南北首脳が板門店宣言 「非核化」「統一」の先にある「日本包囲網」という危機
2018.04.27(liverty web)
《本記事のポイント》
- 南北が統一に向けた共同宣言に署名 だが日本にとって「最悪のシナリオ」
- 北朝鮮を野放しにすれば、中国が世界の半分を支配する未来が近づく
- 「自分の国は自分で守る国」にならなければ、日本は消滅しかねない
南北首脳会談が27日、南北軍事境界線上の板門店にある韓国側の施設「平和の家」で行われた。
文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領と、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は同日夕刻、「朝鮮半島の平和と繁栄、統一のための板門店宣言」に署名。朝鮮半島の完全な非核化と恒久的な平和の定着、そして南北統一に向けて一致団結することで合意した。
南北の終戦は、日本侵略の始まり
平和裡に北朝鮮の非核化が実現するのではないかと、会談を評価する向きもある。しかし、「融和ムード」にのみ込まれてしまうと、日本にとっては「最悪のシナリオ」を迎える危険性がある、という現実にも目を向けるべきだ。
たとえば、共同宣言にある「恒久平和」の先には、南北の「終戦」を目指している。
現在、休戦中の朝鮮戦争が終戦を迎えれば、韓国を守る在韓米軍は必要なくなる。韓国にとっても、在韓米軍が握っている「戦時作戦統制権」を返還してもらうことは長年の悲願だ。米軍撤退は時間の問題となるだろう。
米軍撤退と同時に進むのが、「統一朝鮮」である。
この統一朝鮮が平和を愛する国となればいいが、そう簡単にはいかないだろう。「非核化」を宣言したものの、北朝鮮は事実上の「核保有国」。同国は2006年の非核化合意を反故にして核・ミサイル開発を続けるなど、さまざまな"前科"がある。今後も開発を続けると考える方が、冷静な見方と言える。
また、統一にあたっては、「反日感情」が利用される可能性が高い。拓殖大学国際学部で教授を務める呉善花(オ・ソンファ)氏は、28日発売の本誌( http://www.irhpress.co.jp/liberty/ )で次のように述べる。
「近年韓国では、一国二制度を表す『連合国家』という言葉が好んで使われていますが、朝鮮民族は何かを恨む力で団結できます。このままでは、朝鮮半島に核を持った強烈な反日国家ができ上がるでしょう」
慰安婦や戦時徴用工などの歴史問題を見ても、統一後の南北が日本を共通の仮想敵国とすることが予測できる。反日で団結する金氏と文氏の下における南北の終戦は、「日本侵略の始まり」と言える。
(参考資料:27日作成のリバティ号外 https://the-liberty.com/upload/files/liberty_plus_20180427.pdf )
中国による「天下二分の計」
北朝鮮の背後に、中国が控えていることも忘れてはならない。
3月末に電撃的に行われた、中朝首脳会談では、両国の協力関係を世界に示した。日米が北朝鮮への対応に悩まされている間にも、中国は経済力・軍事力を増していく。そのうち、中国はアメリカと肩を並べる力を持ち、「米中が世界を二分する」未来も近づく。
中国の習近平国家主席は2015年、当時のケリー米国務長官に対して、「広大な太平洋には、中米両大国を受け入れる十分な空間がある」と強調した。「アメリカが西を、中国が東を統治すれば、世界は平和になる」という考え方は、多くのアメリカの政治家や学者からも支持されている。
中国が世界の半分を支配する未来に、何が起こるか。
それは、中国共産党政府が侵略したチベットやウイグル自治区を見れば分かる。一切の自由が奪われ、一挙手一投足を監視される。人は国家の道具となり、人命はいとも簡単に奪われる――。
南北の融和ムードに流されれば、数年先の日本にもこうした未来が訪れかねない。「最悪のシナリオ」を避けるためには、今ここで北朝鮮を完全に武装解除する必要がある。
強硬路線から融和路線に傾くトランプ政権
一刻を争う状況だが、アメリカのトランプ大統領は、自身のスキャンダルや政策について国内外のマスコミなどから批判を浴びる中、今年11月の中間選挙を意識してか、北朝鮮への強硬路線から融和路線に傾きつつある。
トランプ氏は、南北会談後、日本時間の27日夜、ツイッターで「朝鮮戦争は終結に向かう! アメリカ合衆国、そしてその素晴らしい国民は、今、朝鮮半島で起こっていることを誇りに思うべきだ」と発信した。
その直前のツイートでは、「いいことが起こっているが、時間がたたなければ分からない」と一定の警戒をしているものの、会談を歓迎している。アメリカが北朝鮮に対する圧力を弱めれば、反日的な統一朝鮮の誕生、中国の支配地域拡大を抑止するものはなくなる。
日本の政治家はトランプ氏に檄を飛ばしてでも融和ムードを払しょくすべきだ。それと同時に、日本は独自の防衛力の強化が急務だ。アメリカ頼みの国防から卒業し、「自分の国は自分で守れる国」に生まれ変わる必要がある。
中国、北朝鮮、韓国――。反日国家による「日本包囲網」は、刻一刻と完成へと近づいている。国家として存続できるか、それとも消滅してしまうのか。日本は今、その岐路に立たされている。
【関連書籍】
幸福の科学出版 『司馬遼太郎 愛国心を語る』 大川隆法著
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