イカルチドリとコチドリとは、配色は殆ど変わりませんし、体長も21cmで同じくらいです。
香りの強さは気温によっても違ってくる。おろし金を使う前の種子は、繊維と細胞が規則正しく配列しており、おろし金を使うとこの配列に力が加えられて、規則正しい配列が壊れランダムな配列となってしまう。このときに精油成分が空気中に放出され、香りを発する。気温が高いときには、ミクロレベルで分子の励起力が高まるため、分子が活性化する。活性化すると香り成分が放出されやすくなり、強く香りが感じられる。逆に気温が低い場合には香り成分の活性化が低下するため、あまり香りを感じることができない。このことは、香辛料の香り成分を利用する料理では、おろしたてが一番香りの高いときであり、スパイスを使った煮込み料理では、冷めるとおいしく感じられなくなる。
香りの特徴は人間が持つ嗅覚機能との係わりを知っておくことが大切である。人間の嗅覚能力は犬の1/5000倍以下ともいわれるほど鈍感で、更に長時間の保持する能力がないともいわれている。例えばカレーのインド料理店に入る前、入った後、食事後、店を出た後とそれぞれで香りが異なり、一番強く感じるのは入る前である。餃子やキムチを食べた後、しばらくすると自分では気がつかない口臭となって、周りから指摘されることがある。
また、狭い部屋などで、塗装工事を行い、揮発性の溶剤が充満していても、作業者がにおいに麻痺して、危険な状態になっても気がつかず、死に至ることがある。つまり、人間の嗅覚機能は意外と性能が悪く、においに対して嗅覚の持続力が短いということである。さらに、異なるにおいのかぎわけは最初の数分間でしか機能しないため、長い時間をかけても正しくかぎ分けることが出来ない。
香りについてはもっと深い解説が必要なので別稿に譲ることとしたい。(このシリーズ最終回です)