コンサルタントバンク コンサルタント(プロ・希望者)+ 士業の異業種交流会

コンサルタントバンクは、コンサルタントや士業の先生方の異業種交流会で、無料で登録できる組織です。関連情報をお届けします。

【経営コンサルタントのお勧め図書】『世界インフレの謎』 世界インフレの原因は戦争? 2303

2023-03-26 11:05:03 | 【経営】 経営コンサルタントの本棚

本  【経営コンサルタントのお勧め図書】『世界インフレの謎』 世界インフレの原因は戦争? 2303

経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

 

 【経営コンサルタントの本棚】は、2012年に、経営コンサルタントがどのような書籍を読んでいるのか知りたいという、ブログ読者の声を反映して企画いたしました。

 幸い、日本で最初に創設された経営コンサルタント団体である日本経営士協会には優秀な経営士・コンサルタントがいらっしゃるので、その中のお一人である酒井闊先生にお声をかけましたところ、ご協力いただけることになりました。

 それが、今日まで継続されていますので、10年余もの長きにわたって、皆様にお届けできていることに誇りを持っています。

【 注 】

 本文中のリンクをクリックしますと図版資料をpdfファイル形式で開けます。

 リンクサイトがhttpsではなくhttpサイトですので、その際に警告表示が出ることがありますがクリックして下さっても大丈夫です。

本

■    今日のおすすめ

  『世界インフレの謎』   (著者:渡辺 努 発行所:講談社現代新書)

 


本

■ 世界インフレはウクライナ戦争以前に始まっている(はじめに)


 著者は、日本銀行出身の金融政策の専門家です(経済諮問会議特別セッション8人の一人。東大大学院教授、キャノングローバル戦略研究所研究主幹)。
 大規模データによる経済分析を得意とする著者の「世界インフレ」の分析を是非知って頂きたい思いで紹介本を採りあげました。
 世界のインフレの動きをコアCPI(食品とエネルギーを除く消費者物価指数/日本はコアコアCPI)を見てみましょう。


 【図表1】を見てください(ここをクリック)。

 【図表1】から分ることは、日本を除き、アメリカ、イギリス、ユーロ圏のコアCPIについて同じ動きを確認できます。それは2021年半ばからインフレが起こっていることです。2022年2月のロシアのウクライナ侵攻以前からインフレが起こっているのです。ウクライナ侵攻の影響は若干みられるものの、一つの要因ではあっても、本質的な要因ではありません。


 著者は、世界経済の代表とも言える、アメリカに焦点を絞り、著者のデータ(【図表2】「米国のフィリップス曲線」)と「フィリップス曲線」理論に基づき、「世界インフレ」の要因を探索しています。著者の探索のプロセスを見てみましょう。


 【図表2】「米国のフィリップス曲線」を見てください(ここをクリック)。
 【図表2】は、縦軸にインフレ率(コアCPI)横軸に失業率を置き、2007年1月~2020年12月を●印で、2021年1月~2022年5月を■印でプロットしたものです。
 【図表2】は重要なことを示しています。それは、2007年1月~2020年12月の168個(14年×12ヶ月)の●印は、『2.1%-0.083×失業率』で表される「フィリップス曲線」理論の点線の直線の範囲で変動していることが判ります。即ち需要が上がり景気が良くなれば失業率が下がる、一方需要が下がり景気が悪くなれば失業率が上がる「フィリップス曲線」理論通りに動いていたのです。


 しかし、2021年1月~2022年5月の17個(1年5か月)の■印は、3個(2021.1~2021.3)を除き「フィリップス曲線」理論の点線直線から大きく外れている事が判ります。従来の「フィリップス曲線」理論の動きに沿わない、何らかの要因がコアCPIを動かしていることが判ります。


 著者は「フィリップス曲線」理論を「インフレ率=インフレ予想-a×失業率+X」の数式で現し、このXを「ファクターX」と呼び、Xが大きければ「フィリップス曲線」理論から外れた動きになるとします。このXの解明が、「世界インフレの謎」を解くことになります。


 それでは次項で『「ファクターX」は何か』を見てみましょう。

本

■ 「ファクターX」はコロナの世界的な感染拡大(パンデミック)の後遺症


 著者は、「ファクターX」について次の様に結論付けます。


 『ロシアのウクライナ侵攻と資源高は本質ではない。2022年2月の侵攻より前からすでに米欧でインフレが進んでいた。その本質は新型コロナウイルスのパンデミックの後遺症だ。これは「①個人消費がサービスからモノにシフトした」「②感染拡大で職場から離れた労働者が戻ってこない」「③グローバル化の反転-供給網の機能不全-」の3つの事象に集約できる』と。


 三つの事象について、以下で詳しく見てみましょう。


【個人消費がサービスからモノにシフトした】
 【図表3】と〔補足資料3-①、3-②〕を見てください(ここをクリック)。
 【図表3】は、コロナのパンデミックが始まった2020年1月から2022年3月の間の、サービス消費が4%減り逆にモノ消費が4%増えたことを示しています。


 つまり、過去のサービス消費比率の拡大に終止符を打ちモノ消費比率が大きく伸びた変容を、〔補足資料3-②〕ではおぼろげにしか見えない変容を、つまびらかにしたのです。


 この消費行動変容による、モノの需要増に伴う供給が追い付かず、異常インフレとなったのです。特に、〔補足資料3-①〕が示す通り、耐久財需要が著しく増えたのです。その例としては、パンデミックへの恐怖から、スポーツ・ジムを退会し自転車を購入して体を鍛えた例、在宅勤務の急増に伴う耐久財需要増などを挙げることが出来ます。


【感染拡大で職場から離れた労働者が戻ってこない】
 最近のアメリカの労働市場に異常値が出ています。それは、インフレ率を上げても失業率が下げ止まる失業率の最低ラインNAIRU(Non-Accelerating Inflation Rate of Unemployment:自然失業率=完全雇用下における理論的失業率)の理論が通用しない事態が起こっています。アメリカではNAIRUは4%とされていましたが、2023年1月の失業率は3.4%と大きく下回ったのです。


 この異常値の背後にあるメタは、著者が指摘するパンデミックの「後遺症」である「大退職(Great Retirement)」と呼ばれている事象です。


 【図表4】と〔補足資料4-①、4-②、4-③〕を見てください(ここをクリック)。


 パンデミックの「恐怖心」などが労働者に広がり、労働者の「大退職」が起こります。米国非労働力人口(職を求めない)が、コロナ前の2020年2月は9505万人でしたが、コロナ直後の2020年4月には1億354万人と849万人増加します。しかし、コロナが落ち着いた2022年5月は約9930万と425万人が戻っていないことが分かります。OECDでも同様な傾向がみられます。【図表4】と〔補足資料4-②の「参考資料」〕参照。


 また、労働参加率からみた場合、264万人(1%)が非労働人口に留まったまま戻って来ないと試算できます。〔補足資料4-②〕参照。


 この事象が、失業率の異常な低下、労働市場の逼迫、賃金の上昇を招き、インフレの要因となっているのです。


 著者によれば落ち着くまでは相応の時間を要するとしています。労働市場の落着きは、求人件数と採用件数の「GAP」が200(万件)を下回ってからでしょうか。注目したいです。〔補足資料4-③〕参照。


【グローバル化の反転 -供給網の機能不全-】
 この事象は、中国を主として起こっています。ゼロコロナ政策による都市・職場封鎖により生産・物流の停滞と供給網の不全が起こり、世界的にサプライチェーンの停滞を起こし、製品の減産と価格の上昇を引き起こしたことは周知の事象です。


 「突然」起こったことは、一般的には、時の経過で落ち着いてきます。しかし、「グローバル化の反転」の再発を恐れ、米企業の92%の企業が数年内に「リショアリング(生産拠点の米国内または近隣国への移転)」を計画している(A・T・カーニー調査)ことなどを考慮すると、パンデミックの終息後も以前のトレンドに戻ることは難しいと思われます。

本

■ 日本がデフレから脱却するチャンス-失われた40年からの脱却-(むすび)


 「世界インフレ」のメタが良く判りましたね。著者は、「世界インフレ」の波が日本に押し寄せている今こそ、デフレ体質から脱却するチャンスと力説します。


 まずは、名目賃金を上げ、その後実質賃金を上げ、好循環経済社会を実現することです。特に、実質賃金を上げる(賃上げと同時に生産性を上げる)ことを可能にするのは経営の力です。経営力による生産性向上の例:伊藤忠が「朝型勤務制度」の採用により2021年度の労働生産性を2010年度比5倍に(2023.2.26日経電子版)。

本

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。
 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  https://www.jmca.or.jp/member_meibo/2091/

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】  著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

■■ 経営コンサルタントへの道 ←クリック

 経営コンサルタントを目指す人の多くが見るというサイトです。経営コンサルタント歴45年余の経験から、経営コンサルタントのプロにも役に立つ情報を提供しています。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【経営コンサルタントのお勧め図書】 世界と日本経済大予測2023-24 2302

2023-02-26 05:46:00 | 【経営】 経営コンサルタントの本棚

本  【経営コンサルタントのお勧め図書】 世界と日本経済大予測2023-24 2302



経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。


 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。


 


 【経営コンサルタントの本棚】は、2012年に、経営コンサルタントがどのような書籍を読んでいるのか知りたいという、ブログ読者の声を反映して企画いたしました。


 幸い、日本で最初に創設された経営コンサルタント団体である日本経営士協会には優秀な経営士・コンサルタントがいらっしゃるので、その中のお一人である酒井闊先生にお声をかけましたところ、ご協力いただけることになりました。


 それが、今日まで継続されていますので、10年余もの長きにわたって、皆様にお届けできていることに誇りを持っています。


 


本


■    今日のおすすめ


  『「世界と日本経済大予測2023-24」Economic risk to business and investment』
                                       (渡邉哲也著 PHP研究所)


 




本


■  地政学的視点から見る50の国内、国外のリスク(はじめに)



