日々雑感

心に浮かんだこと何でも書いていく。

王宮夜景その2

2009年05月10日 | Weblog

                       チャオプラヤの対岸から臨む王宮

 

ぼつぼつ帰ろうか。  

 

僕は王宮前から1番の数字が書かれたバスに乗った。これだと乗り換えなしで、一本のバスで宿まで直行で帰れる。バンコクはバスが発達した大都会である。それだけにバスを使いこなせば便利なのだが、なにせ、タイの言葉の読み書きは言うに及ばず、会話もまったく出来ないので、日本では笑い話にしかならないような、バスの乗り方しか出来なくて、いつもまごまごしている。  一本のバスで宿まで帰れるというのは、ぼくにとってはこの上なくありがたいことだ。だから夜の王宮を満喫できるわけで、これがどのバスに乗ったら帰れるのかわからないならば、夜の王宮見物なんて、不安が先だってで出来たもんじゃない。大都会の夜に迷子だ、なんて思っただけで、ぞっとする。  心おきなく今夜見物できたのは、昼の間にこのあたりを何回もうろうろしたからである。バスに乗り降りして、このあたりの地理を、つぶさに頭に叩き込んでいるからだ。  日本に居るときと違って、時間がゆったりすぎていくから、こんなことが出来るんだ。ユックリズムも、たまにはいいものだと、自分に言い聞かせた。  熱帯のタイは昼間の暑さはきついが、日が落ちて2,3時間もすると、ほんとにしのぎやすい時間がやってくる。これはぼくにとってはまさにゴールデンタイムである。  この時とばかりに、書き物をするのだが、体調がおかしくない限り、快調に筆は進む。つかれてフアンをつけたまま寝てしまったことがあるが、夜中には寒くなって目が覚め、シャツを一枚重ね着してしたこともある。やはり日が暮れて10時過ぎごろまでが一番しのぎやすい。  近頃はタイでも冷房がはやりだして、冷房バスはもちろんのこと、デパートなど、人の多く集まるところは、たいてい冷房が効いている。暑い街中を汗をたらたら流して歩いていると、冷房の効いたところは、ほっとする。  しかし長い時間冷房ビルに入っていると、体がだるくなって気分が悪くなってくる。それに日本と違って、バンコクの冷房はよく効いているので、それだけに僕にとっては長居は禁物だ。やはり天然がいい。  朝と夕に訪れるあの快適な温度。あれが文字通りゴールデンタイムなのだ。「やっぱり自然が体にいいのだな。」独り言が口をついて出た。今夜はすでにゴールデンタイムは過ぎている。少したてば肌寒くなるかもしれない。1枚余計にきてベッドに横たわった。 月もない暗闇の中に幻想的に浮かび上がって、川面でゆらぐ気品あるワットアルンの妖しいまでの、あのあでやかな姿が、目について日中の疲れがあるにもかかわらず、僕は寝付きが悪かった。