今晩は! 昨日「武器輸出三原則」の緩和への動きが報道されていました。
この機会に武器の通関手続きをおさらいしてみましょう。
この問題は、そもそも三原則の武器とは何かとか、汎用品をどう考えるのかなど、武器の定義の議論もあります。
街の猟銃店に行くと、昨日、事故があった散弾銃などの猟銃やスポーツ射撃用の銃を販売していますが、あれは三原則の武器でしょうか?実は違います。
武器の定義だけでも、何度かブログにかけるほどの経緯があるようですが、今回は、三原則の「武器」というものの定義は自明として記述していきます。
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1 「武器輸出三原則」とは
武器と武器技術の輸出を禁じる政府方針です。
1967年に佐藤首相が国会答弁で①共産国 ②国連決議で武器輸出が禁止された国 ③国際紛争当事国かその恐れがある国 への武器輸出禁止を表明しました。
1976年に三木首相が三原則以外の地域についても「輸出を慎む」として事実上の前面輸出禁止が政府の統一見解になり、武器技術や武器製造関連設備も対象としました。
1983年、中曽根内閣の官房長官談話で、日米安全保障条約の枠組みの中で行なう対米技術協力を例外扱いにし、2004年には小泉内閣において米国との弾道ミサイル防衛(MD)システムの共同開発・生産を例外扱いにしました。
なお、アフリカ・ソマリア沖の海賊対策のため自衛官や海上保安官が携行する武器など、あるいは自衛隊の海外活動については、その都度、携行する装備品などを官房長官談話などで例外扱いにしています。
このように、自衛隊の海外活動や、安全保障条約が背景にある米国への技術供与・共同開発などは談話などにより例外扱いとしていますが、その他の国との共同開発や商業的な輸出は全面的に禁止しています。
2 関税法における武器の扱い
HS93類に「武器及び銃砲弾・・・」の分類があります。貿易統計を見ると若干の輸出実績がありますが、それはスポーツ用などの三原則の武器に該当しないものと想像できます。
一方、関税法第69条の2には輸出してはならない貨物の規定がありますが、ここには、武器やけん銃などは書いていません。また、第69条の11には輸入してはならない貨物の規定があり、けん銃、小銃などがありますが、他法令の規定で適法に輸入する場合は除かれています。自衛隊が輸入するものはこの例外なんでしょう。
このように見ていくと、武器の輸出は関税法の絶対禁止ではないことがわかります。
つまり、武器輸出三原則は、外為法によって経済産業省が輸出ライセンスを発給しないこととし、その水際での実効性を税関の審査・検査で担保していることが分かります。
3 武器輸出についての関税局長通達
税関のトップページには、所管法令等一覧(含む改正)という項目があって、関税法や通達を見ることができます。
余り知られていませんが、この中に「武器等の輸出規制に係る審査等の充実強化について」という昭和56年6月の関税局長があります。
この通達は、韓国に砲身の半製品が輸出された疑いのある堀田ハガネ事件が発覚し、昭和56年の国会で武器輸出三原則に違反する事件として問議され、国会の「武器輸出問題等に関する決議」を踏まえて規定されたものです。興味のある方はご覧になれば、「武器関連貨物」として武器が分類される可能性のあるHS番号を特定するなど、相当厳格なチェックが想定されています。
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武器輸出三原則の扱いは、国策というレベルの問題で、これから年末の防衛計画大綱の策定時期まで検討されると報道されています。
通関業などの通関実務面で、関係することはまずないと思われますので、知識として頭の隅っこに覚えておけばいいでしょう(^.^)
最後に頭の体操で、江戸時代の火縄銃は、三原則の武器でしょうか(^.^)
この機会に武器の通関手続きをおさらいしてみましょう。
この問題は、そもそも三原則の武器とは何かとか、汎用品をどう考えるのかなど、武器の定義の議論もあります。
街の猟銃店に行くと、昨日、事故があった散弾銃などの猟銃やスポーツ射撃用の銃を販売していますが、あれは三原則の武器でしょうか?実は違います。
武器の定義だけでも、何度かブログにかけるほどの経緯があるようですが、今回は、三原則の「武器」というものの定義は自明として記述していきます。
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1 「武器輸出三原則」とは
武器と武器技術の輸出を禁じる政府方針です。
1967年に佐藤首相が国会答弁で①共産国 ②国連決議で武器輸出が禁止された国 ③国際紛争当事国かその恐れがある国 への武器輸出禁止を表明しました。
1976年に三木首相が三原則以外の地域についても「輸出を慎む」として事実上の前面輸出禁止が政府の統一見解になり、武器技術や武器製造関連設備も対象としました。
1983年、中曽根内閣の官房長官談話で、日米安全保障条約の枠組みの中で行なう対米技術協力を例外扱いにし、2004年には小泉内閣において米国との弾道ミサイル防衛(MD)システムの共同開発・生産を例外扱いにしました。
なお、アフリカ・ソマリア沖の海賊対策のため自衛官や海上保安官が携行する武器など、あるいは自衛隊の海外活動については、その都度、携行する装備品などを官房長官談話などで例外扱いにしています。
このように、自衛隊の海外活動や、安全保障条約が背景にある米国への技術供与・共同開発などは談話などにより例外扱いとしていますが、その他の国との共同開発や商業的な輸出は全面的に禁止しています。
2 関税法における武器の扱い
HS93類に「武器及び銃砲弾・・・」の分類があります。貿易統計を見ると若干の輸出実績がありますが、それはスポーツ用などの三原則の武器に該当しないものと想像できます。
一方、関税法第69条の2には輸出してはならない貨物の規定がありますが、ここには、武器やけん銃などは書いていません。また、第69条の11には輸入してはならない貨物の規定があり、けん銃、小銃などがありますが、他法令の規定で適法に輸入する場合は除かれています。自衛隊が輸入するものはこの例外なんでしょう。
このように見ていくと、武器の輸出は関税法の絶対禁止ではないことがわかります。
つまり、武器輸出三原則は、外為法によって経済産業省が輸出ライセンスを発給しないこととし、その水際での実効性を税関の審査・検査で担保していることが分かります。
3 武器輸出についての関税局長通達
税関のトップページには、所管法令等一覧(含む改正)という項目があって、関税法や通達を見ることができます。
余り知られていませんが、この中に「武器等の輸出規制に係る審査等の充実強化について」という昭和56年6月の関税局長があります。
この通達は、韓国に砲身の半製品が輸出された疑いのある堀田ハガネ事件が発覚し、昭和56年の国会で武器輸出三原則に違反する事件として問議され、国会の「武器輸出問題等に関する決議」を踏まえて規定されたものです。興味のある方はご覧になれば、「武器関連貨物」として武器が分類される可能性のあるHS番号を特定するなど、相当厳格なチェックが想定されています。
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武器輸出三原則の扱いは、国策というレベルの問題で、これから年末の防衛計画大綱の策定時期まで検討されると報道されています。
通関業などの通関実務面で、関係することはまずないと思われますので、知識として頭の隅っこに覚えておけばいいでしょう(^.^)
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