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近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

偶像崇拝

2015年10月29日 00時00分01秒 | 提言

  シリアのパルミラは現在、武装組織IS:イスラム国の勢力範囲にあり、10月25日もパルミラ遺跡内の神殿柱列に爆弾を仕掛け、囚人(?)3人を縛り付け、処刑を行ったとの報道があった。柱列も無惨に破壊されている。5月にもパルミラ古代遺跡内にあるベル神殿や凱旋門を偶像崇拝を理由として爆破している。イスラム教は偶像崇拝を禁止している。

 

 アラビア語でサナムは石、木材、金属などの素材とした身体を持つ偶像のことをいい、ワサンは画像などを含めた偶像を指している。アラブでは古い時代には自然石を立てて、それを崇拝し、供え物をし、その周りを巡回する習慣を持っていたと伝承ではされている。ムハマンドが、メッカ征服の際にカーバ神殿に置かれていた偶像の目を弓で打った後、撤去し、破壊したとされていて、以後、偶像崇拝を厳に戒めている。

 

 理念的なイスラム法では、異教徒の中で、偶像崇拝者や多神教とは彼らがイスラム教に改宗するまでジハード(聖戦)の対象であるが、キリスト教やユダヤ教などの唯一創造神の信徒(啓典の民)は、政治的にはムスリム(イスラム教徒)の保護下にあることに満足すれば、その信仰を保持ができた。しかし、現実には、仏教ともヒンドゥー教徒もムスリムの主権を認めればその信仰を保持できた。実際にイスラム教徒がほとんどであるエジプトにおいて、コプト教というギリシャ正教の分派といわれているが、争いのない世界を知っている。

 

 ジハードはコーランにおいてイスラム教徒の重要な義務とされている。ジハードで戦死した戦士は天国に行けるとしていて、死することへの恩典が示され、、第二次世界大戦中の我が国の特攻精神と重複しているようである。

 

 さて、ユネスコの世界遺産(1980年)ともなっているパルミラ遺跡の破壊が、偶像崇拝だけではない戦術としての側面があると感じている。たぶん組織のプロパガンダであろう。破壊が繰り返されていることで、近隣国や有志連合への脅威をかき立てているのかもしれない。人類の文化財をいくら宗教上の極端な解釈で破壊することは明らかに犯罪であり、この犯罪をどのようにして止めさせ、文化財を保護していくか、重大な問題であり、早急に対策を講じなければならない。イスラム教徒の総てが同様な行為を行うことはないのであるが、ISとの接点がある宗教指導者からの圧力が功を奏するかもしれない。破壊工作がこれ以上拡大しないように祈るばかりである。