 著者は、YouTube“文化人放送局”の「渡邉哲也show」等で活躍する、ネット時代の経済評論家です。
 ところで、電通の調査レポート「2021年の広告費」(2022.2.24発表)によれば、インターネット広告費が39.8%とマスコミ四媒体の広告費(テレビ・新聞・ラジオ・雑誌)36.1%を上回りました。まさに、本格的ネット時代が到来しています
 紹介本は2022-23年に予測される50のリスクについて短く論評しています。著者の経済大予測シリーズは2020年、2021年、2022年に続く4作目です。2020年予測本以来「高い的中率」で話題になっています。
 紹介本の2023年本で著者は、読者に向けて、「インターナショナリズム(お互いの国の国柄・文化などを理解・許容を通じて進化する国際社会)」と「グローバリズム(国柄・文化などの理解・許容を超えた一つのルールで世界が動く体制)」の違いを明確に理解して読み解いて欲しいと訴えると同時に、グローバリズムの失敗と終焉を強調しています。大切な視点として受け止めたいです。
 それでは、2023-24年に予測される50のリスクの中から注目したリスクを次項でご紹介します。


本


■ 注目のリスクを見てみよう


 


【ロシアVSウクライナ-飛び地「カリーニングラード」とバルト海に注目-】
 リトアニアとポーランドに囲まれたロシア領カリ-ニングラードへのロシアからの物資は、EUのロシアへの経済制裁以前は、2004年のリトアニアのEU加盟当時にロシアとの間で締結された、輸出入の手続きを取らずにロシアから鉄道やトラックで運ぶことができる、協定に基づきリトアニア経由の鉄道・道路運送で運ばれていました。
 しかし、リトアニアはEUのロシアへの経済制裁を遵守し、貨物列車輸送、道路輸送いずれも禁止しました。これに対しロシアは『2004年の協定を破るなら「軍事紛争に発展しうる」』と反発し、禁止は道路運送のみとなっています。
 この様に、EU(リトアニア)は、譲歩したように見えますが、今後のロシアの侵略次第では再び通過を禁じる「キラーカード」を手元に残しています。
 カリ-ニングラード(ドイツ領時代のケーニヒスベルク;哲学者カントの生誕地)にはロシアのバルト艦隊の本拠地があり、核兵器搭載可能なイスカンデルも配備されています。EUの喉元に突き付けられている軍事拠点です。
 ロシアの弱体化(欧米メジャーの撤退によるロシアのエネルギー産業は、原油・天然ガス鉱区の探鉱・開発・生産・輸送などにおいて、様々な支障がこれから表出)による『カリ-ニングラードから「ロシア軍撤退」』の可能性、2023年のフィンランド・スウェーデン2か国のNATO正式加盟により『バルト海に面した国がロシアを除き全てNATO加盟国になることでの監視強化と行動制限による「バルト艦隊の弱体化」』の実現、等の地政学上の変化に注目です。



【中国の半導体不足-「世界の工場」の座が危ない-】
 2,022年10月米国が「半導体技術の対中禁輸」を発表した。米国で製造された半導体や製造装置だけでなく、米国の技術を使って第三国で製造された半導体や製造装置も規制の対象となった。
 半導体関連で、米国技術を含まない製品は皆無です。中国において半導体を作るための設備・技術に加え半導体そのものが規制の対象になる可能性があり、中国にとっては死活問題です。さらに言えば、先端コンピューティング関連の半導体製品・サービスの米国の在中国子会社向けの輸出に関する一時的許可の終わる2023年4月以降は、在中外国メーカーですら組み立てなどが出来なくなる可能性があります。
 米国は、半導体以外の先端分野の対中規制を強めていく可能性があり、日本を含む外国企業の中国における生産が難しくなることが考えられます。



【ルソン島にスービック基地復活-フィリピンの英断で中国包囲網が完成する-】
 フィリピン北部のスマトラ島のスービック湾の海軍基地が米国から返還されて2022年11月24日で30年になりました。
 ここで米比二国間の軍事協定の歴史を見てみましょう。
 1951年8月、アメリカ合衆国とフィリピンの間で「米比相互防衛条約」が締結された。(同年9月には、サンフランシスコ講和条約と日米安全保障条約、53年の米韓相互防衛条約、54年の米華相互防衛条約〈台湾の蒋介石政権間との条約〉が締結されている。)
 一方米軍基地に関しては、1947年の「米比基地協定」がある。この基地協定に関しては、何回かの協定の改定を経て、1991年が使用期限とされていた。加えて1987年の比国憲法の改正により、延長は議会上院の承認が必要とされた。
 米比基地協定の失効期限となる1991年に、米空軍のクラーク基地や米海軍のスービック基地の近くにあるピナツボ山が大噴火し、クラーク基地が火山灰や泥流により大きな被害を受けた。そのような状況の中、米比両政府は、スービック基地の使用を10年間延長する内容を含む「米比友好協力安全保障条約」を締結し、憲法の規定に基づき上院の批准を求めたが、上院は拒否をした。 これにより、米軍は基地使用の根拠を失うこととなり、翌1992年にはフィリピンから完全撤退することになった。
 米軍撤退後の1995年に、中国による南沙諸島のミスチーフ礁の占拠など国際情勢の変化もあり(2016年7月、国際司法裁判所が比国の主権を認定)、米比両国は1998年に「訪問軍地位協定」を締結し、関係の再構築を行った。加えて、2014年には事実上の基地使用協定となる「米比防衛協力強化協定」を締結し、現在、 米軍は5つのフィリピン軍基地を使用している。
 2022年11月、米ハリス副大統領が、2022年6月に大統領に就任したマルコスと会談し、比国における米軍基地の増強で合意。マービック海軍基地の早期再開が見込まれる。
 これにより、フィリピンのマービック⇔台湾⇔日本の沖縄⇔日本本島の対中前線が出来ることになります。今後の、日本の対比関係にも注目です。
 2023年1月4日マルコス大統領が訪中しましたが、内容は「交渉継続」表明に止まっており、前任の親中・ドゥテルテ大統領とは異なり、米国との良好な関係は維持されると思料します(筆者所見)
 (追記)2023年2月2日、米国とフィリピン両政府は(オースティン米国防長官とフィリピンのガルベス国防相が会談)米軍がフィリピンで使える拠点を4カ所増やし計9カ所にすると発表した。台湾に近いフィリピン北部(マーベリック)などが候補とされる。(2023.2.2日経電子版)


本


■ 予測されるリスクをチャンスに(むすび)



 紹介本の予測する50のリスクを参考に、ビジネス・チャンスを掴みましょう。


 


本


【酒井 闊プロフィール】


 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。
 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。


  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm


  http://sakai-gm.jp/


 


【 注 】  著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。


 


■■ 経営コンサルタントへの道 ←クリック


 経営コンサルタントを目指す人の多くが見るというサイトです。経営コンサルタント歴45年余の経験から、経営コンサルタントのプロにも役に立つ情報を提供しています。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【経営コンサルタントのお勧め図書】 2023これからの日本の論点 日経大予測 2301

2023-01-24 05:46:00 | 【経営】 経営コンサルタントの本棚

本  【経営コンサルタントのお勧め図書】 2023これからの日本の論点 日経大予測 2301

 

経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

 

 【経営コンサルタントの本棚】は、2012年に、経営コンサルタントがどのような書籍を読んでいるのか知りたいという、ブログ読者の声を反映して企画いたしました。

 幸い、日本で最初に創設された経営コンサルタント団体である日本経営士協会には優秀な経営士・コンサルタントがいらっしゃるので、その中のお一人である酒井闊先生にお声をかけましたところ、ご協力いただけることになりました。

 それが、今日まで継続されていますので、10年余もの長きにわたって、皆様にお届けできていることに誇りを持っています。

 

本

■    今日のおすすめ

 

  『日経大予測「2023これからの日本の論点」』
                                  (編著:日本経済新聞社 発行:日本経済新聞出版)

 


本

■  2023年の初めにP・E・S・Tの論点を整理しておこう(はじめに)


 紹介本「2023これからの日本の論点」は、「世界はこれからどうなる」「日本はこれからどうなる」「企業はこれからどうなる」「アジア、欧州はこれからどうなる」の4分野22論点を展開します。
 2023年は、ウクライナ侵略とロシアの行方、ドイツをはじめとした欧州のロシアへのエネルギー依存への破綻とそれによる世界的インフレ・スタグフレーションの行方、脱ロシアの中でのGX(脱炭素)の行方、民主主義陣営と中露をはじめとする強権国家との分断による「新・冷戦」の行方など、2019~2022年のコロナの混乱を超える多くの問題を抱える、まさに先が見えないVUCAの時代と言えます。その中で注目した視点を次項で見てみたいと思います。

 

【 発行者付注 】 PEST分析
  https://ja.wikipedia.org/wiki/PEST%E5%88%86%E6%9E%90

本
■    2023年の注目情報はこれ

 

【貿易・投資の枠組みをめぐる米中対立】
 現時点での、世界の貿易・投資の枠組みとしてEU、TPP、RCEP、IPEFがあります。ここ1年余りの、貿易・投資の枠組みの動きを見てみましょう。
 2018年3月にTPP11として発効したTPPは、参加国の世界GDPに占める比率は13%、参加国の人口は5億人です。TPPについては中国の加盟申請があり、参加基準のクリアーが障壁となり難しいとされますが、注目されています。
 2022年1月1日に発効したRCEPは、中国を中心とする経済圏の国々15ヶ国で構成され、参加国の世界GDPに占める比率は30%、参加国の人口は23億人です。
 1993年11月1日に発効したEUは、2021年1月1日の英国離脱の移行期間が終了した時点で、27ヶ国になりました。参加国の世界GDPに占める比率は17%、参加国の人口は5億人です。
 2022年5月23日の日米首脳会談を機に立上ったIPEFはアメリカ主導の貿易・投資の枠組み作りを目指しますが、2022年9月9日の参加国閣僚会議で、今後の方向性が合意されたものの、具体的な枠組みには至っていません。参加国の世界GDPに占める比率は40%、参加国の人口は25億人です。
 この様に、世界の貿易・投資の枠組みにおいてアメリカを中心とする米・日・欧陣営と中国との対立が強まる中、日本政府の貿易・投資担当の官僚が目指す野心的な案「TPP+EU+アメリカの統合EPA」に期待したいですね。TPPとEUがまとまれば、巨大な貿易圏(世界GDPの30%)が誕生し、アメリカは自国が不利な立場に置かれることから、アメリカが加わる可能性が出て来ます。因みに、「TPP+EU+アメリカの統合EPA」の参加国の世界GDPに占める比率は54%、参加国の人口は14億人です。中国を主体とするRCEPのGDP比30%を大きく上回ることになります。


