上級韓国語 - ちょんげぐりの世界

韓国語の勉強もそろそろビジネスクラスへ乗り換えましょう。上級韓国語をめざして,古狸案先生の授業は随時更新中です。

父さん,岩が!

2010-03-27 | 動詞
忠清道は忠州[충주]と清州[청주]の頭文字を取ったものです。
現在は忠清北道の道庁所在地は清州,忠清南道の道庁所在地は大田[대전]です。

韓国で,唯一海に面していない道が忠清北道ですね。
そのために通禁[통금]がありませんでした。

いまの若い人は通禁といっても知らないでしょう。
1945年の9月に米軍政より実施された夜間通行禁止のことです。
最初はソウルと仁川を対象に始まり,朝鮮戦争以後の 54年からは,北朝鮮のスパイを防ぐという名目で全国的に拡がっていきました。
通禁時間は夜の10時から夜明けの4時までの6時間でしたが61年には夜中の0時から4時にまでの4時間に変更になりました。

そして四方を海に囲まれた済州島が64年に,また海に面していない忠清北道が65年には通禁対象地域からはずれました。
この通禁は長い間市民生活の支障になっていましたが,82年1月5日に解除が決定されました。この間,韓国の人たちは1日20時間の生活をしていたのですから相当な時間の損失でした。

さて,忠清道といえば有名な話があります。
みなさんも一度は韓国の人から聞いたことがあるんじゃないですか。
あの,山から岩が落ちてくる話です。

お父さんと息子が畑を耕していると,そこに大きな岩が落ちて来るんです。
これを見た息子が,お父さんに아버지! 돌 굴러가유!と叫ぶんですが,言い終わらないうちに,すでにお父さんは岩の下敷きになって死んでしまったという,笑い話というか悲劇というか,まあ,そんな話です。

これは忠清道の人が,どれだけのんびりしているかをよく表した言葉ですよね。
言葉もゆっくりだし,行動もじれったいくらいゆったりしているといいます。

ソウルに近いこの地域は湖西地方[호서지방]とも呼ばれ,肥沃な平野が多く,昔から田畑を買って耕していた両班たちが多く生活をしていたんです。
ですから暮らしぶりはソウルとあまり差はありません。
古くは百済(4世紀前半~660)がこの地域を中心として栄えました。
その王都が置かれた公州[공주]や扶餘[부여]には当時の王陵や仏寺などの遺跡が多く残っています。

この時代の繊細できらびやかな文化は当時日本にまで伝えられたんです。
ですからこの地域を清風名月[청풍명월]というんです。
大自然の清らかな風と明るい月からも分かるように,澄んだ心と不正のない正しい心を持った人が多いんです。

さっきの笑い話ではないですが,忠清道人をのろまで無力だという人がいますが,むしろ焦らない,余裕のある心を持った素朴な人柄を感じさせますね。
人情にかけては忠清道人は天下一品です。

忠清道人はこのような柔らかさの中にも忠節[충절]と意地[의지]があり,昔から他の道に負けないくらい多くの義兵や独立運動家たちがここから育っていきましたね。

忠清道はソンビ[선비]と呼ばれる学識の高い士を多く排出したところとしても知られています。そのせいか保守的な両班気質が強いところです。いまでも州や公州といえば教育都市として知られていますよね。
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