ケベックリタイヤ日記

ケベックでリタイア暮らし。ながらえば憂しとみた世も今は忘れた。毎日悦びの種をみつけてぽりぽりかじりたい。

楽聖の別れの歌や月きよし

2021-08-08 05:20:05 | 雑誌CLASSICAより
世間の波風とは良く言ったもので 毎日が高波小波細波のなかを泳いでるよう。色々あるけどブログに書くエネルギーなし。

メンテナンスとキッチン管理の直属ボスの送別会があったが キッチンスタッフ参加者は 私と勤めて3ヶ月に満たないアフリカトーゴー出身のアゾさんとキッチンヘルパーのミミおばちゃんのみ。コックさんもお局さん達も不参加 建前だけでも参加すると思ってたのでこの冷たさに驚きました。ボスは40歳そこそこ あっちもこっちも人手不足のケベック すぐ仕事を見つけるでしょう。彼曰く いろいろな経験ができて人間として成長したとのこと。

さて 7月のCDの感想を書こう、シューベルトの白鳥の歌をリストがピアノ曲にトランスクリプションしたものです。



若い時は ただただ夢中に音楽にのめり込んでたのとは違い 聴きながら色んなことが支離滅裂に浮かんでくるのは チンケな人生ながら生きて来たんだなーと思いましたね。
今回のCDは 初めて聴いた時と毎日聴いていて感じたことの感想が変わらなかった。最初は感激しても飽きてくるのや つまんないと思ってたのが段々味わい深くなってくるということがよくあるけど時間と共に変わらなかった。

最初 耳にした時 これ日本人好みの演奏と思いました。そして内気なシューベルトに相応しい演奏とも( でも彼はいかがわしい悪所に出入りし梅毒で亡くなります) 音色が柔らかく優しい かといって甘ったるくない。ここでモントリオールでピアノを教えているHさんの言葉を思い出しました「日本人の演奏はこじんまりしていて大人しく迫力がないと評されるけどそれが個性の一つでもあるんじゃないかしら」。ふと、ケベックの女性と日本の女性のステレオタイプが浮かびました。ケベックの理想の女性は経済的かつ精神的に逞しく独立心が強く人間として自分の夢を叶え開花してること。キャリアウーマンがうじゃうじゃと男を凌ぐほど闊歩する社会です よって娑婆で生き抜くには弱みを見せたら負けーみたいな パワフルな演奏のよう。日本の一昔前のステレオタイプ女性といえば何事にもでしゃばらず夫をたて家庭を大事にし黒子として社会を支えるイメージ 控えめでも飽きない演奏のよう。どちらもそれぞれの個性なんですよね 優劣じゃなくて。

辞めたガボン人と一緒に働いた時 重いものを運ぶに女性はか弱いんだから大事にしてねとジョークでお願いしたら 「か弱いケベック女に出会ったことがない」との即答でした。それで恋人はいつもモロッコやアフリカの女性。東京オリンピック カナダのメダリスト11人だか12人のうち男性は一人ですよ。男達はふにゃー 女性パワーに圧されてます。

続いて シューベルトだと思って聴いていたのも束の間 すぐリストを聴いてる気分になりました。日本で人気のトルコ出身ピアニストジャンチャクムル( CAN CAKMUR )の解説によると 歌曲をピアノ曲に移し換える作業がリストの創造とも言える彼の曲になっているとの解釈。画家でも若い頃はよく模写をしてますがその模写の中に既に将来の画風を伺わせる個性が現れているので創造的コピーは既に別作品とも言えるんだなと思いました。

14曲の中で私が一番好きなのは有名なセレナードではなく別れという曲です。別れの曲なのに楽しい曲 幸福とメランコリー 絶望と希望の無限の間でリズミカルに音が胸弾ませている。手元に一冊もないけれど私の若い頃に一世を風靡した宇野千代さんの一節を思い出しました。辛い失恋をすると綺麗にお化粧し綺麗に装ってお出かけするんだって そして自分に言い聞かせるんだって 「 あの角を曲がればきっと素晴らしい出会いが待ってると ( うら覚えです) 」。さもありなんという曲です。

シューベルトというとイアンボストリッジが好きで2回コンサートに行きました。手元にある白鳥の歌を聴きましたが何故かいまひとつ響かず冬の歌の方を聴きました。そして評判の良かった彼の著作 SCHUBERT'S WINTER JOURNEY ANATOMY OF AN OBSESSION IAN BOSTRIDGE をカナダアマゾン中古で1000円ほどで手に入れました。英語で書かれたドイツ出版社の初版です。色々な国で出版されてますがこの装丁が一番気に入りました。足跡が雪道に食い込んだように凹んだレリーフ仕様で中身も絵画がふんだんに挿入され絵画見てるだけでも楽しいです。日本語訳で読みたいのですがなんと郵送費込みで8359円ですよ。5星の評価がついてます 易しい英語で書かれてるとのことで私でも読めるかもと買いました。



明日は仕事 人手不足ゆえお休み返上 お局NO3との昨年秋以来の一緒の仕事です。私を老人扱いにし見かねたコックさんがシフトから外してくれた51歳の女性です。いつも思うのよ こんなところだから私こと婆さんでも採用されたと やっぱり感謝。



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