本日は、通関業法の事例研究です。法律の条文が出てきますが、頑張って最後までやってみましょう。
(事例) 通関業A社の通関業務担当主任bは、顧客の求めに応じ、並行輸入の有名ブランドの輸入申告にあたり、合計30回にわたり正規のインボイスより5分の一の価格のインボイスを作成して通関し、関税及び消費税あわせて、1800万円の関税等を免れる罪を行なった。
実行行為者のbは関税法第110条違反により、通関業Aは第117条(両罰規定)の規定により、それぞれ起訴され、このたび地方裁判所で罰金刑が確定し、罰金を納付した。
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(参考) 関税法第百十条 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 偽りその他不正の行為により関税を免れ、又は関税の払いもどしを受けた者
二 関税を納付すべき貨物について偽りその他不正の行為により関税を納付しないで輸入した者
第百十七条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務又は財産について、第百八条の四から第百十二条まで(輸出してはならない貨物を輸出する罪・輸入してはならない貨物を輸入する罪・輸入してはならない貨物を保税地域に置く等の罪・関税を免れる等の罪・許可を受けないで輸出入する等の罪・密輸貨物の運搬等をする罪)、・・・・・をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して当該各条の罰金刑を科する。
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このため、Aは、通関業法第34条第1項に該当するとして、通関業の許可の取消を受けた。
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(参考)通関業法
(通関業者に対する監督処分)
第三十四条 税関長は、通関業者が次の各号の一に該当するときは、その通関業者に対し、戒告し、一年以内の期間を定めて通関業務の全部若しくは一部の停止を命じ、又は許可の取消しをすることができる。
一 通関業者が、この法律、この法律に基づく命令若しくは第三条第二項(第八条第二項において準用する場合を含む。)の規定により許可に附された条件又は関税法 その他関税に関する法令の規定に違反したとき。
二 通関業者の役員その他通関業務に従事する者につき、この法律、この法律に基づく命令若しくは関税法 その他関税に関する法令の規定に違反する行為があつた場合又は通関業者の信用を害するような行為があつた場合において、その通関業者の責めに帰すべき理由があるとき。
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(質問) で、この取消を受けたAは、改めて通関業の許可を受けるには、何年経過する必要があるでしょう?
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通関業の許可を新しく受ける場合、税関長が許可をしてはならないとされている欠格事由は 通関業法第6条に規定されています。
通関士試験の勉強をした方は、こういう場合の期間は、2年か3年との規定があることは記憶されていると思います(実はかずさんもこの程度は覚えています。)
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(参考)
(欠格事由)
第六条 税関長は、許可申請者が次の各号のいずれかに該当する場合には、通関業の許可をしてはならない。
一 成年被後見人又は被保佐人
二 破産者であつて復権を得ないもの
三 禁錮以上の刑に処せられた者であつて、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつてから三年を経過しないもの
四 次に掲げる法律の規定に該当する違反行為をして罰金の刑に処せられた者又はこれらの規定に該当する違反行為をして関税法 (他の関税に関する法律において準用する場合を含む。)若しくは国税犯則取締法 (明治三十三年法律第六十七号)(地方税法 (昭和二十五年法律第二百二十六号)において準用する場合を含む。)の規定により通告処分(科料に相当する金額に係る通告処分を除く。)を受けた者であつて、それぞれその刑の執行を終わり、若しくは執行を受けることがなくなつた日又はその通告の旨を履行した日から三年を経過しないもの
イ 関税法第百八条の四 から第百十二条 まで(他の関税に関する法律において準用する場合を含む。)の規定
ロ イに掲げるものを除き、国税又は地方税に関する法律中偽りその他不正の行為により国税又は地方税を免れ、納付せず、若しくはこれらの税の還付を受け、又はこれらの違反行為をしようとすることに関する罪を定めた規定
五 この法律の規定に違反する行為をして罰金の刑に処せられた者であつて、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から三年を経過しないもの
六 第十一条第一項第一号若しくは第三十四条第一項の規定により通関業の許可を取り消された者又は第三十五条第一項の規定により通関業務に従事することを禁止された者であつて、これらの処分を受けた日から二年を経過しないもの
七 公務員で懲戒免職の処分を受け、当該処分を受けた日から二年を経過しないもの
八 法人であつて、その役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。以下同じ。)のうちに前各号のいずれかに該当する者があるもの
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この第6条の欠格事由を、順に読んでいくと第4号、第5号、第6号に関係がありそうです。特に第6号は許可取消の根拠が34条第一項ですからぴったりで、この場合は「2年」経過になります。
ただし、4号や5号に該当すると「3年」経過が必須となりますので、この点が大きな分岐点です。
そこで、Aが、関税法で処分を受けた根拠の第117条が、欠格事由の第4号や第5号に該当するかどうかがポイントになりますが、結論は、この「117条による罰則は該当しない扱い」です。
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第117条は両罰規定というものです。
本来刑罰は、犯罪行為の実行者を対象とするのが原則ですが、法律によっては法令遵守につき業務主体に監督責任を負わせています。
この監督責任は、従業者に対する選任、監督義務不十分により生じるもので、行為者の責任とは別個のものです。そして、事業主として違反行為を防止するために必要な注意を尽くさなかった過失の存在を推定したものと解されています。
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日本時間の今深夜は、米国大統領の就任式ですが、オバマ氏がどのような演説をするのか興味津々です。
