삼천포로 빠지다(おもしろ語彙の世界)
慶尚道の四文字キャッチフレーズは태산교악〈泰山喬嶽〉です。高い山脈のようにどっしりと落ち着いてみえるという意味です。よく慶尚道人は自尊心が強く,物事に動じないで果敢に行動するといわれています。남남북녀〈南男北女〉といいますが,慶尚道の男性は人気がありますね。
慶尚道といえば,韓国の人であればだれでもが知っている慶尚道の地名が入った言い回しがあります。
삼천포로 빠졌다,つまり“잘 나가다가 삼천포로 빠졌군.”とう言い回しです。話が脱線して横道にそれてしまったり,物事が順調に運んでいる途中で変な方向に行ってしまうことをこのように表現します。
三千浦は경상남도(慶尚南道)南海岸の景勝地・한려수도(閑麗水道)のほぼ中央に位置する漁港として知られ,釜山と여수(麗水)を結ぶ水中翼船も入港し,海釣り目的の釣り客や観光客が多く訪れるところです。
この言葉の由来に関しては,朝鮮末期に고성(高城)に住んでいた人が,진주 (晋州)の親戚に行く途中で道を間違えて,途中の三叉路で三千浦方向に行ってしまったとか,釜山―普州を結ぶ気動車3両のうち最後の1両が普州の手前で別れて三千浦に行くのを間違えて乗ってしまい,目的地と違った三千浦に行ってしまったとか,諸説あります。しかし現在は,三千浦に行く鉄道である晋州線は廃止され,三千浦市という地名も1995年に周辺の町との合併により消え,사천시(泗川市)になってしまいました。
しかし,最近のご時世から鑑みて,この삼천포로 빠졌다という言い回しは,やたらに使わない方がよさそうです。単に道を間違えて,三千浦に迷い込むという意味だけでなく,何かをやっている途中で、とんでもないことをしてしまうというような,否定的な意味でもよく使われるからです。そのため、三千浦の住民たちが地域感情を煽るこの表現を好きになるはずがありません。公式の場所でこの表現を使って、正式に謝罪するまでになったという事例もあるほどです。せめて“잘 나가다 샛길로 빠졌다.”という表現を使うべきではないでしょうか。
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