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☆光と影の魔術師☆

Nikon Df と云ふカメラ

2014-09-21 22:52:27 | デジ一眼+純正レンズ
 私のデジタル一眼歴の始まりは、思えばNikon D100であった。
当時のニコンの記録を辿れば
D100本体セット 2002年6月22日発売 希望小売価格 300,000円(税別)
となっている。奇しくも現在のNikon Dfと同程度の価格だ。

 あれからもう、12年も経つのか・・・と思えば感無量だが、
当時Nikon D100を所有した衝撃も、相当なものだった。

 デジタル専用レンズなどまた無く、銀塩用のニッコールレンズから私なりに
これぞ、という1本を選び出した。それが、Ai AF Nikkor 35mm F2Dだった。
まだGタイプは1本も発売されておらず、APS用のレンズも無かった。

 しかし、D100とAi AF Nikkor 35mm F2Dは意外にも相性が抜群で、
当時の私にとって、その画角や美しい描写に、すっかりハマってしまった。

 それからニコンはもとより、各社のデジタル一眼を使い、さまざまな
レンズを試し、そしてオリンパスPENデジタルの出現からは、ミラーレス機を
自分のメイン機種とし、デジタル一眼はNikon D700を最後に、購入を止めていた。

 光学ファインダーは確かに美しく使いやすいのだが、EVFの進歩は目覚ましく、
色調の変化など、光学ファインダーでは成し得なかった機能の出現に、
絵作りに不可欠な要素となってしまったので、現在のメインはOM-Dなど、
優れたEVFを有した機種である。もはや私にとっては、デジタル一眼は、
ある意味、忘れ去られた存在であった。

 だが揃えたニッコールレンズ資産を、最も効果的に利用できる
カメラが出現した。他ならぬNikon Dfである。

 このカメラが発表されたとたん、欲しい!と痛切に思った。
ただ事情が重なり、無視せざるを得ない・・・ という状況であった。

 しかし最近、在庫が少なくなってきており、多少価格も下がっている
情報を掴んでしまうと、俄然、使ってみたいという欲が抑えられなくなった。

 Nikon Dfというカメラ・・・ 明らかにノスタルジック路線である。
正面やや斜め上から見れば、明らかにNikon FEのデザインを踏襲している。
Nikon FEとは1978年に発売されたニコンの絞り優先一眼レフ。
キャッチフレーズは、シンプルニコン・・・ ニコンの隠れた名機。

 当時のニコン最高機種は、Nikon F2 Photomic AS。あのNikon F3の
発売直前であったと記憶している。フォトミックファインダーとは、
カメラボディそのものは機械式カメラであり、着脱可能な
ペンタプリズム部分に、TTL露出計を組み込んだものである。
今にして思えばかなりギミックな過渡期の機能だが、Nikon F3が
プロ機種として初めて電子シャッターを採用したことで、一部のプロから
ニコン最高機種に電子シャッターなど何事か、いますぐF2を再発売せよ、
などと記事が出るほどの衝撃、まだそんな時代であった。
まあ遥か後に、ライカはM6からM7で、同様の評価を受けるのだが。

 Nikon FE発売の直前は、カメラボディにNikonと冠するのはプロ機である。
そんな風潮が残っていた。アマチュア向けの廉価版は、Nikomat。
そういったイメージであったと解釈しって間違いではあるまい。

 Nikomat ELが電子シャッターを採用したニコン初の一眼レフであるが、
この電子回路が後に、Nikon FEに基本的に採用されている。
Nikomat ELは、当時連写一眼として名を馳せたCanon AE-1に対抗して、
Nikon ELWとしてワインダー対応となった。Nikomatの終焉である。

 Nikon FEは、ニコンの一眼レフを親しみやすく、ただしニコン独特の
操作性や堅牢さは落とすことなく、そういった立場で作られたカメラである。

 当時のキヤノンはすでにA-1を、ミノルタはXDを、すなわちデュアル方式や
プログラムオートを投入していた。オリンパスはTTLダイレクト測光で
先手を打っていた。それに比較して、Nikon FEは、飛びぬけたスペックでは
無かったのだが、いざ手に持って操作してみると、他社と明らかに異なる
ニコンらしさを纏っていた。

 Nikon FEは、先行していたNiko FMの系統も含めて、ニコンでも親しみ易い
ラインアップを形成して、最終の完成形、Nikon FM3Aまで続くことになる。
機械式シャッターに合わせて電子シャッターも備えたこの機種は、現在も
中古市場で人気機種となっている。

 ジウジアーロの赤ラインのF3、その発売直前に発表されたFEに、
現在のニコンをイメージさせる、グリップの赤ラインは、無い。

 今回取り上げたNikon Dfも、Nikon FEを踏襲したせいか、赤ラインは
存在しないのである。

 大きさも字体も、当時に似せたシャッターダイヤル。軍艦部右には、
ISOダイヤル。当時だったらその上は巻き戻しダイヤルであるが、
それに似せたデザインの露出補正ダイヤル。
シャッターボタンやロック解除も当時を踏襲し、巻き上げレバーの軸が
あった部分には、露出モードダイヤルという念の入れ方だ。

 そのNikon Dfに私が選んだレンズは、Ai AF Nikkor 35mm F2D。
Nikon FEの時代はまだ、ニコンのレンズはやっとAi化された頃で、
AFのニコンが登場するのは、まだ数年待たねばならなかった。
ゆえに、Nikon Dfにも、Ai Nikkorが似合うのかも知れない。
実際、Dfのレンズキットの50mm F1.8 special editionも、その証拠か
Ai Nikkorのデザインに似せているのである。

 Nikon Dfはニコンのフルサイズとしては、最も小型軽量であり、
私としてはどうしても、スナップカメラとして使用してみたい。
AFレンズとして現在は当然Gレンズなのだが、あまりにも新しすぎる。
まだデジタル登場前の、現在としては甘さの残るDタイプだが、
最初に試してみたかった。

 Ai AF Nikkor 35mm F2Dを装着したNikon Dfは、バランス的には、
少しボディーヘビー。レンズが小さいかな、と感じる。
Gタイプのように、レンズ側に駆動機能を有さず、ボディ側で
レンズのAFを制御するDタイプは、AFからMFへの切り替えにも
ひと手間かかる。だが、もともと手間のかかるDfを選んだのだから。
そんなことは、手間には入らない。むしろ、楽しい作法のひとつなのだ。

コメント
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