ケベックリタイヤ日記

ケベックでリタイア暮らし。ながらえば憂しとみた世も今は忘れた。毎日悦びの種をみつけてぽりぽりかじりたい。

未開人Les sauvages

2020-06-13 10:00:28 | 雑誌CLASSICAより
10年も前になるだろうか、夫の知人で音楽スタジオを経営しているマリオさんとお話ししたことがあります。彼はピアニストを目指してましたがマスター時代に耳を悪くしキャリアをあきらなければなりませんでした。音楽学校で働く傍、自宅でピアノを教えてましたが退職を機にスタジオを広げ先生を数人雇い50人ほどの生徒さんを預かってます。コンセルヴァトワールを目指す生徒さんだけとってます。ある日、彼がこんなこと言いました「僕はベートーヴェンのどんな小さな曲についてでも3時間は話せる」 「僕が死んだら妻や家族のもとへ行くよりもベートーヴェンの住む世界の方に行く」と。このお話を聞いた時、そこまで惚れ込むマリオさんが羨ましくもあり、また自分に問いました「あんたは一体作曲家で誰が好きなんだ、一人ぐらいマリオさんまでとはゆかなくとも惚れ込み深めてみようと思う作曲家はいないのかい」 乏しい音楽経験を振り返りながら私が一番好きなのはラモー、それで雑誌の切り抜きや本、CDを少しづつ集めお付き合いしてゆこうと思いながら、いつの間にかほったらかし。それがCLASSICA4月号のインタヴュー記事にラモーの名前を見つけどきりとしました。TREVOR PINNOCKというイギリス人のクラヴサン奏者かつ指揮者がラモーについてフランス音楽で一番好きな作曲家と言ってます。ラモーは複雑な性格をしており簡単ではないが正直で本物でユマニテが感じられクープランに比して社会受けを狙った作為的な効果を探したりしないと。

私が初めてラモーと出会ったのは日本ではなくアレクサンドルタローさんのCDです。ラモーなんか誰がきくんだ、そんなCD出したら君のキャリアは終わりだと止められながらリリースしたんです。これが逆に彼の売れっ子キャリアスタートとなり、あまり知られることのなかったフレンチバロックの魅力を広めることに一役買いました。

なんてたって有名なのはLES SAUVAGES (未開人と訳されてます)。いろんな舞台演奏がありますが、私は以下のバロック音楽とヒップダンスのコラボに魂を揺さぶられました。ダンサーはロサンゼルスの黒人ゲットー出身で、人種差別への怒りを暴力ではなく芸術にカタルシスを求めたんです。人種差別とかこえ、不正義を被りながら行き場無く、身体表現でしか許されない封印された人達の憤怒の迸りが観客を圧倒します。また、これを企画しプロデユースした若きアーチストCLEMENT COGITOREに新しい世代の力強い創作パワーを感じます。



歌ってるのはSABINE DEVIELHEで好きなアーチスト、上記の舞台では蓮っ葉なネーチャンのコスチュームで歌ってます。



いつかではなく、今からラモーとお付き合いしてゆこう。コツコツ楽しみながら。

ランチ: 冷凍ハンバーグが残り一個のみとなり夫へ、私は大好きな納豆ご飯 毎日食べたいけど高い。