体が軽いせいか、ススキに乗っても大丈夫。
7.教科編成指導要領
現職の時に使っていた要領は、ILOモジュール方式、厚生労働省が編集した教科編成指導要領であり、雇用能力開発機構が作成した生涯能力開発体系(システムユニット方式)である。勿論、文部科学省においても学習指導要領があるので、ベースとなるカリキュラムはこれらを参照にすればよいと思う。新たに構築する部分もあるので、専門家集団による開発が期待される。これらの要領は定期的に見直されているので、比較的実状に合致している。管轄省庁による異なる対応がよいとは言えないが、我が国での複線化路線は先人が熟慮の上、選択をせざるを得なかったことによると考えられるが、一本化することが望ましい。しかし、法律や施行令で行われてきた歴史はそれなりに重みがある。この壁を乗り越えることの難しさや難航も予想される。
8.設備基準
最先端の機器設備を保有する必要はないが、コース毎の必要機器は基準に沿って整備する必要がある。我が国では都道府県における企業連合体が生まれる可能性は低い。しかし能力開発施設は都道府県毎に管轄しているので、現在の形はそのままスライドできる。
米国の職業訓練の実施主体は職種別・産業別労働組合が保有する実習場での訓練である。我が国との違いが、企業の従業員は組合から派遣された組合員であるため、企業が主体となって従業員の訓練を行う必要はない。賃金も組合と企業との契約である。横断的な組合による従業員の管理が行われるため、我が国が企業別組合であるところの違いがある。
現在の学制は民間企業との接点がほとんど無いか、無いに等しいため、工場見学すら出来ない状況である。ましてや、数社を在学中に実際に業務に就くことは不可能に近い。企業側も学生や生徒を学業の一環として受け入れる体制もなく、経験もない。ドイツのデュアル訓練は、強制的な制度として学校教育と企業での就業をサンドイッチにした制度である。この制度で実践し、期待された成果を出している。我が国でも短期的な試みとして日本版デュアル訓練を行ってみたことがあったが、成功しているわけではない。しかし、産学連携の考え方は堅持すべきである。
新制度では段階的にこの制度を採り入れてみることが考えられる。大学での実務実習として約1ヶ月の訓練を民間企業に入って現場経験を行ったことがあるが、大変参考になった思い出がある。さらに、企業が保有する機器を学校側が整備する必要が低くなるため、他の分野(演習機器、シミュレーション機器やビデオ教材等)の充実に予算を振り分けることができる。(次回へ続きます)