浜松市の子ども空手道場☆浜松スポーツ少年団【武道禅空手 流拳會-Rukenkai-】

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9月7日 浜松高台教室

2012年09月13日 | 教室の出来事
去年の夏、決勝の舞台で敗れ、ヒザを抱えて泣いている少年がいました。

現在、中2になるシュンヤです。


中1から中3までが一緒になっての全国茶帯ト―ナメント大会。1学年ちがうだけでも、かなり体力的な差はありますが、優勝するには技術面でも、また高いレベルが必要となるわけです。


内容的には、かなり押していたので、相手のガ―ドの上への中段回し蹴りばかりでなく、下段などを使い、少し蹴り分けるだけで勝利できたはずの試合でもありました。


でも、それでも負けは負け。


『これからの試合もキビしくなるなぁ‥』


私もシュンヤも、そのように感じたものですが、技術的には、現段階のシュンヤ自身に、特別に何が不足しているわけでもなく、やはり上手な精神コントロールと技の精度を上げて行く‥そんな部分にこだわるしかない!そのように思ったものでした。


私は2年前から、自身が指導している組手スタイルについて‥


『この組手スタイルは、身体能力の差なども埋めて行けるものであり、体力的には多少おとる子にも希望がある‥』


そのように、ずっと言い続けてきたわけです。


古流空手と総合格闘技の間くらいでマトメた組手法。


なぜ空手が一撃必倒を理想としているのか?なぜ武術であり護身術であるのか?


そんな部分を追求し、大切にしたスタイルでもあります。


そんな私の考えを、イチバン最初に理解し、信じた中で実践してきたのがサワであり、シュンヤでした。


だから見た目、二人のスタイルは似ていて、シンプルで技数なども少ない。必要最小限の動きの中、ほとんどジャブすら打たず、試合を組み立てて行きます。


技術的なことを、あまり細かくは書きませんが、その組手理論の軸になるものを、二人はとくに大切にしているからこそ、必要最小限の動きになるわけで、これから年齢と共に打撃力が上がれば、より効果的になることでしょう。


今だからこそ、東海地区の少年部では一番の実力者とも言えるシュンヤですが、高台強化練習会での最初の頃は、実力を発揮できないドコロの話ではありませんでした。


数ヶ月間は、年下のダイに組手で圧倒されるだけでなく、壁に追い詰められ、しゃがみ込んでしまう程の心の折れようで‥(笑)。


でも、そこからの努力は涙ぐましいものとなりましたし、特別に器用でもないシュンヤは、スタイルの軸を大切にするという心の在り方にブレがなく、ただ、ただ、その精度を上げるべく努力してきたように思います。


そして、素直さと人一倍の努力をできる才能を持つ、そんな高台強化練習会に参加する仲間達にも支えられ、少しずつシュンヤは強くなって行ったのです。


頭を丸め、ジッと不動立ちをする、今年の茶帯ト―ナメント大会、開始前のシュンヤ。


『ずいぶん気合いが入っているナァ‥』


と思いましたが、その精神面の在り方は、じつに良い方向へと向かうわけで。


決勝の相手は、中学3年生、体重77キロの強豪。じつに体重差20キロ以上。


大きく正面から打ち合うことはせず、相手の技を見切りながら、少しずつポイントを重ね、最後は延長戦の末、横から崩すように投げて勝利。


そう、ついに優勝。そして昇段となったのです。


シュンヤ→『このスタイルにしてから、練習でも、ほとんど顔に打撃をもらわなくなりました。決勝の相手は、先生より軽かったです♪』


なんと微妙な言葉だとは思いましたが‥(笑)、それでもシュンヤの成長を感じ、ソレをとても嬉しく思えたものでした。


今でも時々、シュンヤの試合映像を観ますが、そのギリギリの精神状態の中、奇跡的な試合をするシュンヤの頑張りには、真の感動があり、胸に込み上げるものがあります。



黒帯を取得した。武道啓明賞だって受賞した。


小さな子供達の面倒見もよく、自主的に手伝いも出来る。


『先生、何か御手伝い出来ることはありますか?』

シュンヤのそんな言葉を、何度、聞いてきたことだろう。


そんなシュンヤの良き成長には、たくさんの人々のサポートと、やはり誰よりも御両親の存在があります。


基本、週に5回、自らの仕事を終え、家事をしながら子供達の稽古への送り迎えを、いつも笑顔でしてくれている、お母さん。


いつもは優しく、もの静かな雰囲気のお父さん。それでも去年、秋の全国大会終了後‥


『シュンヤ!先生が、いつもオマエを上げてくれるからヤって行けるんだ!もっとシッカリしろ!!』


と、そのようにキビしくも、想いある一面を見せていた、お父さん。


そんな御両親の姿勢は、確実にシュンヤやリョウガの兄弟を、良き方向へ導いてくれているのだと思います。


白脇教室で、ある保護者の方が‥


『シュンヤ君は立派ですね‥』

と、言ってくれていたことがあります。


組手スタイルの中の『希望』より、努力を重ねる中で変わって行った、シュンヤのそんな『在り方』は、きっと多くの子供達にとって、確かな『希望』になるはず。


先日の報告会、黒帯を取得したことで、シュンヤから仲間達への挨拶がありました‥


『みなさんのおかげで黒帯を取ることが出来ました!ありがとうございました!』



あの日、ヒザを抱えて泣いていた、一人の少年。

そんな少年が、今、心からの『笑顔』を見せました‥。(^-^)



【今日の一枚】

★写真‥シュンヤ。



【教室長の一言】

☆『シュンヤ、昇段おめでとう!』 (^-^)v