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近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

アラブの歌舞音曲

2015年10月28日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 人間が本来持っている楽しみの一つに歌舞音曲がある。歌い、踊り、舞うことは、古代から続いてきている。アラブ世界は、シルクロードと終着地古代ローマの中継地であり、歌舞音曲が様々な形で多くの民族に影響を与えてきた。早くから文化を発達させたイエメンにも、ヒムヤリーとハナフィーとの2系統の音楽があったことが知られている。婚礼における祝福には音楽や舞踏が盛んに行われたようである。歌手たちが花婿を中心に該当を練り歩くことは現代のアラブ世界でも行われている。

 

 強烈でテンポが速い曲に会わせて妖艶な踊り子が踊るアラビアンダンス・スネークダンス、ベリー(belly:腹)ダンスと呼ばれてる。カイロに出張へ行ったときに現地の方と同行したことがあるが、古代メソポタミアの寺院遺跡の彫刻や、ギリシャや古代エジプトの壁画にも描かれている。ベリーダンスは近代になって付けられて名称で、アラブでは、アラビアンダンスといっている。いくつかのジャンルがあり、ペルシャ、エジプシャン、ポップアラビック、ターキッシュなど地域独特の特徴があるようだ。

 

 イスラム教での厳しい戒律の中では賛否両論があり、現地で行われていることを見れば、さほど深刻な問題ではないのであろう。踊りは戦いの前に行う小刀を振りかざす踊りは、戦士の志気を高め、また、一定のテンポは、脳震盪を起こし、恍惚となる精神状態は呪縛的な面もあるのかもしれない。土着の宗教性も見て取ることが出来る。

 

 正倉院の御物の中には様々な面、楽器、衣装等があり、宮中にも宗教性の強い雅楽には、神道ばかりではなく、仏教の影響の強い迦陵頻伽(かりょうびんが:仏教で語られる想像上の鳥で、極楽浄土にすみ、妙声を持って法を説くといわれ、人頭鳥身、有翼の菩薩形の上半身、鳥の下半身姿で表される)もある。乏しい知識で歌舞音曲を語る立場ではないが、歌舞音曲が、為政者や皇帝等が盛んに奨励してきたのも大衆の不満のはけ口や、おもてなしに利用されてきたことは、個人が楽しむばかりではない世界を彷彿とされる。

 

 カラオケが我が国発祥といわれ、近隣諸国にはカラオケが浸透しているようで、自らマイクを持って曲に合わせて歌うことが、喜びとなり、一種のエクスタシーを感じることは、単なる歌手への憧れだけではなく、人間が本来持っている性質かもしれない。詩に音韻を付けて詩吟へ昇華させた先人の知恵は元々持っていた音楽的表現のリズムなり抑揚が良く合う。平和な世であるから生み出せる世界であり、歌舞音曲に対し、楽しむ余裕がなかったが、秋も深まり、夜長を過ごすのに民族音楽も歴史を感じながら楽しみたい。これからも積極的に古代音楽との関わりを深めていきたい。