【経済安全保障でグローバリゼーションは終わる】
 グローバリゼーションの歴史を、第二次大戦後の主な歴史的事実から見てみましょう。1948年GATT(関税と貿易に関する一般協定)体制がスタート、1955年9月に日本GATTに加盟(1559年以降は理事国)、1973年G7がスタート、1985年プラザ合意、1991年ソ連崩壊による冷戦の終結、1993年EUが発足、1995年1月WTO(世界貿易機関:World Trade Organization)が発足(GATTを吸収、協定から国際機関への転換に伴い、ルールの範囲も、モノの関税率だけでなく、投資や知的財産、サービス、防衛など幅広い分野を対象となる)、2001年中国がWTOに加盟、などを挙げることが出来ます。
 グローバル化の推移を、世界の貿易量の世界のGDPに占める比率の推移を見てみましょう。()は歴史的事項。
 1960年代11%程度、2000年23%、(2001年中国WTO加盟)、2008年30%、(2010年中国が日本を抜きGDP世界2位へ)、(2018年トランプ政権による米中貿易摩擦がスタート)、2021年25%です。
 この数値から読み取れることは、2001年の中国のWTO加盟を機に、貿易量が拡大し、更には、中国の世界の工場としての地位が拡大し、世界のグローバル化が進みました。2010年には中国は日本を追い越しGDP世界2位へと躍進します。しかし、2018年に始まった米中貿易摩擦などにより、貿易量のGDP比率の低下が始まり、グローバル化にブレーキが掛り始めている事が読み取れます。
 2022年には、ロシアのウクライナ侵略に加え中国の人権問題や軍事的拡大リスク等から、経済安全保障の意識が高まり、民主主義国家vs独裁国家の分断が急速に拡大しています。自由貿易を推進するWTO協定にある唯一の例外既定、「安全保障上の懸念がある場合」、を適用した制裁が拡大しています。2022年12月12日、中国は、アメリカが「安全保障」条項を悪用し半導体の輸出規制をしているとして、WTOに提訴しました。解決は難しいでしょう。
 ロシア、中国の強権的・拡張的リスクは収まりそうもありません。それに対抗する米・欧・日の対露・対中制裁は深まる一方です。まさにポスト・グローバリゼーションの時代に突入しています。


【文化は戦略にまさる VUCA時代の企業経営】
 紹介本は「VUCAワールドにさらされる日本」を見出しとする解説で、現在、世界が「VUCAワールド」にある裏付けとして「“GEPU”Index(“世界経済政策不確実性”指数)」 〔図表:注釈付きグローバル EPU インデックス〕を引用し、2022年にはウクライナ侵攻などの要因で、1997年~2015年までは100程度の不確実指数が、300にまで上昇していることを指摘します。その中で日本も、経済面では米中対立やウクライナ侵攻に伴うインフレリスクや円安の影響を受け、また社会面では阿倍元首相の銃撃事件が発生するなど、VUCA的な展開が拡大していると指摘します。
 この様な環境下における企業経営の在り方について、マイクロソフト社の2014年に就任したナデラGEOによる、「フィクスド(型にはまった)マインドセット」から「グロース(成長志向の伸び伸びとした)マインドセット」への転換に伴い、クラウドビジネス等への快進撃をもたらしたこと(GAFAMの株価時価総額で4位からアップルに次ぐ2位へ)や、ソニーの「弱いつながり」による新たなビジネスの創出に成功している例を挙げています。
 VUCA時代をしたたかに生きるための、「企業文化の変革を通じた、社員自ら主体的に働く生き生きとした組織風土を築き上げ、組織力を高め、『時代を先導できる力』の創出」により、一つ一つの事象に臨機応変に対応していく組織能力が必要と指摘します。

■    2023年の企業経営のキーワードは“アジャイル”(むすび)

 2023年は2022年にも増して「不確実性の時代」になります。早急に、「現状把握・分析⇒仮説立案・検証⇒意思決定・アクションプランの策定」をし、アクションをアジャイルに実行する時ではないでしょうか。

 

本

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。
 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】  著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

■■ 経営コンサルタントへの道 ←クリック

 経営コンサルタントを目指す人の多くが見るというサイトです。経営コンサルタント歴45年余の経験から、経営コンサルタントのプロにも役に立つ情報を提供しています。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【経営コンサルタントのお勧め図書】 2023これからの日本の論点 日経大予測 2301

2023-01-24 05:46:00 | 【経営】 経営コンサルタントの本棚

本  【経営コンサルタントのお勧め図書】 2023これからの日本の論点 日経大予測 2301

 

経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

 

 【経営コンサルタントの本棚】は、2012年に、経営コンサルタントがどのような書籍を読んでいるのか知りたいという、ブログ読者の声を反映して企画いたしました。

 幸い、日本で最初に創設された経営コンサルタント団体である日本経営士協会には優秀な経営士・コンサルタントがいらっしゃるので、その中のお一人である酒井闊先生にお声をかけましたところ、ご協力いただけることになりました。

 それが、今日まで継続されていますので、10年余もの長きにわたって、皆様にお届けできていることに誇りを持っています。

 

本

■    今日のおすすめ

 

  『日経大予測「2023これからの日本の論点」』
                                  (編著:日本経済新聞社 発行:日本経済新聞出版)

 


本

■  2023年の初めにP・E・S・Tの論点を整理しておこう(はじめに)


 紹介本「2023これからの日本の論点」は、「世界はこれからどうなる」「日本はこれからどうなる」「企業はこれからどうなる」「アジア、欧州はこれからどうなる」の4分野22論点を展開します。
 2023年は、ウクライナ侵略とロシアの行方、ドイツをはじめとした欧州のロシアへのエネルギー依存への破綻とそれによる世界的インフレ・スタグフレーションの行方、脱ロシアの中でのGX(脱炭素)の行方、民主主義陣営と中露をはじめとする強権国家との分断による「新・冷戦」の行方など、2019~2022年のコロナの混乱を超える多くの問題を抱える、まさに先が見えないVUCAの時代と言えます。その中で注目した視点を次項で見てみたいと思います。

 

【 発行者付注 】 PEST分析
  https://ja.wikipedia.org/wiki/PEST%E5%88%86%E6%9E%90

本
■    2023年の注目情報はこれ

 

【貿易・投資の枠組みをめぐる米中対立】
 現時点での、世界の貿易・投資の枠組みとしてEU、TPP、RCEP、IPEFがあります。ここ1年余りの、貿易・投資の枠組みの動きを見てみましょう。
 2018年3月にTPP11として発効したTPPは、参加国の世界GDPに占める比率は13%、参加国の人口は5億人です。TPPについては中国の加盟申請があり、参加基準のクリアーが障壁となり難しいとされますが、注目されています。
 2022年1月1日に発効したRCEPは、中国を中心とする経済圏の国々15ヶ国で構成され、参加国の世界GDPに占める比率は30%、参加国の人口は23億人です。
 1993年11月1日に発効したEUは、2021年1月1日の英国離脱の移行期間が終了した時点で、27ヶ国になりました。参加国の世界GDPに占める比率は17%、参加国の人口は5億人です。
 2022年5月23日の日米首脳会談を機に立上ったIPEFはアメリカ主導の貿易・投資の枠組み作りを目指しますが、2022年9月9日の参加国閣僚会議で、今後の方向性が合意されたものの、具体的な枠組みには至っていません。参加国の世界GDPに占める比率は40%、参加国の人口は25億人です。
 この様に、世界の貿易・投資の枠組みにおいてアメリカを中心とする米・日・欧陣営と中国との対立が強まる中、日本政府の貿易・投資担当の官僚が目指す野心的な案「TPP+EU+アメリカの統合EPA」に期待したいですね。TPPとEUがまとまれば、巨大な貿易圏(世界GDPの30%)が誕生し、アメリカは自国が不利な立場に置かれることから、アメリカが加わる可能性が出て来ます。因みに、「TPP+EU+アメリカの統合EPA」の参加国の世界GDPに占める比率は54%、参加国の人口は14億人です。中国を主体とするRCEPのGDP比30%を大きく上回ることになります。


【経済安全保障でグローバリゼーションは終わる】
 グローバリゼーションの歴史を、第二次大戦後の主な歴史的事実から見てみましょう。1948年GATT(関税と貿易に関する一般協定)体制がスタート、1955年9月に日本GATTに加盟(1559年以降は理事国)、1973年G7がスタート、1985年プラザ合意、1991年ソ連崩壊による冷戦の終結、1993年EUが発足、1995年1月WTO(世界貿易機関:World Trade Organization)が発足(GATTを吸収、協定から国際機関への転換に伴い、ルールの範囲も、モノの関税率だけでなく、投資や知的財産、サービス、防衛など幅広い分野を対象となる)、2001年中国がWTOに加盟、などを挙げることが出来ます。
 グローバル化の推移を、世界の貿易量の世界のGDPに占める比率の推移を見てみましょう。()は歴史的事項。
 1960年代11%程度、2000年23%、(2001年中国WTO加盟)、2008年30%、(2010年中国が日本を抜きGDP世界2位へ)、(2018年トランプ政権による米中貿易摩擦がスタート)、2021年25%です。
 この数値から読み取れることは、2001年の中国のWTO加盟を機に、貿易量が拡大し、更には、中国の世界の工場としての地位が拡大し、世界のグローバル化が進みました。2010年には中国は日本を追い越しGDP世界2位へと躍進します。しかし、2018年に始まった米中貿易摩擦などにより、貿易量のGDP比率の低下が始まり、グローバル化にブレーキが掛り始めている事が読み取れます。
 2022年には、ロシアのウクライナ侵略に加え中国の人権問題や軍事的拡大リスク等から、経済安全保障の意識が高まり、民主主義国家vs独裁国家の分断が急速に拡大しています。自由貿易を推進するWTO協定にある唯一の例外既定、「安全保障上の懸念がある場合」、を適用した制裁が拡大しています。2022年12月12日、中国は、アメリカが「安全保障」条項を悪用し半導体の輸出規制をしているとして、WTOに提訴しました。解決は難しいでしょう。
 ロシア、中国の強権的・拡張的リスクは収まりそうもありません。それに対抗する米・欧・日の対露・対中制裁は深まる一方です。まさにポスト・グローバリゼーションの時代に突入しています。


