声が聞こえ振り向いたら枯れ枝に止まっていました。
平成26年12月18日
今回は受講者の中からの当番に日であった。開始時間の30分前には会場へ行き、受付を手伝った。受講者が集中するため、3人がかりである。講座の資料代金として500円を徴収する仕事も含まれていた。段取りが悪かったせいもあり、70名を超す受講者に同じ言葉をかけるが、ランダムにくる受講者の対応は、名簿に記載されている順番通りに処理はできず、流れるようにはいかない。特に、つり銭の処理には工夫がいる。受講開始時間を超えての処理業務が続いた。
本日の講義は、テーマ「ゼロからの発想、~造形美術」アトリエ・ゼロの神野和夫氏による講演であった。武蔵野美術大を卒業後にプロダクトデザイン工業へ就職し、フランスへ額縁制作に従事し、帰国後独立した。以後、様々な造形デザインと製作を手掛けてきている。主として、FRPを使った造形である。FRPはガラス繊維をプラスチック樹脂で固め、表面に塗装を施した作品であるが、この手法で作られた製品は家庭用の浴槽、漁船、レジャーボートなど多用されている。携わった製品をパワーポイントで紹介しながらの講義であった。
古くから仏像作成に使われた手法の一つで、乾漆技法があるが、火災から守るためともいわれ、銅製品に比べ、著しく軽量に作成できる特徴がある。強化のための材料は麻布であり、つなぎや接着のために漆を用いている。大まかな構造は木材で作られ、そこに太さを出すための荒縄を巻き、粘土で成形していく。粘土が乾けば麻布と漆の層を形成し、厚みを作る。乾燥後粘土、荒縄、木材を取り出す。仕上げは漆塗りの工程に従い、下地となる地付け、錆付け、下塗り、上塗りと進め、金箔や加飾を施して仕上げる。細部の宝飾や光背、ハスの台座は別途作成し組み合わせて完成する。
FRPによる製作はこの乾漆技法と同様な手法であり、型ができていれば、大量生産に向く。手軽に作れる手法で工芸作品への応用は一般には重箱やろくろを使った器類は、木材が用いられ、木地師が作成する。曲線が多い木地は製作が難しいため、複雑な形状の素材は、粘土で作り、石膏を流して雌型を作り、離型剤を塗って、雄型を作り、離型剤を再び裏側に塗って素地作りを行う。同様に粘土で蓋部分を作る。素地は麻布とさび下地を重ね合わせる。最終的にはバケツなどにはった水に浸けて、雄型と素地を切り離す。仏像づくりと塗装工程は同じである。今後3Dプリンターの性能向上に伴いこの分野は手軽に、かつ、相当精密な製品製作が可能となるであろう。