ジャスティン・ビーバー、U2、ボブ・ディラン…… 世界的アーティストが「神」を歌う
2018.03.31(liverty web)
人気バンド「U2」はクリスチャン・アーティストとして知られ、慈善活動にも積極的に携わっている(画像は Shutterstock.com)。
《本記事のポイント》
- 世界で最も稼ぐバンド「U2」は、世界で最も有名なクリスチャン・アーティスト
- ノーベル賞のボブ・ディランはキリスト教三部作をつくった
- ビートルズのレット・イット・ビーは、聖母マリア信仰から生まれた
イギリス紙「ザ・サン」がこのほど、世界的に有名なカナダのミュージシャン、ジャスティン・ビーバーが、キリスト教の信仰をベースにしたアルバムを収録中であることを報じた。同紙によると、ジャスティンは毎週教会に通い、宗教的な曲づくりに心血を注いでいるという。
ジャスティンは、「神様を賛美するより、楽しくて、かっこいいことはない」「イエス・キリストのように生きたい」などと語るほどの熱心なクリスチャン。日本では、そうした信仰心を全面に打ち出したアーティストはあまりいないが、世界を見渡すと、意外にも多いことに気づく。
U2は最も有名なクリスチャン・アーティスト
「グラミー賞獲得数22作品」、「世界で最も稼ぐバンド」など、名声をほしいままにしているアイルランドのロックバンド「U2」は、世界で最も有名なクリスチャン・アーティストだろう。
リードボーカルのボノは、根強い人気を誇る名曲「Where The Streets Have No Name(ウェア・ザ・ストリーツ・ハブ・ノー・ネーム)」(1987年)についてこう語っている。
「アイルランドでは、裕福層、貧困層、カトリック信者、プロテスタント信者、それぞれが、くっきりと分かれて生活している。どこのストリート出身かで、その人がどんな人なのか、どんな宗教を信仰しているのかがわかってしまうんだ。だからストリートに名前がない、そんな場所について歌いたいと思った」
アイルランドは様々な宗派が入り乱れている。ボノはその曲で、人間の壁を乗り越えようというメッセージを込めた。
また、同バンドの曲「Until the End of the World(アンティル・ザ・エンド・オブ・タイム)」(91年)は、ユダがイエス・キリストを裏切る場面をテーマとし、作詞はユダの視点で書かれていることで知られる。
ボブ・ディラン「僕は霊的な歌が好きなんだ」
2016年にノーベル文学賞を受賞した、米シンガー・ソングライターのボブ・ディランも、一時期、キリスト教の信仰を捨てたという噂があったものの、今も敬虔なクリスチャンだ。
そんなボブとキリスト教の関係で有名なのが、「Slow Train Coming(スロー・トレイン・カミング)」(79年)、「Saved(セイブド)」(80年)、「Shot of Love(ショット・オブ・ラブ)」(81年)の三曲からなる「キリスト教三部作」であろう。
これは、ユダヤ教徒だったボブが、キリスト教に改宗し、ゴスペル(福音音楽)色が強い曲調となっている。宗教的な曲を作り続けているボブは、音楽についてこう話す。
「僕は霊的な歌が好きなんだ。それらの歌は真実で真剣だから、僕も心を打たれたよ。それらは僕を地面に打ち倒しては、全く同時に僕を引き上げてくれたのさ」(2015年4月9日付「クリスチャントゥデイ」)
さらに20世紀を代表するロックバンド、The Beatles (ザ・ビートルズ)の曲「Let It Be(レット・イット・ビー)」(1970年)もまた、キリスト教の聖母マリアをモチーフにしている。レット・イット・ビーは「あるがままに」という意味だが、これはマリアの言葉「お言葉どおり、この身に成りますように」(新約聖書のルカによる福音書)そのものだ。
日本人が知らず知らずのうちに聴いている数々の名曲は、実は、信仰の大切さを歌い上げている。それを知れば、曲への理解がより深まるだろう。タブーを恐れず、信仰をオープンにして歌うアーティストこそ、最も"ロック"ではないだろうか。
(山本慧)
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