【文化は戦略にまさる VUCA時代の企業経営】
 紹介本は「VUCAワールドにさらされる日本」を見出しとする解説で、現在、世界が「VUCAワールド」にある裏付けとして「“GEPU”Index(“世界経済政策不確実性”指数)」 〔図表:注釈付きグローバル EPU インデックス〕を引用し、2022年にはウクライナ侵攻などの要因で、1997年~2015年までは100程度の不確実指数が、300にまで上昇していることを指摘します。その中で日本も、経済面では米中対立やウクライナ侵攻に伴うインフレリスクや円安の影響を受け、また社会面では阿倍元首相の銃撃事件が発生するなど、VUCA的な展開が拡大していると指摘します。
 この様な環境下における企業経営の在り方について、マイクロソフト社の2014年に就任したナデラGEOによる、「フィクスド(型にはまった)マインドセット」から「グロース(成長志向の伸び伸びとした)マインドセット」への転換に伴い、クラウドビジネス等への快進撃をもたらしたこと(GAFAMの株価時価総額で4位からアップルに次ぐ2位へ)や、ソニーの「弱いつながり」による新たなビジネスの創出に成功している例を挙げています。
 VUCA時代をしたたかに生きるための、「企業文化の変革を通じた、社員自ら主体的に働く生き生きとした組織風土を築き上げ、組織力を高め、『時代を先導できる力』の創出」により、一つ一つの事象に臨機応変に対応していく組織能力が必要と指摘します。

■    2023年の企業経営のキーワードは“アジャイル”(むすび)

 2023年は2022年にも増して「不確実性の時代」になります。早急に、「現状把握・分析⇒仮説立案・検証⇒意思決定・アクションプランの策定」をし、アクションをアジャイルに実行する時ではないでしょうか。

 【 発行者付注 】 アジャイル

  英語で「Agile」、「素早い・機敏な・(頭の回転が)速い」などの意

本

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。
 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】  著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

■■ 経営コンサルタントへの道 ←クリック

 経営コンサルタントを目指す人の多くが見るというサイトです。経営コンサルタント歴45年余の経験から、経営コンサルタントのプロにも役に立つ情報を提供しています。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【経営コンサルタントのお勧め図書】 稲盛流と名経営理論の親和性 「経営12カ条」-経営者として貫くべきこと-

2022-12-15 16:59:32 | 【経営】 経営コンサルタントの本棚

<h3 class="ameba_heading01" data-entrydesign-alignment="left" data-entrydesign-count-input="part" data-entrydesign-part="ameba_heading01" data-entrydesign-tag="h3" data-entrydesign-type="heading" data-entrydesign-ver="1.49.4" style="display: flex; flex-direction: column-reverse; margin: 8px 0; color: #333; font-weight: bold;"><span class="amp-nodisplay" style="display: block; width: 100%; height: 2px; background-color: #2d8c3c; border-bottom-left-radius: 2px; border-top-right-radius: 1px; border-bottom-right-radius: 1px;"><img alt="本" height="16" src="https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/240.gif" width="16">&nbsp;</span><span style="display: flex; align-items: strech; justify-content: flex-start; letter-spacing: 0.01em; font-size: 20px; line-height: 1.6; min-height: 32px; line-break: loose; word-break: break-word; text-align: left;"><span class="amp-nodisplay" style="display: block; margin-right: 10px; min-height: 40px; width: 10px; border-top-left-radius: 2px; border-top-right-radius: 2px; background-color: #2d8c3c; flex-shrink: 0;">&nbsp;</span><span style="flex-grow: 1; margin: 0.2em 0;"><span data-entrydesign-content="" style="display: block;"><span style="color: #009944;"><span style="font-size: 1em;">【経営コンサルタントのお勧め図書】 稲盛流と名経営理論の親和性&nbsp;「経営12カ条」-経営者として貫くべきこと-</span></span></span></span></span></h3>
<p>「</p>
<p><a href="https://stat.ameba.jp/user_images/20210129/09/keieishi17/64/15/g/o0073008214888309037.gif"><img alt="" height="82" src="https://stat.ameba.jp/user_images/20210129/09/keieishi17/64/15/g/o0073008214888309037.gif" width="73"></a></p>
<p>経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。</p>
<p> 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p> 【経営コンサルタントの本棚】は、2012年に、経営コンサルタントがどのような書籍を読んでいるのか知りたいという、ブログ読者の声を反映して企画いたしました。</p>
<p> 幸い、日本で最初に創設された経営コンサルタント団体である<a href="https://www.jmca.or.jp/" rel="noopener noreferrer" target="_blank"><b style="font-weight:bold;">日本経営士協会</b></a>には優秀な経営士・コンサルタントがいらっしゃるので、その中のお一人である酒井闊先生にお声をかけましたところ、ご協力いただけることになりました。</p>
<p> それが、今日まで継続されていますので、10年余もの長きにわたって、皆様にお届けできていることに誇りを持っています。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><img alt="本" height="16" src="https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/240.gif" width="16"></p>
<p><span style="color:#009944;"><b style="font-weight:bold;">■&nbsp;&nbsp; &nbsp;今日のおすすめ</b></span></p>
<p>&nbsp;</p>
<p>  『<b style="font-weight:bold;">「経営12カ条」-経営者として貫くべきこと-』<br>
&nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; &nbsp; (稲盛和夫著 日本経済新聞出版)</b><br>
<img alt="本" height="16" src="https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/240.gif" width="16"></p>
<p><span style="color:#000000;"><b style="font-weight:bold;">■&nbsp;&nbsp;「経営12カ条」の基本は「人間として何が正しいのか」(はじめに)</b></span></p>
<p align="left">&nbsp;</p>
<p align="left"> 著者は2022年8月24日、90歳の人生を全うされました。紹介本の著者直筆の“まえがき”には2022年8月とあり、本書は著者の遺言ともいえます。<br>
 この12カ条は、自社京セラに止まらず、JALの再生においても十分その力を発揮しました。また、「盛和塾」を通じて多くの企業経営者に有意義なインパクトをもたらし、更には、日本の企業経営の経営力強化のための貴重な提言として、末永く記憶に留められるでしょう。<br>
 著者は、『「人間として何が正しいのか」を基本とする「経営12カ条」は、業種や企業規模、国境や文化・言語の違いを超えて通じる』と強調しています。<br>
 この著者の言葉から、ピーター・ドラッカーの次の言葉を想起します。『「マネジメント」は物事を正しく(効率的に)行うことであり、「リーダーシップ」は正しい事をすることである』。つまり経営者としての命運は、“「正義・大義」を「魂」のレベルに於いても持てているか(稲盛流の基本)”に掛っているのではと思います。<br>
 次項では12カ条をご紹介しながら、他の著名経営理論との親和性を確認し、稲盛流の理解を深めると共に、対比する経営理論の理解を、併せ、深めてみたいと思います。<br>
<img alt="本" height="16" src="https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/240.gif" width="16"><br>
<b style="font-weight:bold;">■&nbsp;&nbsp; &nbsp;「経営12カ条」を読み解くと共に他の著名経営理論との親和性を確認する</b><br>
 </p>
<p align="left"><b style="font-weight:bold;">【第1条:事業目的、意義を明確にする。第2条:具体的目標を創る。】</b><br>
 京セラの経営理念は「全従業員の物心両面の幸福を追及すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」です。2010年2月1日JAL再建の会長就任後、経営幹部が作り上げた経営理念は「全社員の物心両面の幸福を追求すること」に、「お客さまに最高のサービスを提供します」「企業価値を高め、社会の進歩発展に貢献します」を加えたものでした。<br>
 いずれの経営理念も「全社員の幸福」の次に、「世のため、人のため」という考えを持って来ています。あえて二つに分けて、「全社員の幸福」の優先を明らかにしているのです。これが稲盛流です。つまり、従業員の心からの共感を勝ち取れる「公明正大な事業の目的・意義は何か」との問いからスタートしているのです。自身の創業時の経験則から来るものであり、外から見たカッコよさは微塵もないのです。</p>
<p align="left"><br>
 その考えは<b style="font-weight:bold;">「第2条:具体的目標を創る-立てた目標は常に社員と共有する-」</b>にも現れています。それは、「社員の力を結集できる夢溢れる具体的目標」「末端の従業員まで計画を立てる時から参画している目標」「高い山に登れる準備(フィロソフィー〈経営哲学〉)と考え方を共有できる集団が持つ目標」などです。これも貴重な提言です。<br>
 ここから想起されるのが、です。ジム・コリンズはビジョンの構成を、ポピュラーな“ミッション・ビジョン・バリュー”に変え“ビジョン”1本にし、“ビジョン”を“コアバリュー”(時代を超える会社の指針となる原則、会社を導く哲学)、“パーパス”(100年間に亘って会社の指針となる、組織が存在する根本的な理由)、“BHAG〈注1〉”の3つにしました。<br>
 “コアバリュー”には「全社員の幸福」、“パーパス”には「世のため、人のため」、“BHAG”には「社員の力を結集できる夢溢れる具体的目標」がぴったりとはまります。稲盛流がコリンズ流と親和性が高いことが分ると共に、コリンズ流をより身近に理解できます。<br>
〈注1〉“BHAG”とは(詳細は下記URLをご覧ください。)<br>
 Big Hairy Audacious Goalsの略。Hairyは、身の毛もよだつ、の意。Audaciousは、大胆な、の意。日本語では‟社運を賭けた大胆な目標”とされる。<br>
<a href="http://www.glomaconj.com/joho/blog/sakai20220322visionallycompany2.pdf" rel="noopener noreferrer" target="_blank">http://www.glomaconj.com/joho/blog/sakai20220322visionallycompany2.pdf</a><br>
 </p>
<p align="left"><b style="font-weight:bold;">【第3条:強烈な願望を心に抱く -潜在意識に透徹するほどの強く持続する願望-】</b><br>
 物事を成就するには「何としても達成したい」という願望をどれくらい強く持てるかがカギです。加えて、顕在意識を越えて、潜在意識に透徹するほどの強く持続する願望を持つことです。潜在意識の効果は常に顕在意識に反映することです。<br>
 潜在意識はどのように醸成されるのでしょう。一つは衝撃的な印象を経験すること、二つ目は繰り返し積み重ねることです。<br>
 ここで想起されるのが、再登場ですが、ジム・コリンズの考えです。<br>
 『雨の日も風の日も、何十年も、1日20マイル(32キロ)を歩き続けることによって無秩序の中に秩序が、不確実の中に一貫性が生まれる。“継続的”一貫性により“ANDの才能(二項対立ORではなく、二面性ANDと捉える思考)”が生まれる。短期的パフォーマンスと(AND)長期的成功を同時に実現する規律である』とする“20マイルの行進〈注2〉”の考えに「繰り返し積み重ねることにより醸成される潜在意識」がぴったりはまります。</p>
<p align="left">〈注2〉“20マイルの行進”とは(下記URL「スライド8、6」をご覧ください。)<br>
<a href="http://www.glomaconj.com/joho/blog/sakai20220322visionallycompany1.pdf" rel="noopener noreferrer" target="_blank">http://www.glomaconj.com/joho/blog/sakai20220322visionallycompany1.pdf</a><br>
 </p>
<p align="left"><b style="font-weight:bold;">【稲盛流と他の著名経営理論との親和性を味わい、経営力の一層の強化を!】</b><br>
 上述において、「経営12カ条」とピーター・ドラッカー及びジム・コリンズ理論との親和性を示させて頂きました。「経営12カ条」そのものも十分価値がありますが、他の著名経営理論との親和性を見つけることで、稲盛流の理解を深めると共に、対比した著名経営理論をより深く理解できます。<br>
 皆さんの頭の中の著名経営理論と稲盛流を対比し、親和性を確認すると共に、両者の考え方の理解を深め経営力を強化しましょう。<br>
<img alt="本" height="16" src="https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/240.gif" width="16"><br>
<b style="font-weight:bold;">■&nbsp;&nbsp; &nbsp;経営12カ条を知識に止めずに、「見識」に、更には「胆識」に(むすび)</b><br>
 </p>
<p align="left"> 「経営12カ条」を知識レベルに留める限り経営にとって全く意味がありません。本当に経営力を高めようと思うならば、知識を信念にまで高めた「見識」を持ち、更に、「見識」に胆力つまり勇気が加わった「胆識」が備わって、初めて、いかなる障害をも越えて、目指す方向に経営の舵を取ることが出来ます。(「第9条『勇気をもって事に当たる』」より)<br>
 「経営12カ条」を知識に止めずに「見識」に、さらには「胆識」に高めて、初めて経営者としての力を発揮できるとの著者の提言は貴重ですね。簡単ではありませんが肝に銘じておきたいですね。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><img alt="本" height="16" src="https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/240.gif" width="16"></p>
<p><strong style="font-weight: bold;">【酒井 闊プロフィール】</strong></p>
<p> 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。<br>
 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。</p>
<p>  <a href="http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm" rel="noopener noreferrer" target="_blank">http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm</a></p>
<p>  <a href="http://sakai-gm.jp/" rel="noopener noreferrer" target="_blank">http://sakai-gm.jp/</a></p>
<p>&nbsp;</p>
<p>【 注 】  著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p><strong style="font-weight: bold;">■■ <a href="http://www.glomaconj.com/consultant/3keikonhenomichi/keikon.htm" rel="noopener noreferrer" target="_blank">経営コンサルタントへの道</a></strong> ←クリック</p>
<p> 経営コンサルタントを目指す人の60%が見るというサイトです。経営コンサルタント歴45年余の経験から、経営コンサルタントのプロにも役に立つ情報を提供しています。</p>

