■【あたりまえ経営のすすめ】2部 管理編2-27 プロ管理職のリーダーシップ リーダーシップを効果的にとる方法
多様化の時代になり、ホンモノ智恵が求められる昨今です。
世の中には、「専門家」とか「プロ」と呼ばれる人が多数いらっしゃいます。
ところが、残念なことに、その大半というのが、「エセ専門家」「エセプロ」なのです。
管理職も、“真”のプロ管理職にならなければなりません。
ホンモノのプロ、要は「“真”のプロ」とは、どの様な人を指すのでしょうか。
エセプロの多くは、「あたり前のことが、あたり前にできる」ということを軽視しています。
「今の時代、最新の経営理論に基づく経営が重要である」と「あたり前」を蔑視をしている人もいるほどです。
では、「あたり前」とは、なんでしょうか?
「“真”のあたり前」を知らずして、あたり前を軽視して欲しくないですね。
あたり前は、その辺に転がっているのではなく、「あたり前は創るもの」です。
1970年代から、半世紀近くの経営コンサルタント経験から、最善の策ではないにしても、ベターな策を講じるための智恵をご紹介してまいります。
■ 2部 【管理編】 プロの管理職のあり方
本シリーズは、経営士・コンサルタントなどの経営専門業・士業の先生方を対象として、第1部の【経営編】をお送りしてきました。しかし、その内容は、視点を変えれば経営者・管理職のためのお話でもあります。ビジネス界においては、フレキシブルな視点の持ち方をできる人が高く評価されるのです。
筆者は、経営コンサルタントという仕事柄、しばしば管理職研修も実施してきました。その時に、必ずといって問うことは、「管理とは何でしょうか?」ということです。
管理職の皆さんは、よく勉強していて、私より立派な回答が返ってきます。
「では、それをどの様に実務に活かしていらっしゃいますか」と問いますと、期待するような回答が返ってきません。
難しいことを勉強しすぎているのではないでしょうか。知識と実務が乖離していますと、せっかくの知識が知恵として活かせません。
管理職として、「あたりまえ」なことが、実務で行われているのかどうか、謙虚に自分自身を見ることも大切なのではないでしょうか。
管理職は、「管理とは何か」「温かい管理」を正しく理解しなければ、部下からも、上司からも、社会からも正しく評価されません。
温かい管理とは https://blog.goo.ne.jp/keieishi17/e/8b7833c2ebc019660a3813e9dedbf92f
ここでは、管理職なら誰もが知っているようなことを整理してみました。
知識としてはご存知のことでしょうが、それを実務に活かすにはどうしたらよいのかを考えてくださる契機となると幸いです。
■ 第2部2章 プロ管理職のリーダーシップ
私達は、ひとりでは生きていくことはできません。社会や組織に所属して、他の人と共に力をあわせることが、近道といえます。そこに求められるのが、「リーダーシップ」です。
管理職だけではなく、ビジネスパーソンにはリーダーシップを取れることが、成功への近道であり、自己実現には不可欠といっても過言ではありません。では、ビジネス界におけるリーダーシップとはどのようなものなのでしょうか。原点に戻って、再度考え、新たな気持ちでチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
■ 2-27 代表的なリーダーシップ論のひとつ リーダーシップを効果的にとる方法
リーダーシップの取り方に決まりがあるわけでありません。リーダーとメンバーの組み合わせで、何十、何百通りの方法があると考えると良いのではないでしょうか。
そうはいいましても、大雑把な分類は可能ですので、リーダーシップの取り方をいくつかご紹介します。
トップダウン型
典型的なリーダー像といっても過言ではありません。計画や目的だけではなく、自分の基本的な考え方を掲げ、それに向かってメンバーを引っ張ってゆきます。
カリスマ性のある人が多く、メンバーもリーダーを慕ったり、尊敬したりすることが多いです。
一方で、このタイプのリーダーは、自分の考えに固執しすぎたり、理想論に走りすぎたりして、メンバーの中には反発心を持つ人もいます。
自分の考えを押しつけるのではなく、なぜ、この様なことを行うのか、その本質をメンバーに納得させることにも腐心すべきです。
率先垂範型
リーダー自身が実務執行力を持っていて、自分が率先して現場業務をこなし、メンバーは、リーダーの背中を見ながら、リーダーのやり方を手本とし、ついていくタイプです。
メンバーは、よいお手本がありますので、その通りに実行すれば、自分もそれなりに仕事ができてしまいますので、自分で工夫して仕事をしたり、悩んだりするという経験の機会が少なく、リーダーが変わりますと、途端に萎んでしまう人もいます。
