引き続き、タヒバリとセグロセキレイの後編です。
親指の傷
年末年始休暇は、地域の個人病院でも適用されて、当然であるが、救急病院や、輪番制の指定医療機関以外は診療を行っていない。長い休みを取る病院では、1月7日までの長丁場である。年末に負傷した親指の初診療は1月8日になってしまった。午前中は診療を受ける患者で無理なので午後からの診療を受けたが、開始時間前であっても5人ほどが記帳し、順番を待っていた。
親指の状況は当日の夜から腫れ上がり、痛みも強かった。内出血しているので、爪の色が青く縁取りされていて、爪の付け根が盛り上がり、皮膚との間がはっきり分かるようになっていた。熱を持っていたし、何かに触れると痛みを強く感じていた。3日目ぐらいにパンクし、体液と血液とが混じった液体が大量に出てからは、腫れや痛みは徐々に治まり、応急手当で、救急箱に入っているリバノールガーゼを巻いて様子を見ていた。
診療に行った外科クリニックは自宅から10分足らずの所にあり、自転車で行った。爪を剥がされると痛い思いをすると思い、乗り気ではなかったが、意を決していくことにした。順番がきて、診察室に入り、院長に見てもらい、事故当時のことを聞かれ、患部を見てからレントゲンを撮ることになった。現像処理が終わるまでの時間は長く感じたが、再び診察室に呼ばれたときはパソコンのディスプレーにレントゲン写真が写っていた。今ではネガフィルムではなく、ファイルとなって、マウスをクリックするだけで、画像が拡大・縮小が可能となっていた。
レントゲン写真で左右の親指を比較した陰画(ネガ)が写っていて、院長の説明が始まった。親指の骨折はないとの所見であった。骨折していれば、陰画に黒い線が現れるとのことであった。患部を消毒し、ガーゼを巻いて治療が終わり、しばらく様子を見ることとなった。爪が死んでいれば、新たな爪が出てくるそうで、旧の爪が浮いてくれば、取り除いてくれるとのことで化膿しないように、化膿止め(抗生物質)を処方してもらった。
爪を剥がさずにすんだが、しばらくは不自由すると思う。親指の負傷が他の指の酷使によって、手全体に関係することを知ったが、ちょっとした不注意がもたらした今回の顛末である。蛇足であるが、病院が1週間を超える休暇に入っても、混乱を生じないのは、バックアップ体制があることではあるが、さほど重症の患者がいないことも原因していたのかもしれない。