明示する教材として、有効であるといわれ、多大な労力と経費を掛けて、多くのビデオ教材が製作され、教育訓練の場で活用されています。
学校で生徒が学習する場を思い浮かべてください。先生は教科書を読み、難解な部分を説明し、場合によっては、学習する内容を身振りや手振りで表現します。生徒は先生の声を聞き、目で見て、自分の過去の経験と比較しながら知識を記憶していきます。人間の五感(見る、聞く、さわる、味わう、嗅ぐ)の中で、もっとも知識の吸収が高い感覚は、視覚と聴覚を同時に利用する場合です。視覚だけでは83%、聴覚だけでは11%、味覚3.5%、触覚1.5%臭覚1.0%の順に吸収する度合いが減っていきます。では、記憶はどうでしょう、知識を吸収したからといって、かならずしも、何時までも覚えているとは限りません。目で見たことは3時間後に10%も忘れ、3日後には20%まで落ちてしまいます。視覚と聴覚を同時に利用した場合でも、3日後には覚えた内容の65%になってしまいます。しかし、何回も経験することによって、確実に理解度は深まり、記憶の度合いも高まります。上記の数字はあくまでも通常の状態でいえることで、学習する意欲や環境、内容の難易によって変わってくるのは当然です。(次回へ続きます)