(事例) 通関業A社の通関業務担当主任bは、顧客の求めに応じ、並行輸入の有名ブランドの輸入申告にあたり、合計30回にわたり正規のインボイスより5分の一の価格のインボイスを作成して通関し、関税及び消費税あわせて、1800万円の関税等を免れる罪を行なった。
実行行為者のbは関税法第110条違反により、通関業Aは第117条(両罰規定)の規定により、それぞれ起訴され、このたび地方裁判所で罰金刑が確定し、罰金を納付した。
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(参考) 関税法第百十条 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 偽りその他不正の行為により関税を免れ、又は関税の払いもどしを受けた者
二 関税を納付すべき貨物について偽りその他不正の行為により関税を納付しないで輸入した者
第百十七条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務又は財産について、第百八条の四から第百十二条まで(輸出してはならない貨物を輸出する罪・輸入してはならない貨物を輸入する罪・輸入してはならない貨物を保税地域に置く等の罪・関税を免れる等の罪・許可を受けないで輸出入する等の罪・密輸貨物の運搬等をする罪)、・・・・・をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して当該各条の罰金刑を科する。
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このため、Aは、通関業法第34条第1項に該当するとして、通関業の許可の取消を受けた。
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(参考)通関業法
(通関業者に対する監督処分)
第三十四条 税関長は、通関業者が次の各号の一に該当するときは、その通関業者に対し、戒告し、一年以内の期間を定めて通関業務の全部若しくは一部の停止を命じ、又は許可の取消しをすることができる。
一 通関業者が、この法律、この法律に基づく命令若しくは第三条第二項(第八条第二項において準用する場合を含む。)の規定により許可に附された条件又は関税法 その他関税に関する法令の規定に違反したとき。
二 通関業者の役員その他通関業務に従事する者につき、この法律、この法律に基づく命令若しくは関税法 その他関税に関する法令の規定に違反する行為があつた場合又は通関業者の信用を害するような行為があつた場合において、その通関業者の責めに帰すべき理由があるとき。
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(質問) で、この取消を受けたAは、改めて通関業の許可を受けるには、何年経過する必要があるでしょう?
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通関業の許可を新しく受ける場合、税関長が許可をしてはならないとされている欠格事由は 通関業法第6条に規定されています。
通関士試験の勉強をした方は、こういう場合の期間は、2年か3年との規定があることは記憶されていると思います(実はかずさんもこの程度は覚えています。)
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(参考)
(欠格事由)
第六条 税関長は、許可申請者が次の各号のいずれかに該当する場合には、通関業の許可をしてはならない。
一 成年被後見人又は被保佐人
二 破産者であつて復権を得ないもの
三 禁錮以上の刑に処せられた者であつて、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつてから三年を経過しないもの
四 次に掲げる法律の規定に該当する違反行為をして罰金の刑に処せられた者又はこれらの規定に該当する違反行為をして関税法 (他の関税に関する法律において準用する場合を含む。)若しくは国税犯則取締法 (明治三十三年法律第六十七号)(地方税法 (昭和二十五年法律第二百二十六号)において準用する場合を含む。)の規定により通告処分(科料に相当する金額に係る通告処分を除く。)を受けた者であつて、それぞれその刑の執行を終わり、若しくは執行を受けることがなくなつた日又はその通告の旨を履行した日から三年を経過しないもの
イ 関税法第百八条の四 から第百十二条 まで(他の関税に関する法律において準用する場合を含む。)の規定
ロ イに掲げるものを除き、国税又は地方税に関する法律中偽りその他不正の行為により国税又は地方税を免れ、納付せず、若しくはこれらの税の還付を受け、又はこれらの違反行為をしようとすることに関する罪を定めた規定
五 この法律の規定に違反する行為をして罰金の刑に処せられた者であつて、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から三年を経過しないもの
六 第十一条第一項第一号若しくは第三十四条第一項の規定により通関業の許可を取り消された者又は第三十五条第一項の規定により通関業務に従事することを禁止された者であつて、これらの処分を受けた日から二年を経過しないもの
七 公務員で懲戒免職の処分を受け、当該処分を受けた日から二年を経過しないもの
八 法人であつて、その役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。以下同じ。)のうちに前各号のいずれかに該当する者があるもの
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この第6条の欠格事由を、順に読んでいくと第4号、第5号、第6号に関係がありそうです。特に第6号は許可取消の根拠が34条第一項ですからぴったりで、この場合は「2年」経過になります。
ただし、4号や5号に該当すると「3年」経過が必須となりますので、この点が大きな分岐点です。
そこで、Aが、関税法で処分を受けた根拠の第117条が、欠格事由の第4号や第5号に該当するかどうかがポイントになりますが、結論は、この「117条による罰則は該当しない扱い」です。
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第117条は両罰規定というものです。
本来刑罰は、犯罪行為の実行者を対象とするのが原則ですが、法律によっては法令遵守につき業務主体に監督責任を負わせています。
この監督責任は、従業者に対する選任、監督義務不十分により生じるもので、行為者の責任とは別個のものです。そして、事業主として違反行為を防止するために必要な注意を尽くさなかった過失の存在を推定したものと解されています。
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