『かわいそうだね？』 綿矢りさ

この本には２つの小説が収められている。


『かわいそうだね？』

主人公：樹里恵はある日、恋人の隆大から、元カノの就職が決まるまで、

自分とその元カノとの同居を認めてほしいとたのまれる。

最初はとまどった樹里恵だったが、「かわいそう」の言葉に元カノを押し込めていく。

隆大はアメリカ育ち。

アメリカではルームシェアは日常。

元カノの頼れる相手は隆大だけ。


ところがこの元カノ、何ヶ月たっても隆大の部屋を出て行かない。

隆大は誠実な人。

２人の間によりが戻った気配は無い。

だが、樹里恵の気苦労は絶えない。

いったいいつまでこの苦しみが続くの！？


すっきりしました。

綿矢りさの手腕に脱帽。

ラストの描写は、いやはや、お見事です。





『亜美ちゃんは美人』

さかきちゃんは美人。

でも、亜美ちゃんはもっと美人。

芸能界から何度もお誘いがくるくらい、みんながうっとりする完璧な美人。


２人は高校の入学式からの親友。

でも、さかきちゃんの本音は、「亜美ちゃんが嫌い。」。

そんなさかきちゃんにだけ亜美ちゃんは懐き、心を開く。

天然で、さかきちゃんの心に気付かない。


物語は高校時代から大学時代、そして社会人になって結婚式まで続く。

亜美ちゃんは、どんな相手を選んだのか。


結末は重く感じた。

綿矢りさの洞察力の深さに感銘した。