■【あたりまえ経営のすすめ】2部 管理編3-56 PDCAの「A:対策(Action)」のあり方を見直す
多様化の時代になり、ホンモノ智恵が求められる昨今です。
世の中には、「専門家」とか「プロ」と呼ばれる人が多数いらっしゃいます。
ところが、残念なことに、その大半というのが、「エセ専門家」「エセプロ」なのです。
管理職も、“真”のプロ管理職にならなければなりません。
ホンモノのプロ、要は「“真”のプロ」とは、どの様な人を指すのでしょうか。
エセプロの多くは、「あたり前のことが、あたり前にできる」ということを軽視しています。
「今の時代、最新の経営理論に基づく経営が重要である」と「あたり前」を蔑視をしている人もいるほどです。
では、「あたり前」とは、なんでしょうか?
「“真”のあたり前」を知らずして、あたり前を軽視して欲しくないですね。
あたり前は、その辺に転がっているのではなく、「あたり前は創るもの」です。
1970年代から、半世紀近くの経営コンサルタント経験から、最善の策ではないにしても、ベターな策を講じるための智恵をご紹介してまいります。
■ 2部 【管理編】 プロの管理職のあり方
本シリーズは、経営士・コンサルタントなどの経営専門業・士業の先生方を対象として、第1部の【経営編】をお送りしてきました。しかし、その内容は、視点を変えれば経営者・管理職のためのお話でもあります。ビジネス界においては、フレキシブルな視点の持ち方をできる人が高く評価されるのです。
筆者は、経営コンサルタントという仕事柄、しばしば管理職研修も実施してきました。その時に、必ずといって問うことは、「管理とは何でしょうか?」ということです。
管理職の皆さんは、よく勉強していて、私より立派な回答が返ってきます。
「では、それをどの様に実務に活かしていらっしゃいますか」と問いますと、期待するような回答が返ってきません。
難しいことを勉強しすぎているのではないでしょうか。知識と実務が乖離していますと、せっかくの知識が知恵として活かせません。
管理職として、「あたりまえ」なことが、実務で行われているのかどうか、謙虚に自分自身を見ることも大切なのではないでしょうか。
管理職は、「管理とは何か」「温かい管理」を正しく理解しなければ、部下からも、上司からも、社会からも正しく評価されません。
温かい管理とは https://blog.goo.ne.jp/keieishi17/e/8b7833c2ebc019660a3813e9dedbf92f
ここでは、管理職なら誰もが知っているようなことを整理してみました。
知識としてはご存知のことでしょうが、それを実務に活かすにはどうしたらよいのかを考えてくださる契機となると幸いです。
■ 第2部3章 【管理編】 プロの管理職のための”新たな”PDCAと活用法
これまで第2章として、ホンモノのリーダーシップについてお話して参りました。
そのリーダーシップと不可分にあるのがPDCAです。
「いまさら、PDCAについて学ぼうとする人間なんていないよ」
「もう、PDCAは古い!」
このような声を聞くような時代になりました。それほど、PDCAが言い古されてきているのです。しかし、本当にPDCAが実行されているのでしょうか。そして、PDCAの効果が出ているのでしょうか。
多くの方が、知識として知っていても、実行に移せていない人が多いのが「PDCA」です。
一方で、「PDCAを常に意識しています」、という人もいます。ところが、本当にPDCAにより効果を上げられているのでしょうか?大半の方が、「効果を上げている”つもり”」であって、実際には、PDCAが適正に実行されていないがために、機会損失を起こしているのです。
正しいPDCAとは何か?
正しいPDCAの使い方とは?
謙虚に、再度、PDCAに取り組んでみては如何でしょうか。あなたのPDCAとは違ったPDCAがあるかもしれません。
■ 3-56 PDCAの「A:対策(Action)」のあり方を見直す
既述のように、単発で終わる場合には、「A:対策(Action)」は、「C:チェック(check)」にもとづき、どの様な問題があり、それに対して対応策を打ちます。
ところが、多くの企業では、それが次のPDCAに連続します。すなわち、「A:対策(Action)」は、「C:チェック(check)」をもとに、「P:計画(Plan)」に組み込まれますので、私どもでは、「A:対策(Action)」を独立して行うのではなく、CやPの一環として行うことを前提としています。
前項でご紹介しましたように「C:チェック(check)」の段階で、システム連携してデータを加工しますと、それまであれば便利とわかっていながら、下項に手間がかかる情報を創り出すことができます。
営業部門を例に考えてみましょう。
SFAのシステムを利用できますと、販売管理システムや財務管理システムなどの基幹業務システムと連携しやすいですが、導入していないところも多いでしょう。
導入していないところでは、営業日報など、報告書と、これらのシステムをリンクさせることにより、同様なことができます。
システムを連携することにより、それまではできなかった、きめ細かな分析ができるようになります。
たとえば、ある営業パーソンが、一か月にどのくらいの訪問件数実績があるか、それには、どのくらいの時間を費やしているのか、そのためにいくらの経費を上げ、いくらの利益を稼いでいるのかなど、営業パーソン管理上のデータは容易に出てきます。
ある営業パーソンは、顧客訪問に熱心で、訪問件数もずば抜けて多いのですが、売上や受注などの実績に繋がっていません。
「営業は足で稼ぐ」を地で行っているこの営業パーソンは、なぜ、営業成績が良くないのでしょうか。
すでに「トレーラーの生産性論」で学びましたように、営業パーソンの活動と業績というのは、何らかの関連性があります。
営業日報や基幹業務システムのデータをリンクして分析しますと、図にありますように、営業パーソンをいくつかのタイプに分けることができます。
当該営業パーソンが、そのどこに当てはまるかにより、管理職の立場であればアドバイスの仕方が変わります。営業パーソン本人であれば、どこに問題があるのかを気づくことができます。
この事例にあります営業パーソンは、訪問件数は多いのに受注や売上高が少ないのです。
訪問件数が多いことは良いことですが、「トレーラーの生産性論」の分子を思い出して下さい。分子は「行動の量×行動の質」です。
分子を大きくすることが生産性を高めることですので、行動の量が多い上に、さらに生産性を高めるためには、行動の質を高めなければなりません。
【 注 】 PDCA詳細情報
「ロジカル・シンキングがよくわかる本」(今井信行著 秀和システム刊 1,760円)の第3章5節で詳しく説明しています。
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