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【経営コンサルタントのお勧め図書 10周年】 「失敗の本質を語る」ーなぜ戦史に学ぶのかー

2022-10-25 17:54:41 | 【経営】 経営コンサルタントの本棚

本  【経営コンサルタントのお勧め図書 10周年】 「失敗の本質を語る」ーなぜ戦史に学ぶのかー

 

経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

 

 【経営コンサルタントの本棚】は、2012年に、経営コンサルタントがどのような書籍を読んでいるのか知りたいという、ブログ読者の声を反映して企画いたしました。

 幸い、日本で最初に創設された経営コンサルタント団体である日本経営士協会には優秀な経営士・コンサルタントがいらっしゃるので、その中のお一人である酒井闊先生にお声をかけました。

 ものごとを慎重に判断される酒井先生ですので、ひょっとすると断られるかも知れないと懸念していました。

 当時の心境も含め、酒井先生のメッセージと当月の書籍紹介をここにお届けします。

本

■ “私の本棚”活動は10周年を迎えることが出来ました。感謝です。(はじめに)

 

【“私の本棚”はお陰様で10周年を迎えました】

 当“経営士ブログ”の「経営コンサルタントの本棚(“私の本棚”)」に投稿させて頂いてから今回が10周年に当たります。この間、投稿を暖かく掲載し続けて頂いた当ブログ主催の今井名誉会長(〈特非〉日本経営士協会)に感謝申し上げますと共に私の投稿をお読み頂いている読者の皆様に心から感謝申し上げます。

 2012年10月23日、最初の投稿『「失敗の本質」(野中郁二郎他5氏共著 中公文庫)』を掲載頂きました。日本経営士協会に入会してから2年半のコンサルタントになり立ての頃、尊崇する今井理事長(当時)からお声を掛けて頂いたのがスタートです。

 爾来10年、毎月第4火曜日の投稿を続けてきました。振り返ってみると続けてよかったとの思いで満たされています。読者の皆様の“いいね”は励みになりました。改めて感謝です。

 

【“私の本棚”活動10年の思い出】

 一つ目は、投稿に寄せられた紹介本の著者の喜びの声です。遠く英国からもありました。インターネットの力を感じました。友人の著書の投稿では、友人との共感を深めることができました。

 二つ目は、多くの知見を得られたことです。読むだけでは、右から左に抜けてお終いですが、投稿活動により文字化することで脳が活性化し、海馬を経て大脳皮質に多くの知見が蓄積され、コンサルタントの引出しが充実しました。つん読の名著をものにすることも出来ました。「ビジョナリー・カンパニー」シリーズ(2022.3.22投稿)、「7つの習慣」(2019.1.22投稿)、「人を動かす」(2014.1.28投稿)、等です。

 三つ目は、P・E・S・Tの真実の追求と未来の読み解きです。『「脱炭素」は嘘だらけ』(2021.10.27投稿)、『「アメリカ一極体制の崩壊」と世界激変の行方』(2017.3.28投稿)など現在の世界の混乱を読み解いた投稿ができました。

 四つ目は、普通投げ出したくなる膨大なページの本を自家薬籠中のものに出来たことです。「ビジョナリー・カンパニー」シリーズ;2049ページ(2022.3.22投稿)、「世界標準の経営理論」;803ページ(2021.1.26投稿)、等です。

 

【“私の本棚”活動の「知識創造プロセス(SECIモデル)」効果】

 最初の投稿の「失敗の本質」と書名が似た「失敗の本質を語る」を最近偶然見つけ、10周年の記念月である今月の紹介本にしました。「失敗の本質を語る」は著者の野中郁次郎が「失敗の本質」から38年後の2022年5月、「著者自身の歴史」を振り返って発刊した本です。著者は最初の著書「失敗の本質」に続き「アメリカ海兵隊」「知識創造企業(2014.7.22投稿)」「戦略の本質」「国家経営の本質」「ワイズカンパニー」を始めとする多くの著書・研究を振り返り、ナラティブ(物語る)しています。

 「失敗の本質を語る」を、10周年の記念月に採り上げたのは、10年間の“私の本棚”活動が、著者の著作の中核である「知識創造プロセス(SECIモデル)」と気付いたからです。

 『“私の本棚”活動と「知識創造プロセス(SECIモデル)」』について、次項で述べさせて頂きます。

 

 

本 ■    今日のおすすめ

  『「失敗の本質を語る」ーなぜ戦史に学ぶのかー』
                                  (野中郁次郎著 聞き手 前田裕之 日経BP)

本

■    “私の本棚”活動と「知識創造プロセス(SECIモデル)」

 

【“私の本棚”活動は、「知識創造プロセス(SECIモデル)」パラダイム】

 SECIモデル(注)の素晴らしい点は、進化を続けていることです。最新のSECIモデルでは「経営学」に「現象学」を加えています。つまり、モデルのプロセスの間で生じる「認識論」に加え、知識を創造する人と他者との間で生じる「存在論」の次元を強化しています。個人間、チーム内、組織内、等における「相互主観性」で繋がる相互作用を通じて、フロネシス(賢慮によるリーダーシップ)のもと、高次の知識創造が、Continuousに促進され、企業・組織の成功に繋がるとします。加えて、過去の研究事例を踏まえ、フロネシスの重要な要素は「共通善(パーパス、存在意義など)」とします。

 かかる理論のもと、知識創造の源を“人間中心”の「人格的知識」としています。「人格的知識」は次の二つです。「個人の身体への体化(職人芸など)」の知識と「個人そのものに体化される認知スキル(視点、信念など)」の知識です。

 さて、“私の本棚”活動ですが、私の「人格的知識(暗黙知)」と紹介本、WEB上の「ハイパー・テキスト(文書を超える)」情報、等々との「相互作用」、「共同化(Socialization)」を経て、文字化・形式知化され“私の本棚”原稿として「表出(Externalization)」されます。多くの“私の本棚”投稿が年月を経て蓄積され、その中の幾つかは「連結(Combination)」され、新たな知見ができます。新たな知見は、新たな「人格的知識(暗黙知)」として「内面化(Internalization)」され、私の引出しに貯蔵され、コンサルに活用する時の出番を待っています。

 この様に、“私の本棚”活動は、SECIモデルによる知識創造と気付きました。加えて「共通善(真理、真実など)」を追求してきたと思っています。

(注)知識創造の「SECIモデル」プロセスとは。
 Socialization(共同化)。二人以上がお互いの「人格的知識(暗黙知)」を出し合い、共有・共同化するプロセスです。
 Externalization(表出化)。共同化した多くの暗黙知を明確なコンセプトにするプロセスです。metaphor(比喩)、analogy(類似推論)、abduction(仮説化)、デザイン思考、等の形をとりながら文字、計算式、図表などの形式知として明示・表出化するプロセスです。
 Combination(連結化)。表出された形式知を組み合わせ(連結し)て一つの知識体系を創り出すプロセスです。
 Internalization(内面化)。連結化で出来た知識体系を書類、マニュアル、物語などに言語化・図式化し、その学習により、個人の新たな「人格的知識(暗黙知)」として「体化」するプロセスです。
 このあとは、新たなSECIを回しスパイラル・アップをします。更には、個人から・チームへ・組織へ・組織間へ・社会へとステップ・アップし、新たな知識創造を実現します。(【参考】図による理解はこちら
本
■    引き続き「経営コンサルタントの知識創造」を続けます。(むすび)

