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管理職の人事考課制度の現状と課題(11回シリーズその10)

2013年05月03日 00時00分01秒 | ブックレビュー

3-3人事考課の納得性を高める諸施策
 人事考課制度を如何に性格かつ公平に個々人を評価し得る中身とし、被考課者の考課結果に対する納得性を高めるかは、企業幹部、人事担当者にとって、「永遠の課題」といっても過言ではないほどの難問であろう。しかしながら、この永遠の課題に対して、企業幹部、人事担当者は決して手をこまねいているわけではない。今回の企業事例、アンケート調査結果のいずれを見ても、この課題に果敢に挑戦している姿が浮き彫りになった。

 具体的には、各社とも少しでも考課結果に対する被考課者の納得性を高めるべく、極力、数値的に業績結果を把握しようと目標管理制度を導入し、面接制度、自己考課制度、多面評価制度の導入など、様々な施策を講じてきている。

 とりわけ、目標管理制度は、多くの企業で注目され、導入されてきていることは、先にみたとおりである。しかし、このような努力にかかわらず、満足のいく人事考課制度が構築されたかと言えば、残された問題は多いと言わざるを得ない。例えば、脚光を浴びている目標管理制度を採ってみても、アンケート調査結果では、目標管理制度導入企業の67%が「目標の設定が難しく(内容、難易度のばらつき)、考課に結びつけにくい」との問題点を投げかけている。

 また、事例企業においても「各人が取り組む課題の難易度、その成果を如何に定量的に見極め、客観的な比較を行うかが課題である」との指摘に代表されるように、各社とも悩みを抱えており、とりわけ数値化しにくい内勤スタッフ部門の取り扱いについては、その難しさが提起されたところである。

 この問題をどうクリアーしていくのかが、今後の最大の課題といえようが、a.目標管理のための帳票(シート)に、目標内容とその難易度を記入する項目を設けたうえで、面接制度の実施によって納得性を高めること、b.複数の者の設定目標を比較してその難易度を測り、公平性を確保すること、c.考課者訓練の徹底によって、設定目標の量・質の高低を図る基準を均一化していくこと、等の努力を積み重ねるしかあるまい。現在のところ、技術的にはこのあたりが限界のように思える。(次回へ続きます)