リーダーも、自分が手本を示すこと以外の部下育成能力が充分でないことが多く、部下の個性を活かした成長が阻害されてしまいます。また、自分で仕事ができるために、だれもが同じようにできると思い込んでしまい、それをメンバーに期待します。期待が大きすぎて、それを感じ取るメンバーは自信を喪失したり、やる気が失せたりすることがあります。
リーダー自身が、自分で手本を示すつもりが、自分で部下がやるべき仕事にまで手を出したり、自分のやり方を押しつけたりして、メンバーから煙たがられることもあります。
アドバイザー型
面倒見のよい人に多く、メンバーにアドバイスをしながら、その人の能力を引き出せるタイプのリーダーです。
コミュニケーション能力が高く、メンバーとの報連相を重視します。メンバーのやり方を尊重するようにしますと、その人の能力を最大限活かせ、成長させることに繋がります。
一方で、アドバイスが行きすぎて、「答まで教えてしまう」傾向があり、せっかく、よい面を持っているにもかかわらず、良かれと思ってやっていることが、メンバーの成長阻害に繋がっていることに気づかないことが多いです。
育成という、時間をかけるやり方は得意ですが、「今月、あと1000万円の受注をとらなければ、目標値に達しない」というような、緊急性が高く、短期的に対応しなければならないときに、充分に力を発揮できないことが多いです。
カウンセリングのスキルを高めますと、一層効果を上げることができるタイプです。
ボトムアップ型
メンバーの自主性や経験からの提案を重視し、それに基づいて自分の組織の運営を行うタイプのリーダーです。
メンバーは、自分の提案に熱心に耳を傾けてくれるリーダーに対して好感を持ち、モチベーションが高まる人がおおいです。
一方、メンバーとのコミュニケーションは、傾聴が中心であり、報告の時間が長かったり、会議の回数が多かったりして、実務の時間にしわ寄せが行ってしまう欠点があることが多いです。知識・情報が豊富であったり、能力の高いメンバーは、自分の成長の機会が多く歓迎したりしますが、そうでない人達は、ますます萎んでしまいがちです。
このタイプのリーダーで、自分自身に自信のない人は、メンバーの言いなりとなり、組織としての体をなさなくなってしまうこともあります。リーダーは、目標や計画、方針などをキチンと示し、その実現のための提案や企画を求めるべきです。それにより、メンバーも、それに基づいて検討し、彼等からの声にも方向性が出てきて、組織としてのまとまりもできます。
メンバーの声の中には、見当違いであったりして、採用はできないことも多いでしょうが、それに対しても真摯な対応が求められます。良いものは取り上げ、即実行はできないが将来の課題として重要なものは、条件が整った時点で方針や計画に組み込むようにし、メンバーの声を大切にする必要があります。
コーチングのスキルを身に付けますと、自分がそれまでやってきたやり方の問題点にも気づき、よいリーダーに成長できる可能性が高いです。
その他
人間関係を重視する「仲良し型」のリーダーもいます。ボトムアップ型と同じような長所短所があります。人間関係を重視するあまり、メンバーを信頼しすぎて、期待を裏切られることもあります。
友好的な人間関係を重視するあまり、「八方美人型」になってしまい、相手に対しては真剣に耳を傾け、その人を傷つけないように、その場に応じたことを言う傾向があります。そのために、相手により、趣旨が異なることを言ってしまい、俯瞰的に見ますと矛盾が生じてしまいます。
これらと対照的なのが、「ワンマン型」のリーダーです。自分の言うとおりにしてくれないと気が済みません。自分の言うことを素直に聞く人をひいきし、そうでない人の評価が高くなくなることもあります。メンバーの言うことに耳を傾けることが少ないために、リーダー自身の成長も阻害され、メンバーも萎縮し、成長できないでいます。
中には、リーダーとしての能力や自覚が欠如していて、「無責任型」のリーダーもいます。同じ無責任でも、「物忘れ型」「朝令暮改型」のリーダーも散見され、会議の決議事項や、自分の指示や命令すらわすれてしまって、それらに反する言動をとったりします。
この様なリーダー不適格者は、再教育をしたり、部下のいない役職に就けたり、必要に応じては降格などもやむを得ないでしょう。
上記は、代表的なリーダーシップの取り方ですので、そのいずれかにマッチするわけではなく、TPOにより、使い分けが必要です。自分が、どのタイプのリーダーに近いのかを再確認し、自分自身がリーダーとしてどう変身すべきかを謙虚に考える必要があります。
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