 人生100年時代(『LIFE SHIFT 2「100年時代の行動戦略」』2022.5.24投稿)に向けて、更なる知識創造に加え「共通善」を追求し続けたいと思っています。引き続き宜しくお願い申し上げます。

本

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。
 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

※ 経営士ブログ運営者から

 2012年10月23日に「経営コンサルタントの本棚」コラムを設けて以来、酒井先生は、ご投稿を毎月、欠かさず寄稿して下さっています。

 心より感謝申し上げています。

 

【 注 】  著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

■■ 経営コンサルタントへの道 ←クリック

 経営コンサルタントを目指す人の60%が見るというサイトです。経営コンサルタント歴45年余の経験から、経営コンサルタントのプロにも役に立つ情報を提供しています。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【経営コンサルタントのお勧め図書】 真実と未来はデータから 「プーチンショック後の世界と日本」

2022-09-27 08:46:00 | 【経営】 経営コンサルタントの本棚

本  【経営コンサルタントのお勧め図書】 真実と未来はデータから 「プーチンショック後の世界と日本」

経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

 

 昨今の世の中はきな臭さがいっそう強くなっていて、核の懸念すら現実味を帯びるほどです。

 この時期に、世の中をどの様に見たら良いのか、判断に迷っている方も多いのではないでしょうか。

 今後の「民主国家」VS「強権国家」の新冷戦の向かう道や、日本のみ中央銀行が利下げしない理由、今後の中国経済の行方などについての著者の見解を、酒井先生が、いつものようにわかりやすく紹介してくださっています。
 なかなか、TVや一般紙では見られない内容ですので、皆様も強い興味でもって読んでくださると信じています。もし、ご興味が湧きましたら、書店なり図書館なりで手に取ってみてはいかがでしょうか。
 

 

本 ■    今日のおすすめ

 

  『「プーチンショック後の世界と日本」データから真実と未来を見抜け!』
                                                    (高橋 洋一著 徳間書店)
本

 

■    激動の時代こそデータから真実と未来を見抜く(はじめに)


 2022年2月に始まったウクライナ戦争は、世界の様々なリスクを浮かび上がらせたと言って良いでしょう。このような時代だからこそ、世界及び日本の情勢を、真実を把握したうえで判断し、意思決定をしていく必要があります。
 それに示唆を与えてくれるのが紹介本です。未来を見抜くデータに基づく真実の幾つかを見てみましょう。
本
■    データに基づく真実から未来を見抜く
 

【米中対立の「新冷戦」構造はロシアの侵攻でより激化する】
 

 ロシアのウクライナ侵攻に際し、国連安保理は機能せず、国連総会緊急特別会合が開催され、ロシアへの即時撤退決議が採択されました。この決議の採決に当たり、193か国のうち、賛成は141か国 、反対はロシアを始めとする5か国、棄権は中國・イラン・ベトナムなど35か国、不参加はエチオピア・ベネズエラ等12か国でした。
 

 反対の5か国はすべて独裁国家、棄権・不参加の47国についてもインド、南アフリカ等の民主主義国を除けば、独裁国家あるいはロシアからの武器輸入国に加え、軍事力をロシアの民間軍事企業「ワグネル」に依存するアフリカ54か国の半数に当たる27か国です。
 

 決議に反対・棄権・不参加の52か国を民主主義指数で見ると、『指数4未満の「独裁政治体制」』が47か国にのぼります(指数4以上は、インド・南アフリカなど7か国に止まります;筆者試算)。
 

 民主主義指数(Democracy Index)は、英のエコノミスト・インテリジェンス・ユニット研究所が世界167の国を対象に毎年発表している、各国政治の民主主義レベルを満点10とする指数で評価します。「完全な民主主義(指数8以上)」「欠陥のある民主主義(指数6以上)」「混合政治体制(指数4以上)」「独裁政治体制(指数4未満)」の4つのレベルで評価します。
 

 因みに、4つの各評価レベルにおける“国の数・人口数・人口比率”でみると次のようになります。「完全な民主主義」は“21か国・5億人・7%”、「欠陥のある民主主義」は“53か国・31億人・39%”、「混合政治体制」は“34か国・13億人・17%”、「独裁政治体制」は“59か国・29億人・37%”です。
 

 国別の指数をみるとノルウェー(ベスト国)9.75、日本8.15、台湾8.99、韓国8.16、アメリカ7.85、ドイツ8.67,インド6.91、南アフリカ7.05、中国2.21、ロシア3.24、北朝鮮1.08、アフガニスタン(ワースト国)0.32です。
 

 ロシアのウクライナ侵攻後の冷戦構造は中露の接近により、世界は「民主主義国家vs独裁国家」の対立が強まり、「経済安全保障」の視点がより重要になっています。
 

【消費者物価上昇のミスリードに惑わされるな】
 

 インフレの動向を正しく把握するには、消費者物価指数を3つに分け、それぞれの持つ意味を理解しておく必要があります。3つとは、①総合指数(CPI)、②生鮮食品を除く総合指数(コアCPI)③生鮮食品およびエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)です(総務省統計局が毎月発表)。海外では①と③を発表し、③をコアCPIと呼びます。
 

 ここで大切なことは、CPI(①②)は「ミクロ価格」の要素が入っていることです。これに対しコアコアCPIは「マクロ物価・経済」を表しているのです。因みに日本の2022年7月のCPIは前年同月比+2.6%に対しコアコアCPIは+1.2%でした。
 

 日銀のインフレ目標+2%(失業率を最低にする最小インフレ率)に対し、CPIは+2.6%と上回りましたが、コアコアCPIは+1.2%とまだ下回っています。コアコアCPIが+2%に達しない要因は、潜在GDPと実態GDPとのギャップが36兆円(GDP比率7%の存在です。
 

 一方、アメリカの同時点でのCPIは+8.5%、コアCPI(日本のコアコアCPI)は+5.9%でした。アメリカはバイデン政権の大型財政出動で需要が押し上げられ、実質的インフレ状態にあり、急速な金融引き締めに入っているのです。
 

 このような状況の中、日本の一部の報道・専門家は、コアコアCPIを採りあげず、CPIのみを採りあげ、円安状況を合わせ指摘し、金利の引き上げを主張しています。このような主張は、GDPギャップを無視した生かじり論と言わざるを得ません。
 

【日本経済は「脱中国化」が急務!】
 

 紹介本は日本経済の「脱中国化」の必要性を二つのデータから主張しています。
 

 一つ目は、輸入における中国への依存度偏重リスクです。一品目における中国への依存率が50%を超える品目数をドイツ・アメリカと比較してみましょう。日本は(2019年)、品目数では1133品目、輸入総額に占める比率は23.0%。アメリカは500品目・11.9%。ドイツは250品目・5.0%です。日本の依存率の異常な高さが分かります。
 

 欧米においても経済安全保障の観点からサプライチェーンを重視し、独裁政治体制で法の支配を守らない中国との流通網の見直しを進めています。アメリカでは2021年2月、重要4品目(半導体、電気自動車向け高性能バッテリー、医薬品、レアアース)について、国産化や同盟国との関係強化による調達先多様化を進め、サプライチェーンの安定的を図る法制度を決め、具体的政策を推進しています。また、新疆ウイグル自治区が関与する製品の輸入を原則禁止する法律、ウイグル強制労働防止法が2022年6月から施行されています。
 

 この様な環境下において、日本もこの問題を避けて通ることはできません。ウクライナ侵攻で顕在化したロシアリスクを他山の石として、日本における中国依存偏重の見直しが必要な時代が来たのではないでしょうか。
 

 二つ目は、中国が「中所得国の罠」にはまり、今後10年以内に成長鈍化が顕在化するだろうとの指摘です。「中所得国の罠」とは、「民主主義指数6.0未満の国においては、一人当たりGDPが1万ドル近辺を超えることがない」という事実の統計上の相関(相関係数0.68)による説明です。因みに、中国の民主主義指数は2.21、一人当たりGDPは1万2551ドル(2021年)です。強権化の強まり、「国家情報法」などによる外国企業の進出リスクの高まり、急速な人口減少傾向や不動産企業の倒産を始めとする社会・経済の不安定化などを勘案すると「中所得国の罠」から脱出できる可能性は低いと思われます。

本
■    「V・U・C・A」な世界・日本情勢に対峙する力を身に着けよう(むすび)
 

 世界・日本の状況は、今やまさに、VUCAな時代に突入しています。今こそデータに基づく真実とは?の問いをし、未来を見抜いていきましょう。

 

本

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。
 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】  著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

■■ 経営コンサルタントへの道 ←クリック

 経営コンサルタントを目指す人の60%が見るというサイトです。経営コンサルタント歴45年余の経験から、経営コンサルタントのプロにも役に立つ情報を提供しています。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

■【経営コンサルタントのお勧め図書】1710 トム・ピーターズの「経営革命」を読む

2022-08-28 05:46:00 | 【経営】 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】1710 トム・ピーターズの「経営革命」を読む

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■      今日のおすすめ

『「経営革命」〔上〕〔下〕〈Thriving On Chaos Handbook For A Management Revolution〉』

(トム・ピーターズ著 平野勇夫訳 野中侑次郎解説 TBSブリタニカ)

■      トム・ピーターズは何をした人?(はじめに)

