鳥!連続写真!掲載中!

近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

命の重さ

2015年01月30日 00時00分01秒 | 提言

 人質を立てに多額な金銭を要求する凶悪な事件が発生し、世の中を震撼させたが、数日後には二人の日本人拉致者の一人を殺害し、その証拠映像をインターネットに載せ、生存者の声を使って、既に獄中にいる自爆テロを指示したというヨルダンに拘束されているテロ実行犯を釈放せよと人質との交換条件を出してきた。人命を取引材料に使うとは何たることか、戦争状態にある場所での拉致された人間の弱さを知ると共に、卑劣な手段は決して許されるものではない。中東シリアで起きている事件である。イスラム国という過激な組織は、シリア国内でシリアと戦争状態になっている。

 中東各国歴訪を途中で止めて帰国した安倍首相の対応について連日報道されているが、我が国をも巻き込む様相は平和の日本にとっては、降りかかった火の粉であり、言語道断、断じて許されない卑劣な行為として糾弾するという強い調子の首相の言であった。拉致された被害者の即時、無条件開放と人命の保護を第一優先とするテロの対応では、毅然たる態度表明であった。一日も早い開放を望むところである。ヨルダンというシリアとの隣国や同盟国への波及は避けられず、当事国となった以上は他国に依存して来た我が国の立場にぶれない対応を余儀なくされている。

 中東を巡る対立は今に始まったことではなく、石油を巡る利権、思想の対立、民族対立、宗教宗派間対立等の力関係が、不安定な状況を作っていて、多くの人命が失われ、現在も戦争状態にある。イスラエルとパレスチナの対立は長く続いていて、パレスチナ難民を救済する国連機関(UNRWA)もある。最近顕著になったイスラム国も、宗教対立や民族紛争が契機となっている。今回、ジャーナリストと称する2名の邦人の渡航目的は火中の栗を拾う事ばかりではなく、覚悟の上とはいえ、原因を作ったことは間違いない。軽率な行為であったという資格はないが、人命の重さを考えていれば、異なる行動を選択できたとする論調も多い。未だ係争中の事件であるので、今後の展開を注視している。

 自分より2歳年下の後輩が今月15日に他界した。既に退職していたが、癌が死因であった。優秀な人間であったし、人柄も良く、決して癌で他界するようには思えなかったが、人の命のはかなさを、訃報を聞いて思った次第である。健康でいる幸せは、何にもまして喜ばしいことである。健在でいれば不平や不足をことさら言う必要もない。

 後輩の死は、同僚の死よりも淋しく感じる。不幸にして、拉致事件に巻き込まれ、生命の危険と比べる必要もないが、癌は己の身体を己が壊す自滅である。早い時期に発見されて、除去すれば死亡する確率も下がるが、若い人ほど短命に終わる例を多く見てきた。人命の重さは確かに重いのであるが、一方、人の命ははかないことも確かなのである。