郵船の永年の不良息子が
親孝行息子に変身のNCA:日本貨物航空
今後の動向は?
日本貨物航空、2期ぶり営業黒字 22年も堅調に推移 | FlyTeam ニュース
日本郵船が2021年5月10日(月)、2021年3月期決算を発表しました。売上高3.6%減の1兆6,084億円、営業利益84.9%増の745億円、経常利益384%増の2,153億円、純利益1,392億円でした。このうち、日本貨物航空(NCA)による航空事業は売上高63%増の1,224億円、営業利益は332億円(前の2020年3月期は155億円の赤字)でした。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、国際旅客便が減便・運休する中、第3四半期から自動車部品、半導体・電子機器を中心に荷動きが回復し、需給が急速に引き締まり、貨物搭載率・運賃ともに高い水準で推移。コンテナ船の輸送スペース不足も影響し、海上貨物の一部が航空輸送に切り替わり、追い風となりました。
2022年3月期は日本郵船として売上高1兆5,000億円、経常損益1,400億円を想定しています。売上高減少は2021年3月期に好調だった物流事業で、航空貨物を主とした前年度からの取扱量減少を予想しています。航空運送事業は、国際旅客便の市場復帰が徐々に進むと想定しているものの、世界経済の回復に合わせ荷動きが堅調に推移すると予想しており、営業利益は200億円と見ています。
日本郵船は、日本貨物航空を売却する方針と伝えられています。2期ぶりに営業黒字を確保した日本貨物航空は過去10年を振り返ると2011年3月期、12年3月期は黒字の後、2期続けて赤字、その後の2015年3月期から2018年3月期は黒字を確保しています。海運事業に成長余力を確保するための売却と見られていますが、今後のNCAの動向が注目されます。
日経記事
郵船の「空運」、企業価値5倍
コロナ特需も売却方針は変えず 航空業界不振で難航
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日本郵船の子会社、日本貨物航空(NCA)が新型コロナウイルスの特需に沸いている。6日に郵船が業績を上方修正する要因となった。郵船はコロナ前まで赤字続きだったNCAを手放す方針は変わらないが、事業価値は3年前の5倍に膨らんでいる。複数社を念頭に進めていた売却交渉も難航が予想され、郵船にとって悩ましい子会社の急回復になっている。
6日、郵船は2021年3月期の経常利益が前の期比4.5倍の2000億円(従来予想は1600億円)になった模様だと発表した。主因の一つが100%出資子会社のNCAの好調ぶりだ。
NCAの21年3月期経常損益は2月時点の予想で290億円の黒字(20年3月期は155億円の赤字)と、3期ぶりの黒字転換となった模様。巣ごもり消費や自動車生産の回復などで輸送需要が拡大する中、コンテナ不足で海上輸送の需給がタイトな状況が続く。
ジャンボの愛称で知られるボーイング747型機を主力機とするNCAだが、稼働が高い状態が続いている。半導体など供給網が混乱している自動車関連業界から「高額でもとにかく運んで欲しいとの依頼がある」(業界関係者)という。
子会社の恩恵を受け郵船株の年初からの上昇率は60%に達し、商船三井(27%高)や川崎汽船(22%高)を上回る。足元の株価は4000円前後で推移し、09年8月以来約11年半ぶりの高水準につけている。競合に比べて上振れする株価の背景には「航空貨物の存在」(東海東京調査センターの金井健司アナリスト)がある。
22年3月期の業績への期待も大きい。証券会社8社によるNCAの22年3月期経常利益予想の平均値は約200億円。企業価値などを測るのに用いるEBITDA(過去5年の償却費平均値などを使い算出)と呼ばれる指標を用いると、事業価値は約2200億円。直近で黒字だった18年3月期の価値は約430億円で、この3年で5倍に膨らんだ計算となる。
NCAはもともと赤字体質で、18年に整備記録の改ざんで国土交通省から事業改善命令と業務改善命令を受けた問題児でもあった。優等生への変貌だが、中長期での不透明感が拭えない。貨物専業航空の生き残りは難しくなっているからだ。
航空貨物には旅客機の床下貨物スペースを活用する「ベリー便」と、貨物機の「フレーター便」がある。近年、航空貨物はベリー便が主流だった。航空機のスペース全てを貨物で埋めるのは難しく、旅客機と貨物機の貨物スペースを柔軟に使い分けられる旅客航空が安定して稼げる。
新型コロナ感染拡大が収束すれば、再び旅客需要が回復し貨物でもベリー便が盛り返す可能性が高い。状況がコロナ前に戻れば「赤字になるのは必至」(岡三証券の山崎慎一アナリスト)との声が上がる。
足元の好調は一時的である可能性もあり、日本郵船はNCA売却の方針を今のところ変えていない。郵船の長沢仁志社長は「我々は空運の運営ノウハウを持っていない」と話す。
ただ、新型コロナの影響で郵船の思惑通りNCA売却交渉が進むかは不透明感が漂う。有力な売却先として期待された航空会社が業績悪化で資金力が失われているからだ。足元の好調でNCA自身の企業価値が高まったことで、航空会社にとって一段と買収ハードルが上がっている。「日本航空やANAホールディングス、米航空貨物のアトラスエアなど買い手候補はあるが、具体的な話にはならない」(日本郵船の首脳)という。
リーマン・ショック後の長期の海運不況から自己資本比率は16年3月末の35%から26%に低下している。「NCA売却で得た資金で液化天然ガス(LNG)を主燃料とする自動車運搬船に投資することなども視野に入る」(JPモルガン証券の姫野良太アナリスト)。時ならぬNCAの急回復で郵船の成長戦略が見えにくくなっている。
(山田航平)
保有機
Boeing747-8F に統一 8機保有する
⬇️内容
NCA - 日本貨物航空|航空機・ユニット
路線ネットワーク
NCA - 日本貨物航空|路線ネットワーク
関空にて
関空に以前飛来していた747-400だったが、-400は全機退役済みだ
JA05KZ
JA05KZは日本での民間機最後の747-400 ジャンボ機
売却先はアトラス航空