かずさんの、ふらり日々是好日の記

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613 「ハンドバック」の分類

2009-03-10 | 関税率表分類・HS
  私の住む町は朝から青空。と言っても霧が出て電車が遅れるなどでしたが、4月中ごろの陽気でした。
 このブログの読者の皆さんは、ぼちぼちコートを脱いで春のファッションに衣替えでしょうか?
 ターミナルでは、振袖やはかま姿の若い女性や、フェミニンなスカートや明るいセーターが目に付く時期でもありますが、この頃には、「ハンドバッグ」に視線がいくことも多くなるようです。
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  ハンドバッグのような容器(味気ない言葉ですが・・)は、HSの第42類ですが、その42.02は、次のように色んな名称が並んでいます。

旅行用バッグ、断熱加工された飲食料用バッグ、化粧用バッグ、リュックサック、ハンドバッグ、買物袋、財布、マップケース、シガレットケース、たばこ入れ、工具袋、スポーツバッグ、瓶用ケース、宝石入れ、おしろい入れ、刃物用ケースその他これらに類する容器(革、コンポジションレザー、プラスチックシート、紡織用繊維、バルカナイズドファイバー若しくは板紙から製造し又は全部若しくは大部分をこれらの材料若しくは紙で被覆したものに限る。)及びトランク、スーツケース、携帯用化粧道具入れ、エグゼクティブケース、書類かばん、通学用かばん、眼鏡用ケース、双眼鏡用ケース、写真機用ケース、楽器用ケース、銃用ケース、けん銃用のホルスターその他これらに類する容器

 ざっと読んでみて、私には「エグゼクテイブケース」とはどんなものだろうとか、何かの入れ物を渡されて「これは何か?」と言われると目をぱちくりになりそうです。

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 そして、この4202.21、4202.22、4202.29には、「ハンドバッグ」が分類され、金メッキを使用していることの有無や、外面の材質(革、レザー、プラスチック、繊維など)で先ほどの6桁が適用されます。

この42.02の容器には、先ほどの品名や、金メッキなどの有無や材質で、WTO協定税率が16%~2.7%の大きな幅があるので、HS分類がどこになるかは、関税率に大きく関わってきます。

 このように、4202.2X は「ハンドバッグが全て分類される」ので、実際の輸入分類では、ハンドバッグかどうかが、まず分かれ道です。
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HSの本文(関税定率法の別表)では、「ハンドバック(取手が付いていないものを含むものとし、肩ひもが付いているかいないかを問わない)と有りますが、これでは識別できません。

HSには、E-NOTEと言う解説(Explanatory Note)が用意されており、日本では「関税率表解説」として財務省の通達になって公開されています。

また、実際の、WCO(世界税関機構)と日本での分類事例の参考になるものが「分類例規」として同じく財務省から通達として公開されています。

(注)解説と例規は、次のページで見ることができます。
    http://www.customs.go.jp/tariff/kaisetu/index.htm

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本題に戻って、「ハンドバッグ」に分類するかどうかの判断基準として、先ほどの「分類例規の日本の事例」には次のように示しています。

認定基準
第42.02 項に掲げるハンドバッグとは、女性が通常化粧品、ハンカチ、紙等の身辺用品を入れて使用する携帯用具で、留金、ファスナー、ふた、締めひも等により閉じられる型式のものをいう。

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なるほど、女性が持つもので閉じられるものですね。と言うことは、男性が持つもので閉じられないものはハンドバッグじゃないんですね。

でも未だ不十分ですね、そこで、同じ例規には、次のような基準が規定されています。
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ただし、ハンドバッグに該当するかしないかの認定が困難なものについては、次に掲げる基準
による。

(1)長幅が15 センチメートル以上30 センチメートル以下のものは、ハンドバッグとして取り
扱う。
(2)外形が装飾的なもの又はソフトな感じのものであり、折り畳む等変形のできないものは、
ハンドバッグとして取り扱う。ただし、形状が明らかに箱状のもの及び通常かばん等に入れ
て携行するものは含まない。
(3)通常内部に仕切り又はポケットを有するものは、ハンドバッグとして取り扱う

 分類基準として、だいぶ実用的になってきました。でも、デザインで一部がいつも折れ曲がっているようなものの長さは、どう考えるのでしょう? それに革がとても柔らかく曲げて小さくすることが容易なものはどう考えるのでしょう?ポケットはあるけれど装飾用で、およそ実用的でないものもポケットでしょうか?

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 このような疑問に答えるために、昨日9日に、関税局から 先ほどの認定困難ものの判定基準について、更に次のような明確化の基準が出されています。

1 「長幅」とは、「物品を入れて肩や腕に掛ける」という実際に使用する際の形状に基づくものである。
2 「折り畳む等変形」とは、不使用時に小さく折り畳み収納できるような性状のことであり、バッグそのものの革の種類の違いによる柔らかさ等、デザインとしての柔軟性によるものはこれに該当しない。
3 「仕切り又はポケット」とは、身辺用品を入れて整理できるものであり、それらを有することにより身辺用品を入れて使用するというハンドバッグの特性が確認できるものをいう。

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ハンドバッグかどうかを識別するために、多くの基準が作られてきたことが分かると思います。
そんなに労力をかけて、モノを入れるもの(容器)の中からハンドバッグを識別する必要があるのか?との疑問も聞こえそうですが、そういう分類が必要との国際判断の集まりが今のHSになっていると言えそうです。

 身近に、女性が持ついろんな大きさ、材質、デザインの容器が有りますが、その中からHSのハンドバックを的確に見分けることの苦労は続きそうです。
 



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