はじめに、危険度判定士制度について説明致します。
平成7年1月、阪神大震災を契機に防災の相互支援体制と個別の被害実態を即座に判定する一定の基準と周りにその状態を伝える方法が必要となっていた。
国土交通省は平成13年10月「被災宅地危険度判定士」を制定した。
危険度判定士とは一定の技術知識と実務経験を有する者が規定の講習を経て認定された者で、全国の都道府県知事が独自に登録している。判定士の活動は基本的にボランティアで、原則として被災自治体の災害本部の指揮下で行動します。
従来の災害現場ではほとんどが個々の建物を判定対象としてきたが、被害の多くは建物を支えている地盤や擁壁等の倒壊が二次災害の原因に結びついている。
判定士の役目はこの二次的災害の防止が目的で、自治体が管轄する。
東日本大震災の仙台市における被災宅地危険度判定の状況の一部を紹介します。
仙台市は3月14日 折立五丁目の43世帯、緑ヶ丘4丁目の102世帯に避難勧告を行いましたが、4月7日の余震被害が甚大で全国に第二陣の支援を要請した。
8月29日現在の判定結果は危険(赤)794件、要注意(黄)1,310件、調査済(青)1,776件。計3,880件です(5月19日をもって受け付け終了時)。
新潟・神戸の派遣、支援者は震災対応のノウハウがありますが、仙台市担当課には地震の危険性を認識しているが、災害に対する対策を持っていなかった。例えば、会議室の確保も出来ず、支援団体の為の仙台市の地図を購入するお金(予算)もなかった。受け入れ体制がととのわなかった。対策のしくみが課題となっている。
被災宅地の判定は罹災証とリンクしないし、宅地災害(被害)については個人財産という現行法制では、税金を投入できないしくみになっており、国の制度改正(予算措置)が求められるところです。
市の年間予算は福祉を含め、4,000億円に対し、仙台市の被害は津波災害6,000億円、宅地被害1,000億円、道路・下水道等公共ライフラインの被害を合わせると1兆2千億円超と試算されている。