川上弘美は高校時代まで、児童文学を専ら読み漁っていたのだそうだ。
そんな彼女が大人の文学を読むきっかけになったのが、SF研究会への入部だった。
桜の花びら舞うキャンパスで、熊に声をかけられた。
「あのう、SF研究会ですが、もしよろしければ部室に遊びに来ていただけませんか?」
熊は、度の強い眼鏡の奥の三日月形した目を優しくしばたたせながら、慇懃無礼に言った。
その時、ビビッと来るものがあったのかどうかは、弘美さんに聞いてみないと分からない。
ともかく、弘美さんは他に興味をひかれるサークルもなかったので、
これも何かの縁と思い見学に行き、居ついてしまった。
何とも居心地がよかったのである。
この時から弘美さんは、アーサー・C・クラークやヴォネガットを読み始め、
読書欲はいっそう盛んになり、阿部公房や倉橋由美子といったいわゆる
純文学も読み耽るようになり、やがては
デュラスやカルビーノといった海外純文学作品をも読むまでに至ったのである。
弘美さんは自分の読書遍歴を振り返り、
「常に異界を求めていた」と述べている。
また、海外文学に落ち着いた理由を、
「日本の小説には絶対ないものがそこにはある。」と言っている。
兎にも角にも、熊との仲が深まったのは、
2年生の時のサークルのクリスマスコンパだった。
居酒屋を出て2次会に向かう道すがら、突然路チューされてしまったのだ。
初キッスの衝撃に弘美さんは足腰が立たなくなり、そんなに飲んでもいないのに
2次会のパブまで熊におんぶしてもらった。
その背中の暖かかったこと。
大学卒業後も熊との交際は続き、やがて結婚し、子供も授かった。
育児をしながら小説を書き、処女作『神様』が高く評価され、
あれよあれよという間に芥川賞までもらってしまった。
美しい容貌に幸せな家庭、作家としての地位まで手にして、
世間の羨望の的である。
今にして思えば、熊がアゲチンだったのかも知れない。
「センセ」
「センセってキューピーのことかい?」
「センセ、執筆中すみません。」
「うむ。」
「川上弘美先生はお茶の水卒です。」
「それがどうした。」
「ジョシダイですよ、ジョシダイ。」
「!!!!!!!!!!!!!」
「嘘八百がバレバレですよ。」
「ふんっ」
そんな彼女が大人の文学を読むきっかけになったのが、SF研究会への入部だった。
桜の花びら舞うキャンパスで、熊に声をかけられた。
「あのう、SF研究会ですが、もしよろしければ部室に遊びに来ていただけませんか?」
熊は、度の強い眼鏡の奥の三日月形した目を優しくしばたたせながら、慇懃無礼に言った。
その時、ビビッと来るものがあったのかどうかは、弘美さんに聞いてみないと分からない。
ともかく、弘美さんは他に興味をひかれるサークルもなかったので、
これも何かの縁と思い見学に行き、居ついてしまった。
何とも居心地がよかったのである。
この時から弘美さんは、アーサー・C・クラークやヴォネガットを読み始め、
読書欲はいっそう盛んになり、阿部公房や倉橋由美子といったいわゆる
純文学も読み耽るようになり、やがては
デュラスやカルビーノといった海外純文学作品をも読むまでに至ったのである。
弘美さんは自分の読書遍歴を振り返り、
「常に異界を求めていた」と述べている。
また、海外文学に落ち着いた理由を、
「日本の小説には絶対ないものがそこにはある。」と言っている。
兎にも角にも、熊との仲が深まったのは、
2年生の時のサークルのクリスマスコンパだった。
居酒屋を出て2次会に向かう道すがら、突然路チューされてしまったのだ。
初キッスの衝撃に弘美さんは足腰が立たなくなり、そんなに飲んでもいないのに
2次会のパブまで熊におんぶしてもらった。
その背中の暖かかったこと。
大学卒業後も熊との交際は続き、やがて結婚し、子供も授かった。
育児をしながら小説を書き、処女作『神様』が高く評価され、
あれよあれよという間に芥川賞までもらってしまった。
美しい容貌に幸せな家庭、作家としての地位まで手にして、
世間の羨望の的である。
今にして思えば、熊がアゲチンだったのかも知れない。
「センセ」
「センセってキューピーのことかい?」
「センセ、執筆中すみません。」
「うむ。」
「川上弘美先生はお茶の水卒です。」
「それがどうした。」
「ジョシダイですよ、ジョシダイ。」
「!!!!!!!!!!!!!」
「嘘八百がバレバレですよ。」
「ふんっ」
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます