平成26年12月4日 3Dプリンター(2回シリーズその1)
本日の講義はものづくり分野だけではなく将来発展の可能性を持ち、既に製品を手がけている最先端技術といわれる3Dプリンターの話であった。講師は、団塊の世代である1948年岡山で生まれ、現在も現役としてこの分野の研究設計開発を手がける浜野エンジニアリング(株)取締役の浜野治海氏であった。講演のテーマは「3Dでものづくり革命」である。事業所は高津区にあるサイエンスパークにある。
工業デザインの登場は比較的新しい概念で我が国では独立した位置づけではなく、設計屋や製図屋の分野であった。しかし、欧米では古くから独立していた、現在も関係している、オーストリア、ザルツブルグにあるポルシェデザインは100年の歴史を持っている。先進国では工業デザインが金になるとの実体験が現在の業種に影響したとの事であった。
現在製品として出荷しているはVoxlan(ボクセラン)で(Voxel 立体形とAnalyze 解析)の造語が基になっており、スリットレザー光を利用した3Dスキャナーである。用途は、工業製品から医療分野まで広範にわたっている。
ユーザー側からのニーズはパソコンのマウスや、自転車のブレーキなどは人間の手の大きさや形が意味を成していて、この展開は、人間工学や人間計測が重要視されている。卑近な例としては、女性の下着メーカーからの実測データが、製品の売り上げに影響するとのことで大規模な人体計測の必要性を要請された。医療機器承認を得てから開発に乗り出した。また、3Dスキャナーで読まれた電子データは反転現象が容易なため、義肢や、欠損部位の再生医療にも適用範囲が拡がっている。
最近ではがんセンターからの受注で、CTスキャン装置やMRIの付属品として3Dスキャナーが活用されている。人体は呼吸による微動のため、正確な部位を測定するのが難しい。ガンの部位を照射によってガン細胞を焼き切る手術が行われているが、検査においても放射能を多量に被爆し、位置が定まらない照射部位がピンポイントと成らない欠陥があった。3Dスキャナーによって呼吸による微動を抑え、ガン部位を特定することに寄与しており、ピンポイントで照射が可能となっている。(次回へ続きます)