最近鏡を見ると眉毛が薄くなってきたのに気がついた
眉墨なるものを使ってみるが
思うように描けないし面倒くさいのでつい忘れてしまう
子供のころ母にも姉妹にも似ていない みそっかすの私は
眉毛だけ褒められた記憶がある
母は眉毛の薄い人で 若いころから眉毛を描いており
敗戦後の何もない時期には細い桐の木の燃えカスを使っていたこともあった
おしゃれで身だしなみを忘れず88歳ではじめて入院した時も
鏡と眉墨の入ったポーチを枕元に置き 顔を洗うと必ず眉毛を描いていた
手術の翌日朝早く病院へ行くと もう眉毛が描かれており安心したことを思い出す
90歳を過ぎるころから手が震え目も薄くなり
描く眉毛はミミズのように曲がりくねったり 2本になっていたりしたが
それでも描き続け
私たち姉妹は半ばあきれながらも おしゃれ心を忘れないことを微笑ましく思い
元気である証拠のバロメーターにしていた
101歳の誕生日を目前にして4度目の大腿骨骨折の手術をした翌朝も
眉毛を見て奇跡が起きたようでとても嬉しかった
その年の敬老会にも車いすで出席したが
徐々に病み衰え自分の手で描けなくなって行った
朝回診に見えた女医さんに「眉毛を描いて」と頼んだらしい
母の気持ちが痛いほどわかる私たちは
早く出かけ眉毛を描き鏡で見せてあげることにしたが
だんだん鏡を見る元気もなくなり
根雪になって間もなく 最後の時を迎えた
最近消えない眉毛が流行っているらしい
刺青のようにするらしいが新聞や雑誌で目にすることが多い
母にもしてあげたら一番の孝行だったのにとつくづく思う
もうじき母の三回忌がやってくる
🌸🌷🌸🌷🌸🌷🌸🌷
今日は母の命日
しろくまネットの頃の記録
「まゆげ」
そっくり載せる
101歳の誕生日に病室に飾ってあげた写真
死ぬまで染めたいと言ってた髪は
100歳まで
目立ちたがり屋さんだったので
モザイク無しに
⛄⛄⛄
あれから年月が経ち
実家もなくなり
お参りに行くこともない
認知症とは無縁で記憶力抜群だった母
少しだけでも似たらいいな