ケベックリタイヤ日記

ケベックでリタイア暮らし。ながらえば憂しとみた世も今は忘れた。毎日悦びの種をみつけてぽりぽりかじりたい。

流行

2020-06-20 21:36:17 | 暮す
洗面台ペンキ塗りしながら永井荷風の日和下駄が浮かんだ。その中に人間の審美眼が変わって行くという箇所があり印象に残っていた。江戸の風景が時代の波に取り壊され消えゆく様を哀惜しながら記録にとどめ、明治、大正、昭和と生きた荷風は、江戸の街に似つかわしくないと批判的だった明治の煉瓦造りの建造物がやがて古び美しく映るようになったと、美を感じる目が移りゆくことに驚いている。

不動産業をしている義妹夫婦は流行に敏感だ。住宅展示会は欠かさず、インテリアのお店はマメに訪問し時代をキャッチしている。二人の目から見たら我が家の浴室は築60年前でストップしている。リノベーションの参考にインテリア雑誌を買ったが予算的にも自分の好み共々とてもついて行けない。そこで新旧入り混じったハイブリッド。業者の方に相談したら配管は取り替えてあるので洗面台はこのまま、床のタイルも欠けておらず大丈夫と言うことでそのまま使用。洗面台の戸も引き出しも取っ払った。カーテンを掛けておしまいにするつもり。3段引き出しの収納場所など必要ない。思えば旅行するとき、洗面道具一式(タオル、歯ブラシ、石鹸)があれば足りる。あれこれ取り置きの古いカーテンをひっくり返しながら水色を見つけたので洗濯して短く切っちゃおう。



あたりを見まわしながら好きで飽きることのなかった壁紙がなぜかうるさく感じた。所々ハゲ掛かってるし、これ寿命と、思い切って剥がした。しみじみ模様を眺めるとやっぱり好き、そこで残ってる切れ端を思い出に額に入れようかな。



以前、荷風の審美眼が変わるという言葉で真っ先に浮かんだのはシャツ出しルック、出始めの頃はだらしなく見えたが、そのうちカッコよく見えるようになり、そのうち自分も真似するようになったっけ。確かに審美眼は変わる、好きな色が変わってゆくように。そして姪や甥からダサい趣味をからかわれるわけも納得。でもいいのよ、好きなのは好き、ただ流行に乗るに10年かかるっていうこと。その時はすでに新しいものに変わってても。

一昨日から夫が3泊4日オタワに出張で食事は適当。豆乳ポタージュと果物で済ませてる。大好きな柿が一箱500円、産地は南アフリカ。