 英国エコノミスト誌が、ドラッカー(故人)と共に「現代世界の思想的リーダー」として挙げている、トム・ピーターズとは何をした人でしょう。先ずは、何といっても「マッキンゼーの『7つのS』」を生み出したことでしょう。また、ボブ・ウォータマンと共著で、20世紀ビジネス出版界の大ヒットである「エクセレントカンパニー」を発表したことでも知られています。トム・ピーターズは主張します。『「エクセレントカンパニー」で導き出した8つの教訓(①行動の重視②顧客に密着する③自主性と起業家精神④人を通じての生産性向上⑤実践的価値観に基づく行動⑥基軸から離れない⑦単純な組織、少数精鋭⑧硬軟両面を持つ)は依然有効である。彼が引用した「エクセレントカンパニー」の幾つかが凋落したのは、教訓に従わなかっただけなのだ』と。

 今回の紹介本「経営革命」は、「エクセレントカンパニー」「エクセレントリーダー」に続く三作目で、彼の“三部作の集大成”と言える著書です。

 「世界を変えたビジネス思想家」(編訳 ダイヤモンド社)の中では、ドラッカーを“マネジメントの父”と表現し、トム・ピーターズを“マネジメントの教祖”と表現している事にも興味を覚えました。

 それでは本題に入りましょう。紹介本「経営革命」の原題は「Thriving on Chaos Handbook For A Management Revolution」で、著者は“カオスを当然のものとして受止め、「カオスに栄える」すべを学ぶ”としています。本書は「カオスに栄える」ために、“いついつまでに○○せよ”という命令形の「45項目の処方」として纏め上げています。企業経営の要諦を5つの領域(①顧客に対する対応に執念を燃やす。②企業のあらゆる分野でイノベーションを継続すること。③組織に繋がる全員を、企業活動に参画させ、利益を分かち合うこと。④変化を愛し、人々を奮い立たせるビジョンを行き渡らせ、それを共有するリーダーシップを打ち立てる。⑤今日の環境にふさわしい“まともなこと”を判断する簡素な支援システム(仕組み)を設け、それを活用して経営を管理すること。)に纏め、①~④領域は各10項目、⑤領域は5項目、トータル45項目の処方を提示しています。著者は、この45項目の相互関係を良く理解し、その上で、どの処方から「革命」の手を付けるかを決める『経営管理のハンドブックとして役立ててほしい』と言います。「革命」という言葉を著者が敢えて使うのは、「具体的好事例」に基づき、「既成観念」を捨て、「新たな企業経営の原則・基本」の実践を提言していることです。本書は1989年に初版が発行されました。いわば古典と言ってもいいかもしれません。その古典から、何を読み取るべきかを、次項で見てみたいと思います。

 

■      古典と言ってもよい「経営革命」の“処方”は今も生きている

 「経営革命」は、1987年、東証一部上場企業の時価総額が、ニューヨーク証券取引所の時価総額を抜いて、世界一となった時代に、著者がアメリカの企業に向けて、勢いのある日本企業も競争相手の一つに含め、競争相手に勝つための戦略を書いたものです。著者は、「国際性を志向せよ-処方5-」の中で、「世界で勝つためには、まず日本市場で成功せよ」と言い、日本市場で「経営革命」をして成功したアメリカ企業を紹介しています。日本市場で成功した企業は、自国を含めた世界の持続的成長企業になっているのです。

 しかしモデルの日本は、成功の上に胡坐をかいてしまったのでしょうか。今は、当時のアメリカと日本の立ち位置が逆転しているように思えます。特にアメリカの世界の先端を行くデジタル技術により、立ち位置の差は更に大きくなっていると言えるかもしれません。30年前のアメリカ企業に向けて発信した“処方”が、勿論現在のアメリカ企業に向けても生きていますが、追いかける立場になった日本企業の企業経営論として有用であり、今も生きていると思います。

 ページの関係もあり多くは紹介しませんが、これからの第4次産業革命時代にこそ必要な、大切な企業経営管理の提言と思われる一部をご紹介します。

【専門化してニッチ市場を創出し製品を差別化せよ-処方1-】

 これは「競争戦略ポジショニング(ポーターの3つの基本戦略)」と同じこと表題にしています。しかし違いは、具体的成功事例を多く挙げ、そこから成功するための「革命」的な新たな企業経営戦略の実践の提言に多くのページを割いていることでしょう。“-処方1-”は“処方45”の一部ですが、本書には、この様な、「革命」的な企業経営の原則・基本が多く書かれています。時代・企業環境が変わっても大切にすべき原則・基本は、まさに「ハンドブック」として座右に置いておきたいですね。

【掛け値なしの誠実さを求めよ-処方45-】

 著者は“誠実さ”を当たり前のことと言い、最後を締めくくります。「専門化してニッチ市場を創出し製品を差別化せよ-処方1-」の目標を実現するものが、「現場の尊重・重視」と、それとセットになった「トップの“現場を巻き込んだ”独創的、自己革新的な『ビジョン』と『全員の情熱的行動』」が必要と“処方2~44”で主張します。

 それらを機能させるために、下請け、顧客を含めた全体の相互的“信頼・誠実さ”を生み出す必要がある。その“信頼・誠実さ”がお互いをWIN-WINの関係にし、成功企業に導くと主張します。

 

■      今こそ「経営革命(Thriving on Chaos-カオスの中で成長する‐)」(むすび)

 繰り返しになりますが、第4次産業革命と叫(さけ)ばれている時代に、新しいデジタル革命や、新しい企業環境に目を奪われてしまい、企業経営管理の原則・基本から目が離れがちです。

 今まで築き上げて来た「企業価値」を守り、更に高めていく事と並行して、新しい企業環境(デジタル革命など)に対応する必要があるのではないでしょうか。

 そのような想いで「経営革命」をご紹介させていただきました。紹介本には「革命」の題にふさわしく、“これは是非やってみよう”というものもあれば、“ここまでやるか!”というものもありますが、飽くまでも“ヒント”としてそれぞれの企業に“相応しい形・レベル”で取り入れていくことで、有効に活用できると思います。

 

【酒井 闊プロフィール

 

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

■■ 経営コンサルタントへの道 ←クリック

 経営コンサルタントを目指す人の60%が見るというサイトです。経営コンサルタント歴40余年の経験から、経営コンサルタントのプロにも役に立つ情報を提供しています。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

■【経営コンサルタントのお勧め図書】1701 士業のビジネスモデルを考察

2022-08-27 05:46:00 | 【経営】 経営コンサルタントの本棚

■■【経営コンサルタントのお勧め図書】1701 士業のビジネスモデルを考察

本

 「経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。

 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。

■      今日のおすすめ

 『コンサルタントの教科書』(和仁達也著 かんき出版)

■      年間報酬3千万円越が10年続くコンサルタント(はじめに)

 紹介本の表題の添え題として書かれているのが「年間報酬3千万越が10年続くコンサルタント」です。それは大手コンサルティング・ファームの話ではなく、独立系個人コンサルタントの話です。報酬に関して言えば、個人コンサルタントの場合の一番の壁は、時間に限りがあることでしょう。しかし、著者は、その時間の壁を越え、「年間報酬3千万円の持続安定的コンサルタント」を実現しました。自身の実現プロセスを記述したのが紹介本です。

 私の感覚では「個人コンサルタント年間報酬3千万円」なんて別の世界の話ではと思いましたが、新年に当たり、初心に帰りコンサルタントの在り方を考えてみたいと思い、紹介本を読んでみました。

 そこに大切なヒントがありました。それは一言でいうと、クライアントのビジネスモデルについては一生懸命考えても、自身のコンサルタント業についてのビジネスモデルについては真剣かつ戦略的に考えていなかったことに気付いたのです。

 紹介本には、独立系個人コンサルタントにとって、あるいは士業(税理士、司法書士、弁護士など)をクライアントに持ったコンサルタントにとって、参考になるヒントが、著者自身の体験談として語られています。

 紹介本の中で語られている、著者の体験談の中から、いくつか参考になるヒントを次項でご紹介します。

■      持続的な安定報酬を得る為のコンサルタント・ビジネスモデルのポイント

【コンサルタント・ビジネスの4つのモデル】

 著者は、コンサルタント・ビジネスを①プロジェクト型(問題解決型。3か月から1年以内係る。)②アドバイス型(解決すべき課題達成型。1年以上係る。)③ワークショップ型(ビジョンにフォーカスしたセミナー型。1日~数回のビジョン、目標策定セミナー。)④パートナー型(ビジョンにフォーカスして1年以上の長期で係る。)の4つにまず区分します。その上で、縦軸に「契約期間の長さ」、横軸に「フォーカスポイント(問題点⇔ビジョン)」のマトリックスを作り、①~④を配置します。

 著者は①~③のどの型が良いかの正解はないと言います。しかし、マトリックスの一番上位(契約期間が長く、ビジョンにフォーカス)に来る「④パートナー型」に、①~③を入り口にして、持っていくことが大切と主張します。

① ~③の入り口がなく、最初から④のパートナー型に持っていくのは難しいと思い

ますが、パートナー型に持っていく展望を持っていることは、大切なポイントと思います。

【パートナー型コンサルタントは社外のNO2を目指す】

 著者は、パートナー型コンサルタントは、組織外に居ながら、クライアントの組織のNO2の役割を果たすことと位置付けます。

 現実にそれが可能になることによって、クライアントにとっての利用価値が上がり、成果にも繋がることになります。それによって、契約の長期化と、高い報酬を実現することが出来ると著者は主張します。

 組織外に居ながらクライアントの組織におけるNO2であることには、大きな意味があると私は思っています。組織内の幹部・従業員に話せないことの相談相手になる、また、組織外のNO2だから出来る提案、アドバイスも多くあります。組織外NO2の立場だから、トップと従業員のコミュニュケーションを図ることも出来るケースがあるでしょう。

【コンサルティング技術に関する貴重なノウハウ】

 紹介本には、著者の体験に基づく貴重なノウハウもたくさん書かれています。その中のいくつかをご紹介しましょう。

 まずは、相手のニーズを引き出す技術。「社長これだけ順調にいっていると悩みなんかないですよね?」と質問すると、必ず「いや実は」と言って、社長の悩みごとの独白になると著者は紹介しています。

 次は相談に乗るときの場づくり。相手との間に「安心安全ポジティブな場」を作ることが大切と著者は言います。それには「相手をやる気にさせる言葉使い」と「相手に恥をかかせない言葉使い」が大切と説きます。

 他にも色々と参考になる著者独自の体験談が出てきます。詳しくは紹介本をお読みください。

■      独立系個人士業が持続安定的に成長するには(むすび)

