日々雑感

心に浮かんだこと何でも書いていく。

寺谷一紀の京Let’s ワイド ラジオ

2009年05月05日 | Weblog
寺谷一紀の京Let’s ワイド ラジオ

に久々に出演した。テーマが京都にまつわる寺社の話とそれに関する作曲作品を紹介するすることになった。
京都の歌は沢山作曲しているが、自分としてはリスナーに紹介したい作品を選んだ。
それは嵯峨野にある常寂光寺の境内にある「女の碑」につて作曲したときの僕の思いを解説した。


これで僕の思いのタケを作曲出来るのか。不安はあったがとにかく作曲してみた。

女の碑の会様

お便りありがたく拝見しました。皆さんの熱気みたいなものが伝わってきて、圧倒されそうになりました。
人数の多い、少ないではありません。
人の心です。想いです
皆様のお気持ちは、すがすがしいです。
私が動くことが、皆様にとって何かの役に立つならば、こんなにうれしいことはありません。

「女の碑」作曲しましたので、お届けします。

「女ひとり生き、ここに平和を希う。」   
              市川房枝

 初めて見たとき、曲になるかなと思いました。たった一八文字に込められた皆様の思い、生活実感や感慨に、思いをめぐらすとき、私は二つの側面を思い浮べました。
人間として女性の誰もが望み、誰もがあこがれる結婚。その相手になる年頃の男性が戦争で、多くは戦死して、絶対数が不足している為に結婚できなかった人たちの、悔しい気持ちや、心情を察するに、私にはいろいろな想いが過ぎります。
 一つは深い悲しみの霧に包まれて、泣いている心。そして時の経過とともに、沈潜した悲しみに代わって、浮上してきた、あきらめの気持ち。
さらに透明度を増した、やすらぎみたいなもの、いや、灰色を青空色にかえていった心境の変化。もっと突き詰めて言えば、アクが抜けて純化された魂の世界に住むことを願う気持ち。
前者は悲しみを表す単調。後者はどこまでも澄み切った宇宙の色長調で、両者の間に、18小節を取り、心境の変化のプロセスを表しました。
色にたとえると、真っ暗が、徐々に灰色になり、さらに白になっていくみたいなものです。
私の心で表現するならば、悲しみに、涙で濡れた頬に、泣いた後のさわやかな気分が、込み上げてくる。このすがすがしさです。

本当に生きるということは、大変なことなんですね。でも、命が尽き果てるまで、私たちはこの世で生きなければ、仕方がないのです。
 だから私は、今を境を精一杯生きなければ嘘だ、と思うのです。私よりもさらに、苦しい環境を生き抜いてこられた皆様に心から、拍手を送りたいと思います。どうか力を合わせて楽しい日々を続けてください。とりあえず、ソロで入れておきます。

あれから、また考えました。会員の中には、寂しくて、当時は御法度だった不倫をして、その時の気持ちを赤裸々に綴った手記を書いておられる方があったが、それを読み、我が身に置き換えて、考えてみると、実感がひしひしと伝わってきました。

 大正末から、昭和一桁生まれの人たちの、苦しみが容易に想像できて、何ともいえない気持ちになりました。
      男は戦争にとられて、この世の地獄を見て、なくなっていき、      銃後を守ると、いうスローガンの下に、結果的には、結婚相      手を失い、生涯独身を強いられた、気の毒な状況下に置か      れたあなたたち、女性。
あなたたちが生きる権利の一部として、不倫をしたとしても、何ら責められる理由はない。それが倫理にかなっていないとしても、人情の自然でしょう。
 社会道徳とは、相容れないものだろうが、
僕の意見としては、この種の不倫は、自然なこととして、受け入れます。いや秘密をもちながら命を燃やして、不倫した人にたいしては、責めるどころか拍手を送りたい気持ちです。
 
 命の華といえる、青春時代の男女の味わいを、戦争という異常な出来事のために、奪われたのだから、戦争が終わった段階で、それぞれの青春を取り戻すべく、不倫を重ねても、その方が人間らしくて、よいように思います。
 今の時代ならともかく、戦前の古い女性道徳教育を受けられた人たちは、そう易々と、自由奔放に、恋愛や不倫に走ることには、大きなためらいがあったことでしょう。多分大半の女性は、泣く泣く、自分の想いを抑え込んで、苦しい想いに涙して、生きてこられたのでは、ありますまいか。
 結婚をしたくない人が、結婚しないのは納得ずくのことです。しかし結婚したくても、相手の男性が大半戦場へ送られている状況下では、どうしようもありません。泣く泣く自分を抑え込むか、跳ね上がるか、しか解決方法はない。
そういう状況下での不倫でしょ。たとえ世の常識がいかにあろうとも、また女性教育がいかにっあたものにせよ、しないよりはしたほうが人間らしく思います。
 
不倫をしていても、それは一時の麻薬みたいなもので、その場限りの楽しみだけで、その裏には、深い悲しみが待っている。あなたは帰る家庭がある。私は家に帰っても、ひとりぼっちで、寂しさは余計に体に応える。
本には体験談として書かれていたが、不自然な男女関係は、いずれにせよ、芯から心を温めるまでには、至らないのですね。
時代というのか、運が悪いというのか、人生どうしようもない、ど壺にはまった気の毒な世代です。心から同情いたします。僕もあと10年早く生まれていたら、皆さんと同じ運命をたどったことだろうと思います。
戦争は非情です。残酷です。むごいです。無法で正義も、真もありません。
国民をこんな状況に導いたり、引きずったりした戦争責任者は当然国民に対して、責任を負わなければなりません。

言葉で以上のような理屈を、どんなに唱えても、失われた青春と人生は、取り戻しようがありません。こんな手紙を書いてみても、皆様の心を芯から温めることは出来ないでしょう。だから書くのはもう止めます。
どうか心をしっかり持ち、似た境遇の人達と、仲良くお暮らしください。ご健勝を陰ながら、祈っています。

女の碑文に作曲して
              圭史