【ミョウガ】文京区区に茗荷谷という場所があるが、古くはミョウガの栽培地であった。
ミョウガについて申し上げることにしたい。ミョウガはどこにでも栽培可能のように思えるが、実は種での実生により育つのではなく、地下茎によって増えるそうだ。出荷量が多い県は高知県、群馬県、秋田県などである。ミョウガはショウガ科の多年草で、丁度ホワイトアスパラガスのように、日に当てないように育てた茎はミョウガタケといって食材になる。通常、花穂という花芽を香辛菜として生のままで使っている。花穂の中には10個ぐらいの花芽が入っている。原産地は東アジアで、我が国では自生種はなく、大陸から持ち込まれたと考えられている。
歯ごたえのあるシャキシャキとした食感と独特の香りとえぐみがあり、水にさらしてえぐみや泥などを取った後、そばや素麺、冷や奴などの薬味、酢の物や天ぷら、みそ汁の具などに用いられている。福神漬けにも入っている。洒落たところでは、割烹料理店で、刺身飾りにミョウガの花を添えていたところがあった。もちろん食すことが出来る。芳香成分はα-ピネン類である。子供の頃あまりミョウガを食べると物忘れするといわれたが、成分の中に物覚えが悪くなるような物質は入っていない。安心して食されてかまわない。
お釈迦様の弟子に物覚えが悪い者が居て、自分の名前も直ぐに忘れるため、首から名札(茗荷)をつるしていたことから、物覚えが悪い、茗荷も忘れる、忘れることを茗荷といったとのことである。花は和蘭のようで、透明感があるうす黄色で、写真写りが良いため、花が咲く時期になると写真の素材にしている。(このシリーズ最終回です)