 紹介本を読んで痛感しているのは、私たち独立系個人コンサルタントが、クライアントに語っていることが、自分自身の事業でも出来ているかということです。

 まずは「ミッション」を持つことでしょうか。それは自身の人間性に基づいたものでなくてはなりません。それがクライアントから受け入れられるか、事業を進める際の連携パートナーから受け入れられるか、それによって自身の事業の成否が決まってくるのではないでしょうか。

 次は「ビジョン(自身の事業でどのようなポジションを築きたいか。その為にいつまでに何をするか明確にする。)」を持ち、それを更新していくことでしょうか。自身の「ビジョン」が有ることで、自身の日々の行動が意味の有るものになって来るのではないでしょうか。

【酒井 闊プロフィール】

 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。

 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。

  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm

  http://sakai-gm.jp/

 

【 注 】

 著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。

 

■■ 経営コンサルタントへの道 ←クリック

 経営コンサルタントを目指す人の60%が見るというサイトです。経営コンサルタント歴40年の経験から、経営コンサルタントのプロにも役に立つ情報を提供しています。

 


【経営コンサルタントの育成と資格付与】

since 1951 特定非営利活動法人・日本経営士協会

 日本経営士協会は、戦後復興期に当時の通産省や産業界の勧奨を受け、日本公認会計士協会と母体を同じくする、日本で最初にできた経営コンサルタント団体です。

 詳しくは、サイトでご覧下さい。 

 

 

日本最古の経営コンサルタント団体・日本経営士協会とは
日本経営士協会の歴史が日本の経営コンサルタントの歴史
経営コンサルタント資格は中小企業診断士だけではない
暗記力よりも経験・実績・実力を重視した審査
 資格を持っていない人でも入会でき、プロから学べます
 お問い合わせや入会・資格取得のお申し込み

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【経営コンサルタントのお勧め図書】 「小さな成果」からTQMへ コンサルティングへの応用

2022-08-22 12:06:00 | 【経営】 経営コンサルタントの本棚

本  【経営コンサルタントのお勧め図書】 「小さな成果」からTQMへ コンサルティングへの応用




経営コンサルタントがどのような本を、どのように読んでいるのかを教えてください」「経営コンサルタントのお勧めの本は?」という声をしばしばお聞きします。


 日本経営士協会の経営士・コンサルタントの先生方が読んでいる書籍を、毎月第4火曜日にご紹介します。


 


 今回ご紹介する書籍は、単なる書籍紹介ではありません。


 この原稿を書き上げるには、両書、それぞれのTQMのPDCAサイクルをトライして見ないと理解できない内容です。


 筆者の酒井闊先生の経営士・コンサルタントとしてだけではなく、経営者としてのご経験があればこそまとめ上げられた内容です。


 酒井先生の原稿は、いつも力作揃いですが、今回は、力作中の力作の一つといっても過言ではないと考え、いつもよりも自信を持ってご紹介いたします。


 


 


   


 


本 ■    今日のおすすめ


 


① 『驚くほど業績が上がる、中小企業のための「コンサルティング」活用術』
                                                    (山中 一裕著 幻冬舎)
②    『「ISO9004:2018解説と活用ガイド」ISO9001からISO9004へそしてTQMへ』
                                      (中條 武志 編集 日本規格協会発行)


本


 


■    『「コンサルティング」活用術』を、「経営革新」のスタート台に(はじめに)



 紹介本①は『「ハンズオン型コンサルティング」(手を触れる如く「経営を身近に体感するコンサル」)』の活用による経営改善・業績向上戦略を提案する傍ら、成功事例を紹介しています。
 紹介本①の指摘する経営改善のポイントは、「マーベリック(一匹狼)」の存在と、それを解消し、「Quick Win(小さな成果)」を生み出すことです。「マーベリック」は、経営者自身かもしれません。あるいは、コミュニュケーションの悪さを生み出している組織体制かもしれません。この「マーベリック」をまず解消し、業績の改善・向上へ向けて行動し、「Quick Win(小さな成果)」を生み出すことが成功への道筋と指摘します。重要な指摘と思います。詳細は紹介本①をお読みください。
 こうして得たハンズオン・コンサルの成功は、経営革新に向けた第一歩です。折角ですから、この小さな成果を、更に経営革新へと発展させようではありませんか。
 持続的成長を支える継続的改善の出来る経営革新を可能にするのが、「ISO9001からISO9004へそしてTQMへ」(紹介本②)です。次項でポイントをご紹介します。
本
■    経営革新は「ISO9001からISO9004へそしてTQMへ」で実現



【経営革新は“まず取り組むこと”が大切】
 「20世紀前半において最も名高いイギリスの音楽評論家」と言われているアーネスト・ニューマン(Ernest Newman 1868-1959)の名言があります。「偉大な作曲家達は、意欲が湧いたから作曲に取り組んだのではなく、取り組んだから意欲が湧いたのだ。」
 経営革新を目指そうとする時、この名言が参考になります。つまり迷い巡らすのではなく、まず何らかの経営革新の仕組みに取り組むことが重要なのです。



【取り組む仕組みは?どの仕組みが最適ですか?】
 経営革新の仕組みはTQM(Total Quality Management;総合的品質経営)と呼ばれています。TQMには経営品質協議会(日本生産本部系)の日本経営品質賞(日本版マルコム・ボルトリッジ賞-MB賞-)、日本科学技術連盟(科学技術庁所管公益法人。日本のQCの元祖)の日本品質奨励賞及びデミング賞、ISO9004:2018、外国発のシックス・シグマ、バランス・スコア・カード等が有ります。
 ここでは、QC系TQMの代表格である日本経営品質賞とQMS系TQMのISO9004に焦点を当て、初めて経営革新に取り組む企業に「相応しいTQMは?」について記してみたいと思います。その前に「TQMとは何か」「QC系TQMとQMS系TQMの違いは」について見てみましょう。



【「TQMとは」、「QC系TQMとQMS系TQMの違い」を歴史と手法から見る】
 第一に、「TQMとは」をTQMの歴史から見てみましょう。
 TQMの源流はQC(Quality Control)です。QCは製品品質の保持のための製造・検査部門における改善活動です。QCの成果を上げるために、統計手法などの「科学的アプローチ」と「全社的プロセス・アプローチ」を取り入れ、TQC(Total Quality Control;全社的品質管理)に発展・進化しました。TQMはこのTQCに「組織的・経営的アプローチ」を加えて、バリューチェーンを通して品質・価値・差別化を追求する総合的企業力向上のツールに進化したのです。



 第二に、QC系TQMQMS系TQMの「歴史・成り立ち」見てみましょう。
 QC系TQMである日本経営品質賞の歴史を見てみましょう。
 日本版TQCの発展形として、アメリカで提唱され、日本企業のTQCによる成功事例を基に新しい経営モデル(MB賞)として創られました。MB賞の活用により1980年代まで衰えていたアメリカ経済は華々しい復活を遂げたと言われています。このMB賞を逆輸入し、日本版MB賞として創設したのが日本経営品質賞です。
 QMS系TQMのISO9004の成り立ちを見てみましょう。
 TQC及びTQMを国際標準化機構(ISO)が規格化したものがQMS(Quality Management System)です。規格とは、その適用範囲や内容、基準(要求事項、推奨事項)が明確になっており、審査機関の審査によって認証が行われるものです。勿論、すべてに一律のルールを適用するのではなく、認証を取得する企業にあったシステムを構築するという自由度も併せ持っています。QMS系TQMのISO9004は、2018以前の2009までは、ISO9001(QMS系TQC;製品・品質マネジメントシステム)の成果を高めることを目的に、領域を「経営・組織品質」にまで拡大するペア規格でした。
 しかし、9004:2018では、9001とのペアは無くなり、QC系TQMのツールであるセルフアセスメント(9004:2018付属書A;自己評価ツール)を取入れ、9001を視野に入れつつも、組織が自主的、自発的に高みを目指すための規格に変身したのです。(9004は推奨事項による指針であり認証規格ではありません。)



 第三にQC系TQMQMS系TQMの「手法的違い」見てみましょう。
 QC系TQMは、QMS系TQMと比較すると、一律的な基準は無く、より高い自由度を持っていますが、自由度があるがゆえに、導入時における活動のフレームワークの明確化で手探り状態になる短所があります。一方、QC系TQMの長所は受賞(認証)制度が確立されている他、競合他社の状況との比較やベンチマーク企業を参考にして更なる企業力の向上を図れる等が挙げられます。



【取組み易く成功確率の高い仕組みは「ISO9001からISO9004へそしてTQMへ」】
 初めて経営革新に取り組む企業にとって、明確でMECEなフレームワーク(規格)のある仕組みが必要です。同時に、TQMの基本となるプロセス・アプローチ等の基礎的能力を獲得できる仕組が必要です。
 これを可能にするのがQMS系TQMです。まず、ISO9001(品質マネジメントシステム)のフレームワーク(規格・要求事項)を活用しプロセス・アプローチ等の基礎的能力を確立します。次に、ISO9004:2018のTQMの世界標準のフレームワーク(推奨事項)を活用し、更には、自己評価ツールを活用し改善・維持向上・革新を進め、総合的企業力の向上を実現します。
 以上に記したとおり、明確なフレームワークの下での確実な経営の改善・維持向上・革新を実現した上で、受賞(認証)制度があり、経営革新を加速しその効果を拡大する、QC系TQMへの挑戦がお薦めです。
本
■    中堅・中小企業の経営革新の取り組みは“守破離”で(むすび)



 経営革新を成功させるには、国際的な基準・規格を活用し基礎を身に付け(守;9001:2015の登録・認証)、次に領域を拡大し(破;9004:2018によるTQM活動へ)、更に飛躍(離;QC系TQMの受賞獲得へ)へと挑戦しましょう。
 


 


本


【酒井 闊プロフィール】


 10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。


 企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。


  http://www.jmca.or.jp/meibo/pd/2091.htm


  http://sakai-gm.jp/


 


【 注 】  著者からの原稿をそのまま掲載しています。読者の皆様のご判断で、自己責任で行動してください。


 


■■ 経営コンサルタントへの道 ←クリック


 経営コンサルタントを目指す人の60%が見るというサイトです。経営コンサルタント歴45年余の経験から、経営コンサルタントのプロにも役に立つ情報を提供しています。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする