ケベックリタイヤ日記

ケベックでリタイア暮らし。ながらえば憂しとみた世も今は忘れた。毎日悦びの種をみつけてぽりぽりかじりたい。

燕子花

2019-06-15 18:23:50 | 菜園
 われも昔は衆道好きのひが耳に 芭蕉

 6月の雑誌切り抜き飾り絵は光琳の「燕子花図屏風」、数冊しかない日本美術史を開きながら読んだことさえ忘れ切ってるので新発見するかのように驚いてる。

絵画を観る悦びは絵そのものを眺める楽しみに加えて美術史家のみならず部外者の各様の絵の読みかたを謎解きに立ち会うがごとく読むこと。

光琳について一同口を揃えて羨望するのは、破産するまで湯水のように頓着なしに財産を使い果たせた資産家のぼんぼんだったということ。クリームチーズ特売250円が300円に値上げし家計に響くと叫んでるわたくしめ庶民はしばし光琳の世界で贅沢気分。金に糸目をつけず遊びに放蕩しつくした光琳の燕子花絵図は思いっきりよく豪華でてらいがないとは橋本治。

今回、私にとって発見だったのは、光琳が其角、芭蕉、英一蝶と同時代人だったということ。また、あの芭蕉が男色の世界を知っているということ。で、冒頭の句を詠んでいる。元禄時代は衆道知らずは野暮とよばれたそうで孔子をを祀る湯島天神は明治のころまで男娼のたまり場だったそうです。

光琳も男色かもねと絵画を絵解きしてゆく。女たらしで6人の女に7人の子を産ませた光琳は両刀使い。パトロンである男性の肖像画「中村内蔵助像」は実は光琳の愛人ではないかと絵から漂う色香から推論してゆきます。つつじ、梅、水仙、そして燕子花も若衆の例えだそうで、燕子花がどうして男色の世界を表現しているのかはブログでは書けませんが(羞恥心あり)男色の世界から美術を読んでゆく研究があるって初耳です。で、その専門家、丹尾安典さんが学生に放った言葉は「頭じゃなくて体で考えろ」です。是非彼の本読みたーい。

さて、我が菜園の盛りが過ぎたアヤメは燕子花に似ており、この季節になると光琳の燕子花絵図を思い出すと思います。今度里帰りするとき根津美術館で本物に出会えるのがたのしみです



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