『蒼海に消ゆ』(門田隆将著、集英社)を読み終えた。カリフォ
ルニア州サクラメントで生まれた日系2世の松藤少年が、15歳で
父母の祖国日本に戻り、東京商大予科から学徒動員。昭和20年、
零戦の沖縄特攻により23歳の若さで戦死するまでの生涯を門田隆
将が克明な調査に基づいて綴った感動の物語だ。
彼のような有為な青年が確かにこの日本にいた事実に感銘を受け
るし、今の平和な日本は彼らの捨身の報国のお陰だとつくづく思
う。昭和史の中で松藤大治という一青年の存在がもっと広く知ら
れていい。そして彼のような気骨のある日本人がいたことを今に
生きる人々はもっと誇りに感じていい。