上級韓国語 - ちょんげぐりの世界

韓国語の勉強もそろそろビジネスクラスへ乗り換えましょう。上級韓国語をめざして,古狸案先生の授業は随時更新中です。

「総合」と「綜合」-日韓の漢字の違い

2010-04-26 | 動詞
言葉は生き物です。昔はこう書いたけど,今はこう書くのが正しいというものも結構あります。「総合」と「綜合」などがそうですね。韓国語ではかたくなに原則を守っているために,日本語の発想で考えると,読めなかったり間違って読んでしまう漢字が結構あります。

*日韓で漢字の表記が違う言葉
日本語   韓国語           日本語   韓国語
・総合 ― 綜合 [종합]        ・世論 ― 輿論 [여론]
・台風 ― 颱風 [태풍]        ・要項 ― 要綱 [요강]
・関数 ― 函數 [함수]        ・順守 ― 逡守 [준수]
・選考 ― 銓衡 [전형]        ・散布 ― 撒布 [살포]
・放棄 ― 抛棄 [포기]        ・放物線 ― 抛物線 [포물선]

この真犯人は,戦後設けられた日本語の漢字制限です。今の日本では置き換えられたモノがずうずうしくそのまま昔からあったかのような顔をしていますね。

*次の単語の読みをハングルで書きなさい。(  )は日本語の漢字表記です。
(a) 心臟瓣膜症(心臓弁膜症)
(b) 辯護士(弁護士)
(c) 撒水(散水)
(d) 抛物線(放物線)
(e) 障碍(障害)

漢字が違うと読み方も違います。この「心臓弁膜症」も「弁護士」も日本語では「弁」の字ですが,韓国語では「心臓弁膜症」は,心臟瓣膜症[심장 판막증],「弁護士」は辯護士[변호사]と書き分けています。

日本語で同じ「弁」と書いても,韓国語にすると瓣[판]と辯[변],読み方まで違います。本来は[辯]は花びらという意味で,転じて管の出入り口にある「弁」を指すようになったのです。また[辯]は,弁舌さわやかだということを表す漢字です。両方とも画数が複雑なために,いまの日本語では「弁」の字で代用しているのです。

「散水」はもともと水と撒くという意味ですから「撒水」と書きました。読み方は「さっすい」です。しかし,字の形が似ていて意味もあまり変わらない「散」の字を当てたため「さんすい」と読むようになってしまったんです。韓国語では[살수]です。

「刺激」と「刺戟」の関係もそうです。昔は日本でも「刺戟」という字を使っていました。「戟」というのは「ほこ」,つまり「戈(カ)」の柄の先に敵を突き刺す「刺(シ)」の付いた,敵を引っかけたり突いたりする武器のことです。これで敵を「刺戟」したのですね。韓国語では[자격]ではなく[자극]です。

「抽選」も韓国語では「抽籤」と書きます。「籤」は「くじ」という意味でもともと日本でもこう書いていたんですが,漢字が難しいので,同じ音を持つ「選」の字に書き換えたのです。「抽選」の発音は,ですから韓国の漢字読みで[추첨]と言います。日本式に [추선] と言ったら通じません。

「障害」という言葉もそうですね。「害」という漢字の響きがよくないというので最近ではひらがなで「障がい」などと書いているのをよく見かけます。韓国語では「障碍」と書きます。「碍」は「妨げる」と言う意味で,この漢字も日本では昔はこう書いていたのですが,同音の「害」の字に書き換えてしまったという経緯があります。「害」は[해],「碍」は[애]と発音しますので,「障害」は韓国語では[장애]と言います。注意してください。

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