バンガロール駅
ワイシャツネクタイ姿 一見は紳士風。バンガロール・バスセンターでイスに腰掛けてバスを待っていた時、隣の席に座って話しかけてきた。何処から来たか、職業は何か、等など。インドでよく受ける定番の質問。それを聞いてどうするんだ。お前に何の関係があるんだ。インドと日本では同じ業種でも評価は全然違うじゃないか。たとえば洗濯屋。インドでは身分の低い人の職業らしいが、日本ではそんなことはない。洗濯と言っても日本では皆機械が作業をしてその管理と仕上がりの検査くらいしか人手を掛けない。そレに比べてインドでは初めから終わりまで作業はすべて人手に頼っている。 そんな状態で比較してみて何になるのか。比較することが自体が間違っている。僕は訳の分からないこんな質問に答えたくなかった。うるさく同じ質問を繰り返すので、プロフエッサーだと言ってやった。はぐらかされたと思ったのか、それともいよいよ本題に入ろうと言うのか、「実はこの駅でついさっきスリにあってハイデラバードへ行くのに金がない。ついては500ルピほど貸してくれないのか、」ときた。これも定番で、僕はいつもやられているのと同じ手口だと直感した。そこで「君はこのことを、どうしてインド人に頼まないのか、インド人にいって金を借りたらどうだ。通りすがりの外国人に金を借りるように申し込むなんて紳士のする事ではない。恥ずかしいことだ。」とはき捨てるようにいってやった。彼はすぐ席をたって逃げるようにして場所をかえて姿をくらませた。それなりの身なりはしていたが、彼の根性たるやまさしく乞食のそれである。