かずさんの、ふらり日々是好日の記

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531 奈良公園の鹿せんべいのHS分類

2008-10-29 | 関税率表分類・HS
  奈良公園の国立博物館で正倉院展が開催されています。

奈良といえば、大仏さんと鹿というと法隆寺や薬師寺の関係者の方に叱られそうですが、日本人の多くが修学旅行で訪れるのは奈良公園でしょう。

このブログで取り上げたことがあるかも知れませんが、今回は、HS関税分類の大原則をテーマにします。

1 どの国でも、衣・食に係わるモノの関税は、日本ではお米が典型ですが、微妙な設定がしてあります。癒しブームの中、ペットの飼育が盛んで、ドッグクッキーが輸入されたりしますが、もし、奈良公園で売っている鹿せんべいが、大きなドラム缶のバラ詰めで輸入され、国内で小売用に小分けして、奈良公園で鹿用として販売される場合、輸入時のHS関税分類のポイントは何でしょう。

2 せんべいは、一般に米を主原料に焼いて作るものですが、HSでは、第19類(穀物、穀粉、でん粉又はミルクの調製品及びベーカリ製品)の中の、19.05(パン、ケーキ、ビスケットその他のベーカリー製品)が、マッチしそうです(ちなみに、あられ、せんべいなどの食用の米菓は関税率34%と、米との絡みで高関税率です。)

一方、HSでは、この第19類には「飼料用のビスケットその他の穀粉又はでん粉の調整飼料は含まれない」こととされています。

つまり、飼料用のせんべいなら、HSの23.09(飼料用に供する種類の調製品)に分類され、その細分には、23・09.10(犬、猫用の小売用飼料)があります。

3 輸出入の手続きを確定する上で大切なことは、そのモノがどんなものかの事実の確定・・・fact finding・・・です。

分類の検討なら、成分、製法、形状などが確定すべき必須要素ですが、鹿せんべいは、奈良の鹿愛護会によれば、米ぬか、雑穀を主原料にして焼いたもののようで、炭酸せんべいのような香りがするようです。なお、鹿の主食は芝や木の実で、鹿せんべいはおやつとのことです。 

鹿せんべいは、鹿の主食ではないため、23.09の飼料用のビスケットに類似するものとして考えるべきかは微妙ですが、そもそも飼料用のせんべいと、非飼料用のせんべい(食用のせんべい)とはどう見分けるのでしょう。

 輸入後の国内での販売の仕方でしょうか。食べられるかどうかでしょうか?
 子供の時に覚えがある方もいらっしゃると思いますが、鹿せんべいは、美味しくはありませんが、口に入れる事はできます(ただし、食品衛生法の対象ではないようですのでお勧めはできません。)。

どうやら、鹿用のせんべいは、人間が食べようと思うと食べられるシロモノですが、こういうものは関税分類ではどう考えるのでしょう?また、ペットも、飽食の時代です。人間用のものと殆ど同じせんべいが、鹿の絵柄が付いた小売袋に入れて鹿用として輸入されたらどうでしょう?

4 結論から言うと、
「関税分類は、原則として、輸入時点の形状、成分、包装形態等で決定され、輸入した後の用途は斟酌されずに決まります。」

このため、
①バルクで鹿せんべいが輸入されると、飼料用かどうかがその成分や製法の実態に即して検討されますが、どうやら特別の配合や、人が食べられないような不可食処理がされているようでもありませんから、動物や鹿にしか適さないとはいえないようですので、23・09の飼料用には分類され難いと思っています。

②普通のせんべいが、鹿の絵の付いた小売袋に入れ、「奈良公園の鹿せんべい」の表示をつけて輸入されると、さてどうなるんでしょう?

・ ・・・・・・・・・・・
 
先日から、輸入時の関税やVAT・消費税などを合法的に節減できる方法はどんなものがあるか、ネットを眺めて研究しているんですが、なかなか、楽して成果をうるのは難しいですね。

ま~よく下がる株価と、よく上がる円です!今日は、久しぶりに逆行しましたが・・。
 以前のところから20m東の旧中座のビルに来年復帰する「くいだおれ太郎」なら、「え~かげんにしなはれ!あても、こまりま!」とか言うんでしょうか?







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