引き続きカワウの捕食です。
建物が経時変化で老朽化することや、居住者のライフステージによって、家族構成が変化するのは、自然の成り行きである。団地は個人住宅と異なり、立替えや、改修は居住者全員の同意を得て、取りかかることになる。共有部分については、階上と階下とでは、利害関係が異なるため、改修工事にかかる負担金割合は、同額とはならない。また、設置当初から居住している者と、築後年数がたって入居した者との負担額割合も、異なるであろう。
団地には管理組合があり、耐震補強、エレベーターの設置など、専門家を交えての改修計画や、細かい規定が決められていると思うが、誰もが負担金を支払える能力が継続するかといえば、そうではない。
高齢社会となり、不幸にも、障害を持つ者も発生する。実際、5階に居住しているが、エレベーターがないため、特殊な電動昇降車いすを使い、階段を上下しなければならない方の、福祉車両を使用した、移送のボランティアを経験した。
雨天時は、電動昇降車いすと階段との接触部分がゴム製のため、濡れていると使用できない。通院やリハビリ、緊急時の昇降等の必要性を考えると、階下への移転、もしくは、別の居住先を探すことになる。管理組合へ、外付けエレベーターの設置を要望しているが、居住者の承諾が得られていないため、実現性は薄いと聞く。
居住者はそれぞれ事情が異なるし、管理組合ができる範囲を超える案件については、区や市の相談窓口で相談することになるが、関係部署を含めた横断的対応が必要であろう。
人生をどのように過ごすかの選択は、個人の自由意志で行うとはいえ、選択肢が多いことに越したことはない。ライフステージにあわせた間取り、可変できる機能性も必要であろう。更には、バリヤフリー等居住空間が持つ機能性を高める設計や、階上から階下へ移転可能な対応がとれることによって、事例で上げた障害者世帯との共生が可能となるような再生策の弾力化を期待したい。